誤り訂正符号(アヤマテイセイゴウ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
誤り訂正符号(アヤマテイセイゴウ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
誤り訂正符号 (アラヤテイセイゴウ)
英語表記
Error-correcting code (エラーコレクティングコード)
用語解説
誤り訂正符号とは、データ伝送や記憶媒体への記録において発生する可能性のある誤りを検出・訂正するための技術のことである。データの信頼性を高めるために広く利用されており、通信システム、ストレージデバイス、放送システムなど、様々な分野で不可欠な役割を果たしている。
誤り訂正符号の基本的な仕組みは、送信するデータに冗長な情報を付加することにある。この冗長な情報は、受信側で誤りを検出したり、訂正したりするために利用される。例えば、単純な例として、同じデータを複数回送信するという方法が考えられる。受信側は、受信した複数のデータを比較し、最も頻繁に出現するデータを正しいデータと判断することで、誤りを訂正できる可能性がある。しかし、この方法はデータの伝送効率が非常に悪いため、より高度な符号化方式が用いられるのが一般的である。
誤り訂正符号は、大きく分けてブロック符号と畳み込み符号の2種類に分類できる。ブロック符号は、データを一定の長さのブロックに分割し、それぞれのブロックに対して符号化処理を行う。代表的なブロック符号としては、ハミング符号、リード・ソロモン符号、BCH符号などが挙げられる。ハミング符号は、比較的単純な構造を持ち、少数の誤りを効率的に訂正できる。リード・ソロモン符号は、バースト誤りと呼ばれる、連続したビット列の誤りに強いという特徴がある。CDやDVDなどの光ディスクの記録方式で広く利用されている。BCH符号は、任意の誤り訂正能力を持つ符号を設計できるという柔軟性がある。
一方、畳み込み符号は、データをブロックに分割せずに、連続したデータ列全体に対して符号化処理を行う。畳み込み符号は、ビタビアルゴリズムと呼ばれる復号アルゴリズムを用いることで、高い誤り訂正能力を発揮する。無線通信や衛星通信などの分野でよく利用されている。
誤り訂正符号の性能は、符号化率と誤り訂正能力という2つの指標で評価される。符号化率とは、送信するデータ全体のうち、実際に意味のあるデータが占める割合のことである。符号化率が高いほど、データの伝送効率が良いと言える。しかし、一般的に、符号化率を高くすると、誤り訂正能力は低下する傾向にある。誤り訂正能力とは、訂正できる誤りの数や種類のことを指す。誤り訂正能力が高いほど、データの信頼性が高まる。
誤り訂正符号を選択する際には、データの伝送効率とデータの信頼性のバランスを考慮する必要がある。例えば、通信回線の品質が非常に良い環境であれば、符号化率の高い符号を用いることで、効率的なデータ伝送が可能となる。一方、通信回線の品質が悪い環境であれば、誤り訂正能力の高い符号を用いることで、データの信頼性を確保する必要がある。
また、誤り訂正符号の実装には、計算コストがかかるという点も考慮する必要がある。特に、複雑な符号化方式や復号アルゴリズムを用いる場合には、高性能なハードウェアが必要となる場合がある。そのため、システム全体の性能要件やコスト制約などを考慮して、適切な誤り訂正符号を選択する必要がある。
近年では、LDPC符号やターボ符号といった、より高度な誤り訂正符号が開発され、実用化されている。LDPC符号は、非常に高い誤り訂正能力を持つことが知られており、5Gなどの次世代通信システムで利用されている。ターボ符号も、LDPC符号と同様に高い誤り訂正能力を持ち、深宇宙探査などの分野で利用されている。これらの高度な誤り訂正符号は、複雑な構造を持つため、実装には高度な技術が必要となるが、より信頼性の高いデータ伝送を実現するために、重要な役割を果たしている。
このように、誤り訂正符号は、現代の情報社会において、データの信頼性を確保するために不可欠な技術となっている。システムエンジニアを目指す上で、誤り訂正符号の基本的な概念や種類、性能評価指標などを理解しておくことは非常に重要である。