【ITニュース解説】Sphere and Ray Collision Detection Tutorial
2025年09月08日に「Reddit /r/programming」が公開したITニュース「Sphere and Ray Collision Detection Tutorial」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
3Dグラフィックスやゲーム開発の基礎となる、球と光線(レイ)の衝突判定技術を解説。物体同士が接触したかを数学的に計算し、プログラムで判定する仕組みを学ぶことができるチュートリアルだ。(102文字)
ITニュース解説
3Dグラフィックスやゲームの世界では、物体同士が接触したかどうかを判断する「衝突判定」が極めて重要な技術である。その中でも、最も基本的かつ頻繁に利用されるのが「球」と「レイ」の衝突判定だ。レイとは、特定の点から特定の方向へまっすぐに進む、いわば光線のようなものを指す。この判定は、例えばシューティングゲームで発射された弾丸が敵に命中したか、あるいはCGでリアルな影や反射を計算する際に光が物体に当たったかを判断するために不可欠なアルゴリズムである。ここでは、この球とレイの衝突判定を実現するための、代表的な二つのアプローチについて解説する。
具体的な問題は、3次元空間上に配置された球の中心座標と半径、そしてレイの始点と進行方向が与えられたときに、それらが交差するかどうかを判定することだ。さらに、交差する場合には、その交点の座標を正確に求める必要がある。この問題を解決する手法として、図形的な性質を利用する「幾何学的アプローチ」と、数式を解く「代数的アプローチ」が存在する。
幾何学的アプローチは、図形を描き、その関係性から答えを導き出す直感的なアプローチである。主に中学校で習うピタゴラスの定理(三平方の定理)を応用する。まず、レイの始点と球の中心を結ぶベクトルを考える。このベクトルとレイの進行方向ベクトルとの関係を調べることで、レイが球の方向を向いているかどうかを判断できる。もしレイが球とは逆の方向を向いている場合、衝突は起こり得ないため、ここで計算を終了できる。次に、レイが球の方向を向いている場合、球の中心からレイ(直線)に対して垂線を下ろし、その最短距離を計算する。この計算には、ベクトルの射影という考え方が用いられる。この最短距離が、球の半径よりも長ければ、レイは球のそばを通り過ぎるだけであり、衝突はしない。逆に、最短距離が半径よりも短ければ、レイは球の内部を通過、つまり衝突することが確定する。最短距離がちょうど半径と等しい場合は、レイが球の表面に接する状態となる。衝突が確認されたら、次に交点の座標を求める。ここでもピタゴラスの定理が活躍する。球の中心、レイとの最短距離の点、そして実際の交点の三点を結ぶと直角三角形が形成される。球の半径が斜辺、先ほど計算した最短距離が三角形の一辺となるため、残りの一辺の長さ、すなわち最短距離の点から交点までの距離を計算できる。これにより、レイの始点から二つの交点(球に入るところと出るところ)までの正確な距離が分かり、最終的な交点座標を算出することが可能となる。
もう一つの方法は、図形を数式で表現し、連立方程式を解くことで交点を求める、より数学的なアプローチである。まず、レイ上の任意の点の座標を、始点と方向、そして始点からの距離を表す変数tを用いた方程式で表現する。同様に、球も中心座標と半径を用いた方程式で表現できる。これは、球の中心から球表面上の任意の点までの距離が常に半径に等しいという関係式である。次に、レイの方程式を球の方程式に代入する。これにより、レイ上の点が球の表面上にも存在する条件、つまり交差する条件を満たすための方程式が得られる。この方程式を整理すると、変数tに関する二次方程式の形になる。二次方程式を解く方法は、数学で学んだ判別式と解の公式を利用する。まず判別式の値を計算し、その符号を調べる。判別式が負の値であれば、二次方程式は実数解を持たない。これは、レイと球が交差しないことを意味する。判別式がゼロであれば、解は一つだけ存在する。これはレイが球にちょうど接する状態に対応する。そして、判別式が正の値であれば、解は二つ存在する。これはレイが球を貫通し、二つの交点を持つことを示している。解が存在する場合、解の公式を用いてtの値を具体的に計算する。このtの値がレイの始点から交点までの距離を表しているため、これを元のレイの方程式に代入することで、交点の具体的な3次元座標を求めることができる。この代数的アプローチは、幾何学的なアプローチに比べて場合分けが少なく、プログラムとして実装する際に堅牢で効率的なコードを書きやすいという利点がある。
これら二つのアプローチによって実現される球とレイの衝突判定は、多くの先進的な技術の基礎となっている。特に、写真のようにリアルな画像を生成する「レイトレーシング」技術では、画面上の各ピクセルから仮想的な光線(レイ)を放ち、それがシーン内の物体とどこで交差するかを計算することが全ての基本となる。その最初のステップが、まさにこの衝突判定である。また、ゲーム開発における当たり判定や、物理演算シミュレーションで物体の動きを計算する際にも、このアルゴリズムは広く応用されている。一見すると単純な計算に見えるかもしれないが、このように高度なシステムの根幹を支える非常に重要な要素技術なのだ。システムエンジニアを目指す上で、このような基礎的なアルゴリズムを数学的な背景と共に理解することは、より複雑で大規模なシステムを構築するための確かな土台となるだろう。