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【ITニュース解説】Show HN: Zedis – A Redis clone I'm writing in Zig

2025年09月20日に「Hacker News」が公開したITニュース「Show HN: Zedis – A Redis clone I'm writing in Zig」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

「Zedis」は、システムエンジニアがプログラミング言語Zigを使い、高速データストア「Redis」の機能を再現して開発中のソフトウェアだ。GitHubで公開され、その取り組みが注目を集めている。

ITニュース解説

今回のニュースは、「Zedis」というプロジェクトについてだ。これは、現代のITシステムで広く使われている高速なデータベース「Redis」を、「Zig」という比較的新しいプログラミング言語で一から作り直す(クローンする)という試みである。開発者が自身のGitHubリポジトリでこのプロジェクトを公開し、「Show HN」という形で技術コミュニティに紹介したことで注目を集めている。

まず、Zedisがターゲットとしている「Redis」がどのようなものか説明する。Redisは「Remote Dictionary Server」の略で、非常に高速なデータ構造ストアだ。データ構造ストアとは、情報を様々な形式で効率的に保存し、素早く取り出せるようにするシステムを指す。Redisの最大の特徴は、「インメモリデータベース」である点だ。インメモリとは、データをコンピュータのメインメモリ(RAM)に保存することを意味する。一般的なデータベースがデータをハードディスクなどのストレージに保存するのに対し、メモリは読み書きの速度が桁違いに速いため、Redisはデータを驚くほどの速度で処理できる。この高速性から、Redisは主にウェブアプリケーションの「キャッシュ」として利用されることが多い。キャッシュとは、一度アクセスしたデータを一時的に保存しておき、次に同じデータが必要になったときに再度計算したりデータベースから取得したりする手間を省き、処理を高速化する仕組みのことだ。さらにRedisは、アプリケーション間でリアルタイムにメッセージをやり取りするための「メッセージブローカー」や「メッセージキュー」としても活用される。これは、複数のシステムやサービスが連携し合う分散システムにおいて、非常に重要な役割を担う機能である。Redisはシンプルなキーと値のペアだけでなく、リスト、セット、ハッシュ、ソート済みセットなど、多様なデータ構造をサポートしており、これらが現代の高性能なウェブサービス開発に不可欠なツールとなっている理由だ。

次に、Zedisの開発に使われているプログラミング言語「Zig」について解説する。Zigは、近年注目を集めているシステムプログラミング言語で、C言語の後継を目指して設計されている。システムプログラミング言語とは、オペレーティングシステムや組み込みシステム、あるいは高性能なアプリケーションなど、コンピュータのハードウェアに近い部分を直接制御するために使われる言語のことだ。Zigの設計思想の核にあるのは、メモリ管理の明示性、安全性、そしてパフォーマンスの高さである。開発者はメモリの使用方法を厳密に記述する必要があるが、これによりメモリ関連の潜在的なバグを未然に防ぎ、同時に高いパフォーマンスを引き出すことができる。また、ZigはC言語との互換性が非常に高く、既存のC言語ライブラリを簡単に組み込んで利用できるため、C言語が長年築き上げてきた豊富な資産を活用できる点が大きな強みだ。シンプルな構文を持ちながら、コンパイル時にコードを最適化したり、コード生成を行ったりする強力な機能(コンパイル時メタプログラミング)も備えている。このような特性から、Zigは今回のようなデータベースのコア部分や、ネットワーク通信を高速かつ安全に処理するようなシステム開発において、大きな可能性を秘めていると期待されている。

では、なぜ開発者はRedisのクローンをZigで書こうとしているのだろうか。その主な動機は、新しいプログラミング言語であるZigを深く学習すること、そして複雑なシステムをゼロから構築する経験を積むことにある。新しい言語を習得する上で最も効果的な方法は、実際にその言語を使って、意味のある、かつ挑戦的なプロジェクトを開発することだ。Redisのように、高いパフォーマンスが求められ、ネットワーク通信や多様なデータ構造を扱うシステムを構築することは、Zigという言語の設計思想や機能、特性を実践的に理解するための最高の教材となる。また、高性能なデータベースを自らの手で設計し実装する過程を通じて、システムのアーキテクチャ、メモリの効率的な管理、並行処理といった、システムエンジニアにとって極めて重要な知識とスキルを身につけることができる。開発者は、Zigの持つ優れたパフォーマンス特性やメモリ効率を最大限に活用し、オリジナルのRedisとどのようなパフォーマンス差が出るのか、あるいはZigの並行処理やネットワーキング機能をどのように最適に利用できるのかといった技術的な探求にも強い関心を抱いている。このような技術への飽くなき探求心と学習意欲が、Zedisのような野心的なプロジェクトを生み出す原動力となっているのだ。

現在のZedisプロジェクトはまだ開発の初期段階にある。しかし、すでにRedisの基本的なコマンドである「PING」(サーバーが応答しているかを確認)、「SET」(キーと値のペアを保存)、「GET」(キーに対応する値を取得)、「DEL」(キーを削除)、「EXISTS」(キーの存在確認)といった中核機能は実装済みだ。これは、Zedisがデータベースとして基本的な動作を実現していることを示している。プロジェクトのロードマップには、さらに多様なデータ構造を扱うコマンドや、Redisが提供する高度な機能であるPub/Sub(メッセージの購読と発行)などの実装が計画されている。オープンソースプロジェクトであるため、今後、他の開発者からの協力や貢献も期待され、機能がさらに充実していくことが見込まれる。

Zedisのような個人開発プロジェクトは、システムエンジニアを目指す初心者にとって、多くの貴重な学びの機会を提供する。既存の高性能ソフトウェアがどのように設計され、どのような技術的な課題を解決しているのかを深く理解する手がかりとなるだろう。また、新しいプログラミング言語の特性を実践を通じて学び、複雑なシステムがどのように構築されていくかを追体験することは、自身の技術的な視野を広げ、問題解決能力を高める上で非常に有益だ。このような実践的な取り組みを通じて、開発者は自身のスキルを向上させるだけでなく、技術コミュニティに貢献し、他の開発者との交流を深めることにも繋がる。最先端の技術動向に触れながら、基礎から応用までを横断的に学ぶことができるため、システムエンジニアとしてのキャリアを築く上でかけがえのない経験となることは間違いない。

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