メンバ変数(メンバヘンシュウ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
メンバ変数(メンバヘンシュウ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
メンバ変数 (メンバヘンシュウ)
英語表記
member variable (メンバーヴァリアブル)
用語解説
メンバ変数とは、オブジェクト指向プログラミングにおいて、クラス内に定義される変数のことである。これは、そのクラスから生成される個々のオブジェクト(インスタンス)が持つ「データ」や「状態」を保持する役割を担う。例えば、「人」というクラスがあった場合、その人固有の「名前」「年齢」「身長」といった情報がメンバ変数として定義される。これらのメンバ変数は、生成されたインスタンスごとに異なる値を保持できるため、個々のオブジェクトの特性を識別し、区別するための基盤となる。オブジェクトの「属性」や「フィールド」とも呼ばれることがある。プログラムにおけるオブジェクトは、現実世界のモノや概念を模して作られるが、メンバ変数はそれらのモノが持つ「特徴」や「現在の状況」を数値や文字列といった形で表現するために用いられる、極めて基本的な要素である。オブジェクト指向の三大要素の一つであるカプセル化の実現においても、メンバ変数はその中核をなす存在である。
メンバ変数をより深く理解するためには、まず「クラス」と「インスタンス」の関係性を明確に把握することが重要である。クラスは、オブジェクトを生成するための設計図やテンプレートのようなものであり、どのようなメンバ変数を持つか、どのような振る舞い(メソッド)をするかを定義する。一方、インスタンスは、その設計図に基づいて実際にメモリ上に作られた具体的なオブジェクトの実体である。メンバ変数は、この個々のインスタンスがそれぞれ固有に持つデータを格納するための箱を提供する。
例えば、「商品」というクラスを考える。このクラスには、「商品名」「価格」「在庫数」といったメンバ変数を定義できる。そして、実際に「りんご」というインスタンスを生成すれば、「商品名:りんご、価格:150円、在庫数:100個」という具体的な値を持つ。次に「みかん」という別のインスタンスを生成すれば、「商品名:みかん、価格:120円、在庫数:50個」といったように、それぞれのインスタンスが異なる商品情報を持つことが可能となる。このように、メンバ変数は個々のオブジェクトの状態を正確に表現し、システム内でそれらを区別し、管理するための基礎となる。
メンバ変数のもう一つの非常に重要な側面は、情報隠蔽とカプセル化の原則に深く関わっていることである。オブジェクト指向プログラミングでは、オブジェクトの内部構造やデータ(メンバ変数)を外部から直接操作することを避け、決められた手続き(メソッド)を介してのみアクセスすることが強く推奨される。これは「カプセル化」と呼ばれる原則の一部であり、データの整合性を保ち、オブジェクトが予期せぬ状態になることを防ぐ目的がある。
この目的のために、多くのプログラミング言語では、メンバ変数に対して「アクセス修飾子」を設定する機能を提供する。代表的なアクセス修飾子には、「public」「private」「protected」などがある。例えば、「private」と指定されたメンバ変数は、そのクラスの内部からのみアクセス可能であり、外部のクラスからは直接参照したり変更したりできない。これは、メンバ変数の値が不正に変更されることを防ぎ、オブジェクトの動作をより安定させるために不可欠な仕組みである。
外部からメンバ変数の値を取得したり、新しい値を設定したりする必要がある場合は、「ゲッター(getter)」や「セッター(setter)」と呼ばれる特別なメソッドを定義するのが一般的なプラクティスである。ゲッターメソッドはメンバ変数の値を読み出す役割を担い、セッターメソッドは新しい値を設定する役割を担う。セッターメソッドの内部では、設定される値が有効な範囲内にあるか、データ型が正しいかといった検証処理を追加することが可能であり、これにより不正なデータの格納を未然に防ぎ、システムの堅牢性を高めることができる。
メンバ変数には、ここまで説明してきた個々のインスタンスごとに値を持つ「インスタンス変数」(オブジェクト変数とも呼ばれる)の他に、クラス全体で一つの値を共有する「静的メンバ変数」(あるいは「クラス変数」)という特別な種類も存在する。静的メンバ変数は、特定のインスタンスに依存せず、そのクラスの全てのインスタンス間で共通の値を保持したい場合や、クラス定数を定義する場合などに利用される。しかし、一般的に「メンバ変数」という用語が指し示すのは、インスタンスごとに固有の値を保持するインスタンス変数の方である。
システムエンジニアがプログラムを設計・実装する際には、どのような情報をメンバ変数として持つべきか、どのようなアクセス制御を行うべきかを慎重に検討する必要がある。メンバ変数は、オブジェクトの振る舞い(メソッド)と密接に連携し、オブジェクトの状態変化を管理することで、複雑なシステムをより理解しやすく、保守しやすいものにするための基盤を形成する。適切に設計されたメンバ変数は、ソフトウェアの品質と効率を大きく左右する、オブジェクト指向プログラミングにおける中心的かつ不可欠な要素である。