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W-CDMA(ダブリューシーディーエムエー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

W-CDMA(ダブリューシーディーエムエー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ワイドバンド符号分割多元接続 (ワイドバンドゴウブンカツヨウゲンタンセツ)

英語表記

W-CDMA (ダブリューシーディーエムエー)

用語解説

W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)は、第三世代移動通信システム(3G)の主要な無線通信方式の一つである。この技術は、それまでの第二世代(2G)システムに比べて大幅なデータ伝送速度の向上と、音声とデータの統合的な処理を可能にし、モバイルインターネットの普及に不可欠な基盤を築いた。主に携帯電話やスマートフォンにおける高品質な音声通話と高速データ通信を実現するために開発され、世界中で広く採用された。W-CDMAの登場により、外出先でのウェブ閲覧やEメール、動画視聴などが実用的な速度で行えるようになり、モバイル通信の新たな時代を切り開いた標準技術である。その後の第四世代(4G)LTEや第五世代(5G)へと続く移動通信技術の発展に大きな影響を与えた。

W-CDMAの名称に含まれる「W」は「Wideband(広帯域)」を意味する。これは、従来のCDMA方式よりも広い周波数帯域を利用することで、より多くの情報を一度に送受信できるように設計されていることを示している。具体的には、通常5MHz幅の周波数帯域を使用し、最大で数Mbps(メガビット毎秒)のデータ伝送速度を実現する。この広帯域化が高速データ通信の鍵となった。

W-CDMAの根幹にあるのは、CDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多重アクセス)という多重アクセス技術である。CDMAは、複数のユーザーが同じ周波数帯域を同時に共有して通信することを可能にする画期的な方式だ。通常の通信では、ユーザーごとに異なる周波数や時間を割り当てるが、CDMAでは各ユーザーの信号に固有のデジタル符号(拡散符号)を掛け合わせることで、信号を周波数帯域全体に拡散(広帯域化)して送信する。これにより、複数の信号が同時に同じ周波数帯域を占有していても、それぞれの受信機は割り当てられた固有の符号を使って目的の信号だけを選び出し、他の信号をノイズとして排除できる。この仕組みにより、周波数利用効率が大幅に向上し、限られた無線リソースをより多くのユーザーで共有できるようになる。

W-CDMAは、このCDMAの原理をさらに進化させた。広帯域化に加えて、高速データ通信に特化した機能強化が行われた。例えば、通信方向において周波数を分離して利用するFDD(Frequency Division Duplexing:周波数分割複信)方式を基本とし、上り(端末から基地局へ)と下り(基地局から端末へ)の通信を効率的に行う。また、ソフトハンドオーバーという技術も大きな特徴である。これは、移動中の携帯電話が異なる基地局のサービスエリア間を移動する際に、通信を途切れさせずにスムーズに切り替えるための技術である。端末が複数の基地局と同時に通信を行い、その中で最も品質の良い信号を選択することで、通信の安定性を高める。

W-CDMAは、さらにその性能を向上させるためにHSPA(High Speed Packet Access)と呼ばれる拡張技術が導入された。HSPAは、下り通信を高速化するHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)と、上り通信を高速化するHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)から構成される。HSDPAは、最大で14Mbps以上の下り速度を実現し、インターネットからのファイルダウンロードや動画ストリーミングを快適にした。一方、HSUPAは上り速度を最大で5Mbps程度まで引き上げ、大容量ファイルのアップロードやビデオ会議など、双方向性の高いアプリケーションを実用的なものとした。これらの技術の組み合わせにより、W-CDMAはモバイルブロードバンド環境を一般に普及させ、スマートフォンによる多機能なインターネット利用を後押しした。

W-CDMAは、3GPP(3rd Generation Partnership Project)という国際標準化団体によって標準化されたため、世界中の多くの国と地域で採用され、国際ローミングの実現にも貢献した。これにより、利用者は海外でも自国の携帯電話をそのまま使用できる利便性を享受できるようになった。

現代では、W-CDMAはLTEや5Gといったより新しい世代の移動通信システムに主役の座を譲りつつあるが、その技術的な基盤とモバイルインターネットの普及に果たした役割は非常に大きい。CDMAの基本的な考え方や、広帯域を利用した高速通信の設計思想は、後継の移動通信システムにも引き継がれており、今日の高度なモバイル通信環境の発展に不可欠なステップであったと言える。