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【ITニュース解説】Power Query or DAX: Make the Right Choice Every Time

2025年09月11日に「Medium」が公開したITニュース「Power Query or DAX: Make the Right Choice Every Time」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Power BIでデータを扱う際、Power QueryとDAXのどちらでデータを加工すべきか。データ変換と計算の適切な使い分けが重要だ。Power Queryは「エンジンルーム」でデータを整形し、DAXは「オンザフライ」で計算を行う。この違いを理解し、効率的なデータ処理を見極めるポイントを解説する。

ITニュース解説

Power BIなどのモダンなビジネスインテリジェンスツールにおいて、データを効果的に活用するためには、そのデータを適切に準備し、分析する技術が不可欠だ。特に、データの準備段階を担うPower Queryと、分析段階で複雑な計算を実行するDAX(Data Analysis Expressions)の二つの機能は、Power BIの中核を成す。これら二つのツールは目的と役割が大きく異なり、それぞれの特性を理解し、適切に使い分けることが、効率的かつ高性能なデータモデルを構築する鍵となる。

まず、Power Queryはデータの「エンジンルーム」と表現される。これは、データソースからデータを取得し、整形、結合、変換といった前処理を行うための強力なツールだ。Power Queryの主な役割は、生データを分析に適したクリーンで構造化された形式にすることにある。例えば、複数のデータソースからデータを抽出し、それらを結合したり、不要な列を削除したり、データ型を統一したり、誤ったデータを修正したり、行をフィルタリングしたりといった操作が可能だ。具体的な例としては、顧客リストと注文履歴を結合して、各顧客の総購入額を計算するための基盤を作成したり、複数のExcelファイルのシートを一つにまとめたり、日付形式が不揃いな列を標準形式に変換したりすることが挙げられる。これらの操作は、M言語と呼ばれる専用のプログラミング言語によって記述されるが、多くの場合、ユーザーインターフェースを通じて直感的に操作できるため、M言語を直接記述する必要はない。Power Queryで一度作成した変換ステップは、データソースが更新されるたびに自動的に再適用されるため、データの更新作業を大幅に自動化できる。これにより、データの品質を向上させ、分析担当者がデータクレンジングにかける時間を削減し、より本質的な分析業務に集中できるようになる。Power Queryでの処理は、データモデルが読み込まれる前に実行されるため、データモデルのサイズを最適化し、Power BIレポートのパフォーマンスを向上させる効果も期待できる。

一方、DAXはデータの「オンザフライ」での計算を担当する。これは、Power Queryによって準備されたデータモデルに対して、分析に必要な計算やメジャー(測定値)、算出列を作成するための関数言語だ。DAXの主な役割は、既存のデータに対してビジネスロジックを適用し、インサイトを引き出すことにある。例えば、売上合計、平均利益、前年比成長率、特定のカテゴリの顧客の割合など、複雑なビジネス指標を計算するために使用される。これらの計算は、レポートやダッシュボードでユーザーがスライサーやフィルターを操作するたびに、リアルタイムで再計算される。DAXには、SUM、AVERAGE、CALCULATE、FILTERなど、非常に多くの関数が用意されており、これらを組み合わせて柔軟な分析式を作成できる。DAXの強力な点の一つに、コンテキストの概念がある。これは、計算が実行される際に、どのデータが考慮されるかという状況を指す。具体的には、テーブルコンテキスト(現在の行の値)とフィルターコンテキスト(適用されているフィルター条件)があり、これらのコンテキストを理解することで、複雑な分析ロジックを正確に表現できる。例えば、特定の地域の売上だけを計算したり、特定の期間のデータのみで平均値を算出したりすることが可能だ。DAXで作成されたメジャーは、データモデルのサイズに直接影響を与えず、分析の柔軟性を高める。これにより、ユーザーは多角的な視点からデータを探索し、ビジネス上の意思決定に役立つ情報を得ることができる。

それでは、Power QueryとDAXのどちらをいつ使うべきなのだろうか。この選択は、データ処理の性質と目的によって決まる。基本的な原則として、「可能な限りPower Queryでデータを整形し、DAXは分析に必要な計算に限定する」という考え方がある。

Power Queryを使用すべきなのは、データソースから読み込んだデータを永続的に変更・整形したい場合だ。例えば、データ型を修正する、不要な列や行を削除する、複数のテーブルを結合・追加する、データの重複を削除する、列の名前を変更する、日付や時刻の形式を標準化する、ピボットやアンピボット操作を行うといった、データそのものの構造や内容を根本的に調整する作業はPower Queryの役割だ。これらの操作は、データモデルに読み込まれる前に実行されるため、よりクリーンで効率的なデータセットが作成され、DAXでの計算がシンプルになり、結果としてレポートのパフォーマンス向上に寄与する。Power Queryで処理することで、データモデルのサイズを小さく保ち、メモリ使用量を削減できるという利点もある。

一方、DAXを使用すべきなのは、データモデルにロードされたデータに対して、動的かつビジネスロジックに基づいた計算を実行したい場合だ。例えば、売上合計や平均利益などの集計値、前年比や月次成長率などの時間ベースの比較、特定の条件を満たす項目のカウント、パーセンテージや比率の計算、ランキングの作成、ユーザーのフィルター選択に応じて動的に変化する指標などはDAXの得意分野だ。DAXで作成されたメジャーは、データモデル自体を変更せず、ユーザーがレポートを操作するたびに必要な計算が実行されるため、分析の柔軟性が非常に高い。同じデータセットを使って、さまざまな角度からの分析を可能にする。

誤った選択は、パフォーマンスの問題やメンテナンスの困難さを引き起こす可能性がある。例えば、Power Queryで実行すべきデータ整形作業をDAXで無理やり行おうとすると、複雑なDAX式が必要になり、パフォーマンスが低下したり、理解しにくいデータモデルになったりする可能性がある。逆に、DAXで動的に計算すべき指標をPower Queryで静的に作成してしまうと、分析の柔軟性が失われ、ユーザーが多様な視点でデータを探索できなくなる。

結論として、Power Queryはデータの土台を構築し、クリーンで分析に適した状態に整える「データの準備工場」であり、DAXはその土台の上で高度な分析ロジックを組み込み、ビジネスインサイトを生み出す「分析エンジン」である。これら二つのツールをそれぞれの役割に応じて適切に使い分けることで、システムエンジニアを目指す初心者も、効率的で高性能なデータ分析ソリューションを構築できるようになるだろう。適切な選択は、Power BIプロジェクトの成功を左右する重要な要素だ。

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