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【ITニュース解説】バックエンドTypeScriptでオニオンアーキテクチャを運用してわかった手応えと反省点

2025年09月11日に「Zenn」が公開したITニュース「バックエンドTypeScriptでオニオンアーキテクチャを運用してわかった手応えと反省点」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

バックエンドTypeScriptで、ドメイン駆動設計を実現するためオニオンアーキテクチャを運用した事例を紹介。その運用で得られた手応え(メリット)と反省点(デメリット・課題)を考察している。

ITニュース解説

ある企業がバックエンド開発において、TypeScript言語を用いたNestJSフレームワークと、ドメイン駆動設計(DDD)という開発手法を組み合わせて、オニオンアーキテクチャという設計思想を導入した経験について語る記事である。この経験から得られたメリットや課題は、システムエンジニアを目指す者にとって、実践的な学びとなるだろう。

まず、この企業が採用している技術の全体像について触れる。フロントエンドにはユーザーインターフェースを構築するためのNext.jsを、そしてサーバーサイド、つまりシステムを裏側で支える部分にはNestJSを採用している。これらを「T3-Turbo」という統合された開発環境で運用している。Next.jsはウェブサイトやアプリケーションの見た目や操作感を担当し、NestJSはデータ処理やビジネスロジックの実行、データベースとの連携といった、ユーザーからは直接見えないがシステムの中核をなす部分を担当する。この記事は特にサーバーサイド、つまりNestJSを用いたバックエンドの設計に焦点を当てている。

次に、「ドメイン駆動設計(DDD)」とは何かについて理解する必要がある。DDDとは、ソフトウェア開発を進める上で、そのソフトウェアが解決しようとするビジネス上の「ドメイン」(特定の業務領域や課題)を最も重視する考え方である。例えば、ECサイトであれば「注文」「顧客」「商品」といったビジネス上の概念がドメインの核となる。DDDでは、これらのビジネス上の概念やルールをソフトウェアの設計に直接反映させることで、複雑なビジネスロジックを正確に表現し、ビジネスの変化にも柔軟に対応できる、高品質なシステムを構築することを目指す。

そして、DDDを実現するための具体的な設計手法として、この記事では「オニオンアーキテクチャ」が採用されている。アーキテクチャとは、ソフトウェア全体の骨組みや構造のことである。オニオンアーキテクチャは、その名の通り玉ねぎのように複数の層が重なった構造をしている。一番内側の層には、システムが扱うビジネスの核となるルールや概念が置かれる「ドメイン層」がある。このドメイン層は、いかなる技術的な詳細(例えば、どのデータベースを使うか、どのフレームワークを使うかなど)にも依存せず、純粋にビジネスロジックだけを表現する。

ドメイン層の外側には、「アプリケーション層」が配置される。この層は、ユーザーからの要求(例えば「商品を注文する」)や外部システムからの要求に対して、ドメイン層のビジネスルールを使って具体的な処理の流れを記述する役割を担う。つまり、「何をするか」というアプリケーション固有のユースケース(利用ケース)を管理する層だ。さらにその外側には、「インフラ層」が配置され、データベースとの接続、外部サービスとの通信、ファイルシステムの操作といった、技術的な詳細な実装がここに集約される。

このオニオンアーキテクチャを採用した理由の一つとして、類似の設計思想であるクリーンアーキテクチャと比較して、ユースケース(アプリケーション層)とドメイン(ドメイン層)の境界がより明確である点が挙げられている。この境界がはっきりしていると、それぞれの層が担当する役割が明確になり、開発者がどこに何を記述すべきか迷うことが少なくなる。結果として、コードの品質が向上し、変更やテストがしやすくなるというメリットが期待できる。ドメイン層が技術的な詳細から完全に独立しているため、例えばデータベースを変更するような大規模な技術変更が必要になったとしても、ドメイン層のビジネスロジックに影響を与えることなく対応しやすいという強みがある。

実際にオニオンアーキテクチャを運用してみると、その手応えとして、ビジネスロジックがドメイン層に集中しているため、システムの核となる部分が明確で理解しやすくなったというメリットが考えられる。ビジネスの要件変更があった際にも、影響範囲を限定して素早く対応できるため、システムの保守性や拡張性が向上するだろう。また、各層が独立しているため、特定の機能だけを切り出してテストしやすくなり、品質の高いソフトウェアを開発できる。

一方で、反省点や課題も浮上してくる。このような高度なアーキテクチャや設計思想を導入するには、チーム全体の学習コストが高いという点が挙げられる。DDDやオニオンアーキテクチャの原則を深く理解し、それを実際のコードに落とし込むには、一定の時間と経験が必要となる。特に、初心者にとっては初期の段階でシステムの複雑さが増すように感じられるかもしれない。また、チーム内で設計の共通認識を徹底し、一貫した実装を維持するための規律が求められる。これらの課題は、開発初期の生産性にある程度影響を与える可能性がある。しかし、長期的に見れば、システムの堅牢性や保守性、拡張性を高める上で非常に有効な投資となると考えられる。

この経験は、バックエンド開発におけるTypeScriptとNestJSの活用、そしてDDDとオニオンアーキテクチャを組み合わせた実践的な設計手法の有効性とその課題を示している。システムエンジニアを目指す者は、ただコードを書くだけでなく、どのようにシステムを設計し、ビジネスの要求にどう応えるかを考えることの重要性を、この記事から学ぶことができるだろう。

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