順次構造 (ジュンジコウゾウ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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順次構造 (ジュンジコウゾウ) の読み方

日本語表記

順次構造 (ジュンジコウゾウ)

英語表記

Sequential structure (シーケンシャルストラクチャー)

順次構造 (ジュンジコウゾウ) の意味や用語解説

順次構造とは、プログラムにおける命令の実行形式の中で、最も基本的かつ単純な流れを指す。コンピュータがプログラムを実行する際、与えられた命令を記述された順番に、一つずつ上から下へ、または左から右へと順に実行していく方式である。この命令の連続した実行が、プログラムの基本的な動作を構成する。 プログラムは、複数の命令の集合体であり、それぞれの命令は特定の処理を実行する。順次構造においては、最初の命令が実行され、その処理が完了した後に次の命令が実行される。そして、その次の命令が完了したら、さらにその次の命令が実行されるというように、記述された順序通りに、中断することなく処理が進んでいく。この一連の流れは、明確な手順と順序に従って進行する。 この構造がなぜ重要かというと、プログラムの動作を極めて予測しやすく、理解しやすくするためである。システムエンジニアを目指す初心者にとって、プログラムの学習を開始する上で、まず順次構造を理解することは必須となる。なぜなら、プログラムの実行順序が明確であるため、どの命令がいつ実行されるのか、その結果としてどのような状態変化が起こるのかを容易に追跡できるからだ。これは、プログラムに問題が発生した際に原因を特定するデバッグ作業や、将来的にプログラムを修正・拡張する保守作業において、非常に役立つ。 また、順次構造は、構造化プログラミングにおける基本的な三つの制御構造の一つである。他の二つは、条件によって処理を分岐させる「選択構造」(例:条件が真ならばAを実行し、そうでなければBを実行)と、特定の処理を繰り返す「反復構造」(例:条件が真である限りCを繰り返し実行)である。これらの選択構造や反復構造も、その内部に順次構造を含んでいる。例えば、選択構造の「条件が真ならばAを実行」における「Aを実行」の部分は、複数の命令からなる順次構造である場合が多い。反復構造においても、一回の繰り返しの中で実行される処理は、通常、複数の命令からなる順次構造である。このように、順次構造は他のより複雑な制御構造の基礎であり、あらゆるプログラムの根幹を成す要素と言える。 具体的なプログラムの動作に目を向けてみよう。例えば、ユーザーからの入力を受け取り、それを処理し、結果を表示するという一連の処理は、典型的な順次構造として表現される。まず「ユーザーからの入力を読み込む」という命令が実行され、その完了後に「読み込んだデータに対して計算処理を行う」という命令が実行される。そして、その計算処理が完了した後に「計算結果を画面に表示する」という命令が実行される。これらの命令は、それぞれ独立した処理でありながら、全体として一つの目的(ユーザー入力に基づく結果表示)を達成するために、明確な順序で連携して動作する。 別の例として、Webアプリケーションにおけるデータ処理も順次構造の具体的な適用例である。Webブラウザからサーバーへリクエストが送信されると、サーバー側では次のような順次処理が行われることが多い。「受信したリクエストを解析する」という命令が実行され、その完了後に「リクエストに含まれる情報に基づいてデータベースからデータを検索する」という命令が実行される。検索が完了すると「取得したデータに対して加工処理を施す」という命令が実行され、最後に「加工済みのデータをWebページとして整形し、ブラウザへ応答を返す」という命令が実行される。この一連の処理の流れは、順次構造そのものである。 順次構造は、プログラムを構成する上で最も基礎的で、理解しやすい概念であり、アルゴリズムを設計する上での最初のステップとなる。プログラムの各部分がどのように連携し、どのような順番で実行されるかを明確にすることで、複雑なシステムも段階的に設計し、実装することが可能になる。もちろん、現実のプログラムは順次構造だけで構成されることは少なく、前述の選択構造や反復構造と組み合わされることで、より柔軟で複雑なロジックを実現する。しかし、どのような複雑なプログラムであっても、その最小単位は順次実行される個々の命令であり、それらが組み合わさって全体の処理フローを形成していることを理解することが、システム開発の第一歩となるだろう。

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