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【ITニュース解説】コロナ禍とAIを経てDevRelはどう進化した?『DevRel エンジニアフレンドリーになるための3C』著者座談会

2025年09月17日に「CodeZine」が公開したITニュース「コロナ禍とAIを経てDevRelはどう進化した?『DevRel エンジニアフレンドリーになるための3C』著者座談会」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

DevRel(開発者向けの関係構築)に関する書籍の著者らが、コロナ禍や生成AIによる環境激変を受け、DevRelの現在と未来を語り合った座談会。原則は通用するか、今後何が求められるか議論した。

ITニュース解説

DevRel(デベロッパーリレーションズ)とは、企業が自社の製品やサービス、技術を開発者(エンジニア)に理解してもらい、実際に使ってもらうために、開発者と良好な関係を築く活動全般を指す。これは単に製品を宣伝するマーケティングとは異なり、開発者の課題やニーズに寄り添い、役立つ情報やツールを提供することで、信頼関係を構築していくことが重要となる。結果として、開発者コミュニティの活性化や、製品・技術の普及、さらには優秀なエンジニアの採用にもつながるため、多くの企業が近年DevRelに注力している。

かつて『DevRel エンジニアフレンドリーになるための3C』という書籍が刊行され、当時のDevRelの原則として「3C」が提唱された。これはContent(開発者にとって価値のある技術情報やドキュメントの発信)、Community(勉強会やイベントなどを通じた開発者同士の交流促進)、Code(サンプルコードやSDKなどの提供による開発者の技術利用支援)を指し、これらがDevRel活動の柱となっていた。開発者にとって使いやすく、親しみやすい存在となることで、彼らの支持を得ていくという考え方である。

しかし、この書籍の刊行から約5年半が経過する間に、開発者を取り巻く環境は大きく変化した。まず、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって、人々のコミュニケーションが物理的な接触からオンラインへと劇的に移行した。これにより、従来のDevRel活動の中心であったオフラインの技術イベントや勉強会が開催できなくなり、オンラインでのイベント開催が主流となった。オンライン化は、地理的な制約なく多くの参加者を集めることが可能になった一方で、偶発的な出会いや、深い人間関係を築く上での課題も浮上した。参加者同士の直接的な交流が減り、イベントの雰囲気を共有しにくいといった側面も生まれた。

さらに、近年における生成AIの爆発的な普及も、開発者の仕事や情報収集の方法に大きな影響を与えている。GitHub Copilotのようなコード生成AIの登場により、開発者はコーディングの一部をAIに任せることができるようになり、作業効率が向上した。また、ChatGPTなどの対話型AIは、技術的な疑問の解決や情報収集の手段として活用されるようになった。これにより、開発者はより高度で創造的な業務に集中できるようになったが、同時にAIが生成する情報の正確性や信頼性を判断する能力も求められるようになった。AIは大量の情報を瞬時に提供できる一方で、文脈を深く理解した上での洞察や、人間ならではの共感に基づくコミュニケーションは苦手とする。

このような環境変化を経て、当時のDevRelの原則が今も通用するのか、そしてこれからのDevRel担当者には何が求められるのかという問いが生まれている。結論から言えば、「エンジニアフレンドリーになる」というDevRelの本質的な目標は変わらない。しかし、その実現のためのアプローチや手法は大きく進化する必要がある。

オンライン化の進展は、より多くの開発者にリーチする機会を増やしたが、その中でいかに参加者同士の「つながり」や「コミュニティ」を育むかが新たな課題となった。単に情報を発信するだけでなく、オンライン上での交流を促進するための工夫や、バーチャルイベントでも人間的な温かみを感じさせる演出が求められるようになった。

生成AIの普及は、DevRelに二重の影響を与えている。一つは、AIが開発者の情報収集や作業の一部を代替するようになったことで、DevRelが提供すべき情報の質と種類が変化したこと。AIが簡単に答えを出せるような基本的な情報だけでなく、より深い洞察、独自の視点、または実践的な経験に基づいた信頼性の高い情報がより一層求められるようになった。もう一つは、AI自体がDevRel活動の強力なツールになり得るということ。例えば、AIを活用してイベントのコンテンツを生成したり、ドキュメントの翻訳を効率化したり、開発者の質問に対する回答のドラフトを作成したりするなど、DevRel担当者の業務効率を向上させる可能性を秘めている。

これからのDevRel担当者には、技術の変化に常にキャッチアップし、開発者の視点に立って物事を考える共感力が一層重要となる。AIが普及しても、開発者は最終的には「人」とのつながりや「人」からの信頼を求める。AIが代替できない、人間ならではのコミュニケーション能力、つまり相手の課題を深く理解し、それに対して適切な解決策や情報を提供できる能力がより価値を持つようになるだろう。また、開発者がAIを使って直面する新たな課題や疑問に対して、専門家としてガイドする役割も期待される。DevRelは、単なる情報提供者にとどまらず、開発者コミュニティの中で「信頼できる案内人」や「相談相手」としての役割を強化していく必要があるのだ。

要するに、DevRelは、コロナ禍によるコミュニケーションのオンライン化と、生成AIによる開発者の働き方の変化という二つの大きな波を受けて、その活動の形を変えつつある。しかし、その根底にある「開発者との良好な関係を築き、彼らの成功を支援する」という理念は変わらない。未来のDevRelは、最新技術を巧みに活用しつつも、人間的なつながりや共感を何よりも大切にする活動へと進化していくことだろう。

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