【ITニュース解説】CTC、コンテナーと仮想マシンが共存するIT基盤「CUVIC CP+」を開始

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ITニュース概要

CTCは、コンテナーと仮想マシンが共存するIT基盤「CUVIC CP+」の提供を開始した。第一弾として、顧客の運用環境に似た検証環境をクラウドで構築し、試せるサービスを提供する。

ITニュース解説

伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が「CUVIC CP+」という新しいIT基盤サービスの提供を開始した。このサービスは、現代のITシステムで利用される重要な二つの技術、すなわち「コンテナー」と「仮想マシン」が共存する環境を提供する点が特徴である。 まず、IT基盤とは、企業が利用する様々なアプリケーションやシステムを動かすための土台となる部分のことである。物理的なサーバー、ネットワーク、ストレージといったハードウェアから、それらを効率的に使うためのソフトウェアまで、幅広い要素が含まれる。このIT基盤がしっかりしているからこそ、企業活動を支えるシステムが安定して動くことができる。 そのIT基盤の構成要素として重要な技術の一つが「仮想マシン(VM)」である。仮想マシンは、一台の物理的なサーバー上に、ソフトウェアを使って複数の独立したコンピュータを作り出す技術である。それぞれの仮想マシンは、まるで別の物理サーバーであるかのように独自のOS(WindowsやLinuxなど)を持ち、その上でアプリケーションを動作させる。この技術の大きなメリットは、システム間の分離性が高いことだ。ある仮想マシンで問題が発生しても、他の仮想マシンには影響が及びにくい。そのため、セキュリティや安定性が特に求められる基幹システムなどで広く利用されてきた。また、物理サーバーの利用効率を高め、コスト削減にも貢献する技術である。 一方、「コンテナー」は仮想マシンよりもさらに新しい技術として注目を集めている。コンテナーもアプリケーションとその実行環境を隔離して動作させる技術だが、仮想マシンとは仕組みが異なる。仮想マシンがOSごとを仮想化するのに対し、コンテナーは物理サーバーや仮想マシンのOSを共有し、その上でアプリケーションと、そのアプリケーションが動作するのに必要な最小限の環境だけを隔離してパッケージ化する。この違いにより、コンテナーは仮想マシンよりも圧倒的に起動が速く、必要なリソース(メモリやCPUなど)も少ないという利点がある。また、開発環境、テスト環境、本番環境のどこにでも同じように展開できる「移植性」の高さも特徴で、システム開発の効率化や迅速なデプロイに貢献する。マイクロサービスと呼ばれる、小さく独立したサービスを組み合わせてシステムを構築するような現代的な開発手法と相性が良い。 CUVIC CP+の大きなポイントは、この仮想マシンとコンテナーという異なる特性を持つ技術を「共存」させるIT基盤であるという点だ。なぜ共存が必要なのだろうか。それは、企業が持つシステムやアプリケーションには様々な種類があり、それぞれに最適な動作環境が異なるためである。例えば、非常に高い安定性や特定のOSの制約が求められる古い基幹システムには仮想マシンが適しているかもしれない。しかし、頻繁な機能追加や変更が必要なWebサービスや、スケーラビリティが重要なアプリケーションにはコンテナーが効率的である場合が多い。どちらか一方の技術だけで全ての要件を満たすことは難しい。CUVIC CP+は、これら両方の技術を一つの統合された基盤上で柔軟に使い分けることを可能にする。これにより、企業はアプリケーションの特性や要件に応じて最適な選択ができ、ITインフラ全体の柔軟性や効率性を高めることができる。 CTCがCUVIC CP+の第一弾サービスとして提供するのは、「顧客の運用環境に類似した環境をクラウドで構築し、検証できるサービス」である。システム開発や導入において、新しいシステムが本番環境で問題なく動作するかどうかを事前に確認することは極めて重要だ。本番環境と検証環境が大きく異なると、検証では問題がなかったのに、いざ本番で稼働させると予期せぬトラブルが発生したり、パフォーマンスが低下したりすることがある。そのため、できる限り本番環境に近い状態で十分なテストや検証を行うことが、システムの品質を確保し、本番稼働後のリスクを低減するために不可欠となる。 この検証環境を「クラウド」で提供することにも大きなメリットがある。クラウドサービスを利用することで、企業は物理サーバーを購入・設置する必要がなく、必要な時に必要な分だけITリソースを借りて利用できる。これにより、検証環境の準備にかかる時間とコストを大幅に削減できる。検証が終わればすぐに環境を解放できるため、無駄なコストも発生しにくい。迅速に環境を構築し、効率的に検証を進めることで、企業のシステム開発や導入プロジェクト全体のスピードアップが期待できるのである。 CUVIC CP+は、このように仮想マシンとコンテナーのそれぞれの長所を活かし、企業の多様なITニーズに対応する統合的なIT基盤を提供する。これは、現代の複雑化するITシステムを効率的かつ堅牢に運用していく上で非常に重要なサービスと言えるだろう。システムエンジニアを目指す者にとっても、このような最新のIT基盤技術の動向を理解することは、将来のキャリアを考える上で不可欠な知識となる。

【ITニュース解説】CTC、コンテナーと仮想マシンが共存するIT基盤「CUVIC CP+」を開始