起動デバイス (キドウデバイス) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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起動デバイス (キドウデバイス) の読み方

日本語表記

起動デバイス (キドウデバイス)

英語表記

boot device (ブートデバイス)

起動デバイス (キドウデバイス) の意味や用語解説

起動デバイスとは、コンピューターが起動するために必要なオペレーティングシステム(OS)や、それに付随する起動プログラムが格納されている記憶装置を指す。コンピューターの電源を投入した際、最初に読み込まれる情報が格納されている場所であり、システムの動作開始に不可欠な役割を担っている。コンピューターが動き出すためには、まずOSをメモリに読み込む必要があるが、そのOSがどこに保存されているかを指し示すのが起動デバイスの基本的な機能である。 詳細に入ると、コンピューターの起動プロセスにおいて起動デバイスがどのように機能するかを理解することが重要だ。電源が投入されると、まずマザーボード上にあるBIOS(Basic Input/Output System)またはUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)というファームウェアが起動する。これは、コンピューターの基本的なハードウェアを初期化し、利用可能な記憶装置をスキャンする役割を持つ。BIOS/UEFIは、あらかじめ設定された起動順序(ブートオーダー)に従い、どの記憶装置からOSを読み込むかを決定する。設定された起動デバイスが特定されると、そのデバイスの先頭部分に書き込まれている起動プログラム(ブートローダー)が読み込まれる。ブートローダーは、さらにOSのカーネル(OSの中核部分)をメインメモリに展開していくことで、OSが完全に起動し、ユーザーが利用できる状態になる。この一連の流れにおいて、起動デバイスはOSを供給する起点となる。 代表的な起動デバイスとして、まず内部ストレージが挙げられる。最も一般的で広く利用されているのは、ハードディスクドライブ(HDD)とソリッドステートドライブ(SSD)だ。HDDは、内部に磁気ディスクと読み書きを行うヘッドを持つ機械式の記憶装置で、大容量で比較的安価という利点があるが、データへのアクセス速度はSSDに比べて遅く、物理的な衝撃に弱いという欠点がある。一方、SSDはフラッシュメモリを利用した記憶装置で、HDDのような機械的な部品を持たないため、高速なデータアクセスが可能であり、耐衝撃性にも優れている。しかし、HDDに比べて一般的に価格が高価であり、同じ容量であればコストがかさむ傾向がある。近年では、M.2 NVMe SSDと呼ばれる、マザーボードに直接接続する小型のSSDが登場し、SATA接続のSSDよりもさらに高速なデータ転送を実現している。これらの内蔵ストレージは、通常、コンピューターのOSが恒久的にインストールされ、システムのメインの起動デバイスとして機能する。 外部ストレージも起動デバイスとして利用されることがある。例えば、USBメモリや外付けHDD/SSDは、OSのインストールメディアとして利用されたり、トラブル発生時にシステムを修復するためのリカバリメディアとして使われたりすることが多い。また、Live OSと呼ばれる、ストレージにOSをインストールせずに、USBメモリなどから直接起動して利用できるOS環境を構築する際にも活用される。過去には、CD-ROMやDVD-ROM、Blu-rayディスクといった光学メディアもOSのインストールやシステムリカバリの起動デバイスとして広く利用されていたが、データ容量の増加やUSBメモリの普及に伴い、現在では使用頻度が減少している。さらに、ネットワークブート(PXEブートなど)と呼ばれる方法もある。これは、コンピューターがネットワーク経由でサーバーからOSの起動ファイルを読み込み、クライアントコンピューターを起動させる仕組みだ。ディスクレスクライアントや、多数のコンピューターを一元的に管理するデータセンター環境などで利用されることが多い。 起動デバイスの選択と設定は、システムのパフォーマンスと運用において非常に重要だ。例えば、起動デバイスとしてHDDとSSDのどちらを選ぶかで、OSの起動速度やアプリケーションの応答速度に大きな差が出る。SSDを起動デバイスとすることで、より快適なPC利用体験が得られるのはこのためだ。また、BIOS/UEFIの設定画面では、どのデバイスから優先的に起動するかという起動順序を変更できる。これは、新しいOSをインストールする際にUSBメモリやDVDから起動する場合や、リカバリメディアを使ってシステムを修復する場合、あるいは一時的に別のOSを試したい場合などに必要となる操作だ。システムエンジニアを目指す者にとって、これらの起動デバイスの種類、その特性、そして起動プロセスにおける役割を正確に理解することは、システムの構築、運用、トラブルシューティングを行う上で不可欠な基礎知識となる。

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