【PHP8.x】startメソッドの使い方
startメソッドの使い方について、初心者にもわかりやすく解説します。
基本的な使い方
startメソッドは、ファイバーの実行を開始するメソッドです。このメソッドを呼び出すと、PHPは現在の実行コンテキストを中断し、Fiberクラスのコンストラクタで指定されたコールバック関数の実行に切り替えます。このとき、startメソッドに渡された引数は、そのままコールバック関数へ引数として渡されます。ファイバーが実行を開始した後、その内部でFiber::suspend()が呼び出されて処理が中断されると、suspend()に渡された値がstartメソッドの戻り値となります。もしファイバーが中断されずに最後まで実行されて正常に終了した場合は、コールバック関数の戻り値がstartメソッドの戻り値として返されます。注意点として、すでに実行中または終了済みのファイバーに対してこのメソッドを呼び出すことはできず、試みた場合はFiberError例外が発生します。このメソッドは、ノンブロッキングな処理や協調的マルチタスキング(コルーチン)を実現するための最初のステップとなります。
構文(syntax)
1// Fiberのインスタンスを作成し、実行する処理 (クロージャ) を渡します。 2$fiber = new Fiber(function(string $message): void { 3 echo "Fiber was started with the message: " . $message; 4}); 5 6// start() メソッドを呼び出して Fiber の実行を開始します。 7// start() に渡した引数は、上記クロージャの引数 ($message) として渡されます。 8$fiber->start('Hello, World!');
引数(parameters)
mixed ...$args
- ...$args: Fiber::start()に渡す任意の引数
戻り値(return)
mixed
Fiber::start() メソッドは、Fiber の実行を開始し、Fiber 内で yield された値、または Fiber の実行が完了した際に返された値を返します。
サンプルコード
PHP Fiberでstr_starts_withを試す
1<?php 2 3/** 4 * Fiber内で文字列が特定のプレフィックスで始まるかを確認する処理を実行します。 5 * 6 * この関数はPHP 8.1で導入されたFiber(ファイバー)の基本的な使い方と、 7 * PHP 8.0で導入されたstr_starts_with関数を組み合わせて、 8 * システムエンジニアを目指す初心者が理解しやすいように構成されています。 9 * 10 * @param string $text チェックする元の文字列。 11 * @param string $prefix 検索するプレフィックス(接頭辞)。 12 * @return string ファイバーの実行結果として返されるメッセージ。 13 */ 14function checkStringStartsWithInFiber(string $text, string $prefix): string 15{ 16 // Fiberインスタンスを作成します。 17 // Fiberは、実行を一時停止し、後で再開できる軽量な並行処理の仕組みです。 18 // ここでは、特定の処理(文字列チェック)をファイバー内で実行します。 19 $fiber = new Fiber(function (string $fiberText, string $fiberPrefix): string { 20 // ファイバー内で処理を開始したことを示します。 21 echo "ファイバー: 処理を開始します。元の文字列: '{$fiberText}', プレフィックス: '{$fiberPrefix}'\n"; 22 23 // str_starts_with関数は、文字列が特定のプレフィックスで始まるかを効率的にチェックします。 24 // PHP 8.0以降で利用可能です。 25 if (str_starts_with($fiberText, $fiberPrefix)) { 26 $result = "ファイバー: はい、'{$fiberText}' は '{$fiberPrefix}' で始まります。"; 27 } else { 28 $result = "ファイバー: いいえ、'{$fiberText}' は '{$fiberPrefix}' で始まりません。"; 29 } 30 31 // ファイバー内で処理を完了したことを示します。 32 echo "ファイバー: 処理を完了します。\n"; 33 34 // ファイバーの実行結果を返します。この値はFiber::start()の戻り値となります。 35 return $result; 36 }); 37 38 // Fiber::start()メソッドを呼び出して、ファイバーの実行を開始します。 39 // ここで渡した引数($text, $prefix)は、Fiberのコールバック関数 40 // (上記の anonymous function) の引数 ($fiberText, $fiberPrefix) として渡されます。 41 // ファイバーが処理を完了すると、その戻り値がFiber::start()から返されます。 42 $fiberResult = $fiber->start($text, $prefix); 43 44 // メインスクリプトでファイバーの実行結果を受け取ったことを示します。 45 echo "メイン: ファイバーから結果を受け取りました。\n"; 46 47 // ファイバーから受け取った最終結果を返します。 48 return $fiberResult; 49} 50 51// --- サンプル実行 --- 52 53echo "--- 実行例 1: 文字列がプレフィックスで始まる場合 ---\n"; 54$output1 = checkStringStartsWithInFiber("HelloWorld", "Hello"); 55echo "最終結果: " . $output1 . "\n\n"; 56 57echo "--- 実行例 2: 文字列がプレフィックスで始まらない場合 ---\n"; 58$output2 = checkStringStartsWithInFiber("OpenSource", "Proprietary"); 59echo "最終結果: " . $output2 . "\n\n"; 60 61echo "--- 実行例 3: 大文字・小文字を区別する場合 (str_starts_withの特性) ---\n"; 62$output3 = checkStringStartsWithInFiber("php", "PHP"); 63echo "最終結果: " . $output3 . "\n\n";
このサンプルコードは、PHP 8.1で導入されたFiber(ファイバー)の基本的な利用方法と、PHP 8.0で導入されたstr_starts_with関数を組み合わせて、文字列が特定のプレフィックスで始まるかを確認する処理を示しています。
Fiberは、実行を一時停止し、後で再開できる軽量な並行処理の仕組みです。まず、実行したい処理を無名関数として指定し、new Fiber()でFiberインスタンスを作成します。
Fiber::start(mixed ...$args)メソッドは、このFiberインスタンスの実行を開始します。引数...$argsに渡された値は、Fiber作成時に指定した無名関数(コールバック関数)の引数として順に渡されます。サンプルコードでは、チェック対象の文字列$textとプレフィックス$prefixがFiber::startに渡され、ファイバー内で利用されます。
ファイバー内の処理では、PHP 8.0以降で利用可能なstr_starts_with()関数を使って、文字列が指定されたプレフィックスで始まるかを効率的にチェックします。この関数は、大文字と小文字を区別して判定します。
ファイバー内の無名関数が処理を完了し、returnで値を返すと、その値がFiber::start()メソッドの戻り値として返されます。これにより、メインスクリプトはファイバーで実行された処理の結果を受け取ることができます。このように、Fiber::startはファイバーの実行開始と結果の取得を担う重要なメソッドです。
Fiber::start()はファイバーの実行を開始し、引数をファイバーのコールバック関数に渡します。引数の順番と型が一致しているか確認してください。str_starts_with()はPHP 8.0から利用可能で、大文字・小文字を区別します。意図しない結果にならないよう注意が必要です。ファイバーは軽量な並行処理の仕組みですが、本格的な並行処理には適していません。複雑な処理には、より高度な並行処理技術を検討しましょう。ファイバーの戻り値はFiber::start()から返されるため、結果の受け取り忘れに注意してください。