【ITニュース解説】カヌーと物理が好きな女子高生が、JICAの青年海外協力隊員としてタイでプログラミングの先生になった話
2025年09月16日に「@IT」が公開したITニュース「カヌーと物理が好きな女子高生が、JICAの青年海外協力隊員としてタイでプログラミングの先生になった話」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
「ものづくり」や科学技術に魅せられ、カヌーとアンテナにも熱中した森見真弓さんが、ハード・ソフト開発エンジニア経験を経てJICA青年海外協力隊員としてタイでプログラミング教師になった。彼女の多様な経験と行動の原動力に迫る。
ITニュース解説
森見真弓さんの物語は、ITの世界を目指す多くの人にとって、学びとインスピレーションの源となるだろう。彼女の道のりは、幼い頃からの「ものづくり」や「科学技術」への純粋な好奇心から始まった。何かを作り出す喜び、そしてそれがどのように動き、なぜそのように動くのかを探求する姿勢は、まさしくエンジニアの原点にあるものだ。
学生時代、彼女が熱中したのはカヌーであり、アンテナの製作だったという。一見、ITとは直接関係ないように思えるこれらへの取り組みは、実はシステムエンジニアに必要な多くの素養を育んでいる。例えば、カヌーは水の抵抗や浮力といった物理法則の理解を深める機会を与え、アンテナ製作は電波という目に見えないものを扱うための精密な設計と実験の繰り返しを要する。これらは全て、複雑なシステムを理解し、設計し、問題解決する上で不可欠な論理的思考力や分析力、そして試行錯誤を繰り返す粘り強さを養う。物理学的な視点から物事の本質を捉えようとする態度は、後のシステム開発において、見えないソフトウェアの構造やデータの流れを可視化し、理解する力へと繋がっていく。多様な分野に興味を持ち、それらを深く探求する経験は、ITエンジニアとして直面する様々な課題に対して、多角的な視点からアプローチする能力を培う基礎となる。
大学を卒業し、エンジニアとして働き始めた森見さんは、ハードウェア開発とソフトウェア開発の両方に携わった。これは非常に貴重な経験と言える。ハードウェアはコンピューターの物理的な構成要素、例えば回路基板や半導体チップなどを指し、ソフトウェアはそれらを動かすプログラムやアプリケーションのことだ。両方に触れることで、彼女はシステム全体がどのように連携して機能するかという深い理解を得た。ソフトウェアだけを開発していると、時としてその下に広がるハードウェアの限界や特性を意識しにくいことがあるが、両方の知識があれば、より効率的で安定したシステムを設計・開発できるようになる。問題が発生した際も、それがハードウェアに起因するのか、ソフトウェアに起因するのかを素早く切り分ける能力も身につく。このフルスタックな経験は、現代のシステム開発において非常に重宝される能力であり、システム全体を俯瞰して考える力を養う上で欠かせない。
その後、彼女はJICA(国際協力機構)の青年海外協力隊員としてタイに赴任し、プログラミングの先生として活躍する道を選んだ。これまでのエンジニアとしての経験で培った知識やスキルを、次世代の教育のために役立てたいという強い思いがあったからだ。プログラミングを教えるということは、単にコードの書き方を伝えるだけでなく、論理的な思考方法や問題解決のアプローチ、そして創造的な発想力を育むことでもある。異文化の中で、言葉の壁や教育環境の違いに直面しながらも、現地の人々と協力し、限られたリソースの中で最善の教育を提供しようとする姿勢は、システムエンジニアがプロジェクトを進める上で遭遇する様々な課題への対応力に通じるものがある。多様なステークホルダーと連携し、コミュニケーションを取りながら目標達成を目指す能力は、ITプロジェクトの成功に不可欠な要素だからだ。
森見さんの行動の原動力は、「なぜそうなるのか」「どうすればもっと良くなるのか」という純粋な探求心と、得た知識や技術を社会に役立てたいという貢献意欲にある。この根源的な好奇心と、ものごとを深く掘り下げて理解しようとする姿勢こそが、新しい技術が次々と生まれるIT業界で長く活躍するための鍵となる。システムエンジニアにとって、与えられたタスクをこなすだけでなく、その背後にある目的や課題を理解し、より良い解決策を自ら探求していく姿勢が求められる。また、自分のスキルや経験が誰かの役に立つ喜びを知ることは、仕事へのモチベーションを高く維持するための大切な要素となるだろう。自分の興味や専門性を社会貢献という大きな目標と結びつけることで、仕事の意義を深めることができる。
彼女の物語は、ITの道を目指す上で、特定の分野に特化するだけでなく、幅広い知識や経験を積むことの重要性を示している。カヌーやアンテナ製作といった一見異なる活動から得られる物理的な理解や問題解決能力、ハードウェアとソフトウェアの両面からの開発経験、そして海外での教育活動を通じて培われたコミュニケーション能力や異文化適応力は、全てシステムエンジニアとしての総合的な力を高める要素となる。技術は常に進化し続けるため、学びを止めないこと、そして自分の興味や得意なこととITを結びつけることで、自分だけのユニークなキャリアパスを切り開くことができるというメッセージを伝えている。彼女のように、自分の「好き」を追求し、それを社会に還元しようとする姿勢は、システムエンジニアとしてのキャリアを豊かにする上で非常に大切なことである。