【ITニュース解説】Oxford Entrance Exam Question — Infinite Nested Radicals

2025年09月10日に「Medium」が公開したITニュース「Oxford Entrance Exam Question — Infinite Nested Radicals」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

オックスフォード大学の入試で出題された、√が無限に続く「無限多重根号」の解法を解説。一見複雑な数式も、方程式として捉えることでシンプルな解を導き出せる。問題解決へのアプローチは、SEに必須の論理的思考力を鍛える良い訓練となる。

ITニュース解説

オックスフォード大学の入学試験で出題された「無限多重根号」に関する数学パズルが話題となっている。これは、√2+√(2+√(2+...))のように、平方根の中に同じ形の式が無限に続いていく数式の値を求める問題である。一見すると、無限に続く計算をどう扱えばよいのか戸惑うかもしれないが、この問題は特定の考え方を用いることで、驚くほどシンプルに解くことができる。そして、その問題解決へのアプローチには、システム開発における重要な思考法、特に「再帰」の概念と共通する点が多く含まれている。

この問題を解く鍵は、無限に続く数式の中に潜む「自己参照構造」を見つけ出すことにある。まず、求めたい値、つまり式全体を一つの変数、例えば x と置く。 x = √2+√(2+√(2+...)) ここで、式の構造をよく観察すると、一番外側の平方根の中にある「2+」以降の部分、つまり「√(2+√(2+...))」が、元々の式全体である x と全く同じ形をしていることがわかる。無限に続くからこそ、一部分を取り出しても全体と同じ形になるという性質が生まれるのである。この発見により、無限に続く複雑な式を、以下のような有限の方程式に書き換えることができる。 x = √(2 + x) この「置き換え」こそが、無限の問題を有限の領域で扱うための決定的な一歩となる。

上記の方程式は、もはや無限を含んでいないため、標準的な代数学の手法で解くことが可能だ。まず、両辺を2乗して平方根を取り除く。 x² = 2 + x 次に、全ての項を左辺に移動させて、二次方程式の標準形である「ax² + bx + c = 0」の形に整理する。 x² - x - 2 = 0 この二次方程式は因数分解によって解くことができる。足して-1、掛けて-2になる二つの数を見つけると、それは-2と+1である。したがって、方程式は次のように因数分解される。 (x - 2)(x + 1) = 0 この式が成り立つためには、(x - 2)が0になるか、(x + 1)が0になるかのどちらかである必要がある。よって、解は x = 2 または x = -1 となる。ここで、二つの解候補が得られたが、どちらが正しい答えなのかを検証しなければならない。元の式 x = √2+√(2+√(2+...)) を見直すと、この式は正の数の平方根を足し合わせているため、その値が負になることはありえない。したがって、x は正の数でなければならない。この条件から、解候補の一つである x = -1 は不適切であり、唯一の正しい解は x = 2 であると結論づけられる。

この無限多重根号の問題解決プロセスは、システムエンジニアが日常的に用いる思考法と深く関連している。特に重要なのが「再帰」という概念である。再帰とは、ある関数や処理の定義の中に、それ自身を呼び出すコードが含まれている構造を指す。例えば、あるディレクトリ内の全てのファイルをリストアップするという処理を考える場合、「現在のディレクトリのファイルをリストアップし、もしサブディレクトリがあれば、そのサブディレクトリに対して『自分自身(全てのファイルをリストアップする処理)』を実行する」という再帰的なプログラムを書くことができる。 無限多重根号の「式の一部が式全体と同じ形をしている」という構造は、この再帰の考え方と本質的に同じである。複雑で終わりが見えないように思える問題でも、その中に自己相似的な単純なパターンを見つけ出し、それを基に問題を定義し直すことで、簡潔な解法にたどり着くことができる。この能力は、複雑なシステムを設計する際に、問題をより小さく、管理しやすいコンポーネントに分割し、それらを組み合わせて全体のソリューションを構築する上で極めて重要となる。大規模なソフトウェアのアーキテクチャ設計や、複雑なアルゴリズムの実装において、このような抽象化と構造化のスキルは不可欠である。 この数学パズルは、単に計算能力を試すものではなく、複雑な問題に直面した際に、その本質的な構造を見抜き、単純なモデルに置き換えて解決に導くという、問題解決能力そのものを問うている。この種の論理的思考力を鍛えることは、将来システムエンジニアとして活躍するために非常に有益な訓練となるだろう。