【ITニュース解説】Communicating with Data: A Simple Framework That Changed My Approach
2025年09月11日に「Dev.to」が公開したITニュース「Communicating with Data: A Simple Framework That Changed My Approach」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
システムエンジニアにとって、データは作るだけでなく、適切に伝えることが重要だ。ダッシュボード等が活用されない原因は、誰が(Who)、何をすべきか(What)、どう伝えるか(How)が不明確なため。このフレームワークを使えば、データが意思決定に繋がり、開発の成果を最大限に活かせる。
ITニュース解説
エンジニアやアナリストは、日々、ダッシュボードやデータパイプライン、各種レポートの構築に多くの時間を費やしている。しかし、見た目がどれほど優れていても、その情報が意図した効果を発揮しないことがしばしばある。これは、せっかく作り上げたダッシュボードを共有しても、受け手から「これはすごいけど、結局どうすればいいの?」という反応が返ってくる状況を指す。データから得られる洞察は、それを受け取る人が次に何をすべきか理解できなければ、実質的に無駄になってしまう。
このような経験を繰り返す中で、あるシンプルなフレームワークが非常に有効であることがわかった。それは「Who(誰に)、What(何を)、How(どのように)」という3つの問いを明確にするアプローチである。これはデータを用いたストーリーテリングの考え方に基づいているが、そのシンプルさからは想像できないほど強力な効果を発揮する。
まず「Who」について考えることは、コミュニケーションの出発点として極めて重要である。ここで言う「Who」とは、データを受け取る対象者、つまりオーディエンスを指す。予算決定を行う副社長、新機能の優先順位付けを行うプロダクトマネージャー、システムパフォーマンスのデバッグを行う別のエンジニアでは、彼らが求めている情報やその表現方法が全く異なる。副社長には戦略的な視点からの高レベルな情報、プロダクトマネージャーには具体的な改善策に繋がる情報、デバッグ中のエンジニアには詳細な技術情報が必要とされるだろう。誰に向けて情報を発信するのかを明確にすることで、伝えるべき内容の焦点が定まり、無駄な情報を省き、最も関連性の高い情報だけを提示できるようになる。
次に「What」についてだが、これはデータから導かれる具体的な「行動」に焦点を当てることを意味する。単にユーザー離反率が増加したという事実を提示するだけでは不十分だ。重要なのは、「では、その事実を受けて次に何をすべきか」を明確に提言することである。例えば、「ユーザー離反率が5%増加した」という報告に続けて、「特定の新機能の導入を検討すべきだ」といった具体的な行動を提案する。データは意思決定を促すための道具であり、単なる現状分析に終わらせてはならない。「決定する」「承認する」「投資する」「サポートする」といった、受け手が実行可能な行動と結びつけることが不可欠だ。これにより、データは単なる数字の羅列ではなく、具体的なビジネス価値を生み出すための原動力となる。
そして「How」は、その情報をどのように伝えるかという方法論に関する。適切なコミュニケーションチャネルを選ぶことは、メッセージの効果を最大化するために不可欠である。ライブでのプレゼンテーションは、話者の声のトーンや表情を通じて、データのニュアンスや緊急性を伝えるのに有効である。質疑応答でリアルタイムに疑問を解消することも可能だ。一方、詳細な文書やメールは、情報を網羅的に伝えるのに適している。受け手が自分のペースで情報を読み込み、後から参照することが容易になるという利点があるが、ニュアンスが伝わりにくかったり、読み飛ばされてしまったりするリスクもある。スライドと文書を組み合わせた「スライドキュメント」は、情報量が多くなりがちで、かえってメッセージが曖昧になることもあるため、注意が必要である。また、情報を伝える際の「トーン」も非常に重要だ。緊急性を訴えるのか、成功を祝うのか、あるいは探索的な問いかけをするのかによって、受け手の感情や反応は大きく変わる。適切なトーンを選ぶことで、メッセージの意図がより正確に伝わり、効果的な反応を引き出すことができる。
これらのフレームワークを補完するために、ストーリーを構築するための具体的なツールも役立つ。一つは「3分間ストーリー」である。これは、どんなに複雑な内容であっても、3分以内にその本質を説明する練習を指す。これができない場合、自分自身がその内容を十分に理解していない可能性がある。この練習は、情報の核を抽出し、簡潔に伝える能力を養うのに役立つ。次に「ビッグアイデア」という概念がある。これは、自身の独自の視点と、その情報がもたらす影響やリスクを組み合わせた一文を事前に作成することを指す。この一文は、語るべき物語のアンカーとなり、聞き手の注意を引きつけ、全体の一貫性を保つための指針となる。最後に「ストーリーボード」の活用がある。これは、いきなりプレゼンテーションツールを開くのではなく、紙やホワイトボード、付箋などを使って情報の流れを視覚的に整理する作業である。主要なメッセージや各スライドで何を伝えたいのか、どのような順序で情報を提示すれば最も効果的かを事前に検討することで、後から修正に費やす時間を大幅に削減できる。また、早い段階でステークホルダーの意見を取り入れ、合意形成を図ることで、手戻りを減らし、最終的な成果物の質を高めることができる。
開発者にとって、これらのコミュニケーションスキルはしばしば「付加的なもの」と見なされがちである。しかし、どんなに優れた技術を駆使してデータ分析基盤やツールを構築しても、その成果が意思決定に繋がらなければ、それは単なる画面上の数字に過ぎない。データが持つ真の価値は、それが人々の行動を変え、より良い結果を導き出す点にある。先に述べた「Who, What, How」フレームワークを意識して情報発信を行うことで、自分の仕事がより早く採用され、議論が単なる「興味深い」から「決定的」なものへと変化するのを実感できるだろう。これは、単にコミュニケーション能力が向上するだけでなく、自身の技術的な成果が組織全体に与える影響力を高め、より大きな貢献を果たすための重要なステップである。