【ITニュース解説】Hike, once a unicorn, shuts down as India cracks down on real-money gaming
2025年09月13日に「TechCrunch」が公開したITニュース「Hike, once a unicorn, shuts down as India cracks down on real-money gaming」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
元ユニコーン企業のHikeが閉鎖した。かつてはWhatsApp対抗のメッセージアプリだったが、リアルマネーゲームに事業転換。インド政府によるリアルマネーゲームへの厳しい規制が原因となった。
ITニュース解説
かつてインドのテック業界で大きな期待を背負い、ユニコーン企業として注目されたHikeという企業が、ついにそのサービスを終了した。このニュースは、IT業界を目指すシステムエンジニアの皆さんにとって、技術力だけでは企業の未来が保証されないこと、そしてビジネスを取り巻く法規制や社会情勢の理解がいかに重要であるかを教えてくれる好例と言える。
Hikeは、元々「WhatsAppの競合」を目指してインドでスタートしたメッセージングアプリだ。WhatsAppは世界中で広く使われているコミュニケーションツールだが、Hikeはインド市場に特化し、ローカルなニーズに応えることで急成長を遂げた。ユニコーン企業とは、企業価値が10億ドル(約1500億円)以上と評価される、未上場のスタートアップ企業を指す言葉で、Hikeもその一つとして、投資家から多額の資金を集め、将来を嘱望されていた。多くのユーザーを獲得し、インドのメッセージング市場で確固たる地位を築くかと思われたが、世界的な競合との差別化や収益化の難しさといった課題に直面する。
そこでHikeは、ビジネスの方向性を大きく転換する「ピボット」と呼ばれる戦略に打って出た。それが「リアルマネーゲーミング」分野への進出だった。リアルマネーゲーミングとは、プレイヤーが実際のお金を賭けて参加し、勝利すれば報酬としてお金を得られるタイプのデジタルゲームを指す。ポーカーやルーレットのようなカジノゲームだけでなく、スポーツの試合結果を予想するファンタジースポーツや、スキルを競うクイズゲームなども含まれる場合がある。インドではスマートフォンの普及が進み、オンラインゲーム市場が急拡大していたため、Hikeはこの分野に大きなビジネスチャンスを見出した。メッセージングアプリで培ったユーザー基盤を活かし、ゲームプラットフォームとして収益を上げようとしたのだ。
しかし、このリアルマネーゲーミングというビジネスモデルは、多くの国で法的な規制の対象となることが少なくない。なぜなら、ギャンブル依存症や詐欺、マネーロンダリング(資金洗浄)といった社会問題を引き起こす可能性があるためだ。インド政府もこの動きを注視しており、リアルマネーゲーミングに対する規制強化に乗り出した。政府は「広範な禁止措置」を打ち出し、リアルマネーゲーミング事業に厳しい制限を課したり、一部を完全に禁止したりする政策を導入した。これは、企業が事業を行う上で最も重要な基盤である「合法性」を根底から揺るがすものだった。
結果として、Hikeのリアルマネーゲーミング事業は、インド政府による規制強化の直撃を受けた。ビジネスの前提となる市場が縮小し、あるいは消滅してしまったため、事業の継続が極めて困難になったのだ。かつてユニコーンと呼ばれ、輝かしい未来が期待された企業であっても、このような環境の変化には抗しきれなかった。最終的にHikeは、サービスの提供を終了する「サンセッティング」という決断を下した。これは、一つのベンチャー企業が壮大な夢を追いながらも、外部環境の変化によって道を閉ざされた悲劇的な事例と言える。
システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このHikeの事例から学ぶべき点は非常に多い。まず、技術力はIT企業の根幹ではあるが、それだけではビジネスは成り立たないということだ。Hikeには優れた技術者が集まり、魅力的な製品を開発してきたはずだが、法規制の変更一つでその技術が社会で活用できなくなることがある。IT業界で成功するためには、単にコードを書くスキルだけでなく、自社がどのようなビジネスモデルで収益を上げているのか、そのビジネスがどのような法律や規制の枠組みの中で行われているのか、社会やユーザーにどのような影響を与える可能性があるのかといった、幅広い知識と視点を持つことが不可欠だ。
さらに、市場の動向や社会情勢の変化を常に意識することも重要になる。技術は常に進化し、それに伴い新しいビジネスモデルが生まれる一方で、社会的な課題や倫理的な問題も浮上することがある。政府の政策や世論が、IT企業の命運を分けることもあるのだ。システムエンジニアとして、自分が開発するシステムやサービスが、法律的に問題ないか、社会的に受け入れられるものか、そして長期的に持続可能なビジネスモデルに基づいているかといった視点を持つことは、将来のキャリアにおいて大きな強みとなるだろう。Hikeの事例は、技術的な専門知識に加え、ビジネスを取り巻く多様な要因を理解し、それらに柔軟に対応していく能力が、IT業界で働く私たち全員に求められていることを示している。