エルビス演算子(エルビスエンザンシ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
エルビス演算子(エルビスエンザンシ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
エルビス演算子 (エルビスエンザンシ)
英語表記
Elvis operator (エルヴィスオペレーター)
用語解説
エルビス演算子とは、プログラミングにおいて条件分岐を簡潔に記述するための演算子である。多くのプログラミング言語に存在するわけではないが、特定の言語(PHP、Kotlin、Groovyなど)では非常に便利な機能として提供されている。特に、変数がnullまたはnull相当の値である場合に、デフォルト値を設定したり、特定のアクションを実行したりする処理を短く記述できる。
エルビス演算子の名前の由来は、記号の見た目がエルビス・プレスリーの髪型に似ているからと言われている。実際には、言語によって使用される記号は異なるが、一般的には「?:」や「??」などが用いられる。これらの記号がエルビスの横顔に見えなくもない、というのがユーモラスな命名の背景にある。
エルビス演算子の基本的な動作は、左辺の評価結果が真(true)であれば左辺の値を、偽(false)またはnullであれば右辺の値を返すというものである。これは三項演算子 condition ? value_if_true : value_if_false と似ているが、エルビス演算子は特に「左辺がnullかどうか」という条件に特化している点が異なる。
具体的な例を挙げて説明する。PHPの場合、エルビス演算子は「?:」で表される。
1$name = $_GET['name'] ?: '名無し'; 2echo "こんにちは、" . $name . "さん";
この例では、$_GET['name'] が存在し、かつnullでない場合、$name にはその値が代入される。しかし、$_GET['name'] が存在しない、またはnullである場合、$name にはデフォルト値である '名無し' が代入される。これにより、$_GET['name'] が未定義の場合のエラーを回避しつつ、簡潔にデフォルト値を設定できる。
Kotlinの場合、エルビス演算子は「?:」で表される。
1val name = request.getParameter("name") ?: "名無し" 2println("こんにちは、${name}さん")
この例もPHPと同様に、request.getParameter("name") がnullでなければその値を、nullであれば "名無し" を $name に代入する。
Groovyの場合、エルビス演算子も「?:」で表される。
1def name = params.name ?: "名無し" 2println "こんにちは、${name}さん"
これも同様の動作をする。
エルビス演算子のメリットは、コードの可読性と保守性を向上させる点にある。nullチェックとデフォルト値の設定を1行で記述できるため、コードが簡潔になり、処理の流れを把握しやすくなる。また、同じ変数を複数回記述する必要がないため、タイプミスによるバグのリスクを減らすことができる。
例えば、三項演算子を使って同じ処理を記述する場合、以下のようになる。
1$name = isset($_GET['name']) && $_GET['name'] != null ? $_GET['name'] : '名無し';
このコードは、エルビス演算子を使った場合よりも冗長で、可読性が低い。
エルビス演算子は、null安全なプログラミングを支援する強力なツールである。特に、外部からの入力データ(データベース、API、ユーザー入力など)を扱う場合、nullの可能性を考慮する必要があるため、エルビス演算子が非常に役立つ。
ただし、エルビス演算子は万能ではない。複雑な条件分岐や、null以外の値に対する条件分岐には適していない。そのような場合は、通常のif文やswitch文を使用する方が適切である。
また、エルビス演算子は一部のプログラミング言語にしか存在しないため、言語を選ぶ際には注意が必要である。しかし、エルビス演算子を提供する言語であれば、積極的に活用することで、より効率的で保守性の高いコードを書くことができる。
システムエンジニアを目指す上で、エルビス演算子は知っておくと便利な知識の一つである。null安全なプログラミングの概念を理解し、エルビス演算子を適切に活用することで、より高品質なソフトウェアを開発できるようになるだろう。