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【ITニュース解説】世界最古のミイラはエジプトではなく1万年以上前の東南アジアや中国で死者を「薫製」にして作られていた

2025年09月16日に「GIGAZINE」が公開したITニュース「世界最古のミイラはエジプトではなく1万年以上前の東南アジアや中国で死者を「薫製」にして作られていた」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

「ミイラはエジプト」という通説を覆す新発見があった。1万年以上前、東南アジアや中国で死者を「薫製」にする方法で、世界最古のミイラが作られていたことが新たな研究で明らかになった。エジプトよりもはるか昔に独自のミイラ文化が存在した。

ITニュース解説

「ミイラ」という言葉を聞くと、多くの人がすぐに古代エジプトのファラオや貴族の遺体を思い浮かべるだろう。乾燥した砂漠地帯で、特殊な技術を使って死者を永遠に保存しようとした試みは、人類の歴史の中でも特に印象的な文化の一つだ。エジプトのミイラ作りは、内臓を取り除き、ナトロンという塩で体液を抜き、樹脂や包帯で体を処理するという、比較的複雑で時間のかかるプロセスを経ていた。この技術は、当時の高度な文明や豊かな宗教観が背景にあったと考えられ、現代においてもその精巧さは驚きをもって受け止められている。

しかし、最近の研究が、このミイラの歴史に対する私たちの一般的な認識を大きく塗り替える発見をもたらした。最新の科学的調査によって明らかになったのは、これまで知られていたエジプトのミイラよりもはるかに古い時代、具体的には1万年以上も前に、別の地域でミイラが作られていたという驚くべき事実だ。1万年以上前というと、エジプトで最初の王朝が成立するよりもさらに数千年、メソポタミア文明が栄えるよりもずっと前の時代にさかのぼる。当時の人類はまだ農耕を始めたばかりか、狩猟採集生活を送っていた段階であり、現代のような高度な文明社会を築いていたわけではない。この発見は、人類の死生観や文化の発展に関するこれまでの理解を根本から見直す必要性を示唆している。

新たにミイラが発見されたのは、エジプトからは地理的に大きく離れた、東南アジアや中国の一部地域であった。そして、そのミイラの製造方法は、エジプトのそれとは全く異なり、当時の人々が身近な資源と環境を利用して編み出した、極めて独創的なものだった。彼らが用いたのは、食物の保存方法として現代でも広く使われている「薫製(燻製)」の技術であったとされている。

「薫製」とは、煙と熱を使って物質を乾燥させ、保存性を高める技術のことだ。この技術は、肉や魚といった食品を腐敗から守り、風味を豊かにする方法として、世界各地のさまざまな文化で古くから利用されてきた。東南アジアや中国の古代の人々が、この薫製の原理を人間の遺体に応用したことは、当時の知恵と創意工夫の深さを示すものと言える。

当時の東南アジアや中国の多くは、高温多湿な気候に恵まれており、遺体の腐敗が非常に早く進む環境であった。このような状況下で遺体を長期間保存するためには、ただ乾燥させるだけでは不十分であり、より強力な防腐処理が必要だった。そこで、彼らは死者を火にかざし、煙でいぶすという方法を選択した。煙には、フェノール類やクレオソートといった防腐作用を持つ様々な化合物が含まれており、これらが遺体の表面に付着することで、腐敗の原因となる微生物の増殖を抑制する効果があった。同時に、熱を加えることで遺体内の水分が効率的に蒸発し、組織が乾燥する。水分が失われることは、微生物が活動するための必須条件を奪うことになり、これもまた強力な防腐効果をもたらした。

このようにして、高温と煙によって処理された遺体は、内臓が残されたままでも、極めてゆっくりと分解が進むか、あるいはほとんど分解せずに長期間その姿を保つことができたのである。これは、現代の科学的知見から見ても、当時の環境下で非常に合理的な保存方法であったと言える。彼らは、現代の化学知識を持たずとも、経験と観察に基づいて、自然界の物質の特性を深く理解し、それを死者への敬意や共同体の文化的なニーズと結びつけて応用していたのだ。

この「薫製ミイラ」の発見は、単にミイラの歴史を塗り替えるだけでなく、人類の文化的な多様性と、技術発展の経路に対する我々の理解を深める重要な意味を持っている。エジプトのような高度に組織化された社会や複雑な宗教体系がまだ確立されていない時代に、人々が死者に対して深い敬意を抱き、その存在を長く記憶に留めようとする強い欲求を持っていたことが示される。そして、その欲求を満たすために、彼らが利用可能な自然資源と基本的な物理化学的原理を巧みに組み合わせて、独自の技術を生み出したことが明らかになった。

これは、人類がどのようにして環境に適応し、問題を解決し、知識や技術を次世代へと伝えてきたかを示す、貴重な事例である。異なる地域、異なる時代において、それぞれ独自の制約と機会の中で、人々が創意工夫を凝らして生命の終わりに向き合い、その形を残そうと努めてきた歴史の一端が、この発見によって鮮明に浮かび上がったと言えるだろう。

この最新の研究は、私たちが歴史や文化、さらには人類そのものについて抱いていた固定観念を打ち破り、未知の領域へと探求の視野を広げるきっかけを与えてくれる。過去の事実や知識は、常に新しい情報や科学技術の進歩によって更新される可能性を秘めている。この古代の発見は、まさにそのことを私たちに教えてくれる、極めて重要な事例と言えるだろう。

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