Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

WAR形式(ワー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

WAR形式(ワー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

WAR形式 (ウォー)

英語表記

WAR format (ウォーフォーマット)

用語解説

WAR形式は、Javaベースのウェブアプリケーションを単一のファイルとしてパッケージ化するための標準的な形式である。この名称はWeb Application Archiveの略であり、ウェブアプリケーションを構成するすべての要素、具体的にはHTML、CSS、JavaScriptといった静的コンテンツ、JSP(JavaServer Pages)ファイル、コンパイル済みのJavaクラスファイル(サーブレットやビジネスロジック)、設定ファイル(デプロイメントディスクリプタであるweb.xmlなど)、そしてアプリケーションが依存する外部ライブラリ(JARファイル)などを一つのファイルにまとめる。これにより、ウェブアプリケーションをアプリケーションサーバーにデプロイ(配置・展開)するプロセスが大幅に簡素化され、配布や管理が容易になるというメリットがある。システムエンジニアを目指す初心者にとっては、Javaベースのウェブ開発において避けて通れない重要な概念の一つであり、その構造と機能の理解は必須である。

WAR形式のファイルは、実質的には標準的なZIP圧縮形式に則ったアーカイブファイルであり、特定のディレクトリ構造を持つ。この構造は、Java EE(現在はJakarta EE)の仕様によって厳密に定義されており、これにより異なるベンダーのアプリケーションサーバー間でも同じWARファイルをデプロイできる互換性が保証されている。

WARファイルの最上位、つまりルートディレクトリには、ウェブブラウザから直接アクセス可能な静的コンテンツが配置される。これにはHTMLファイル、CSSスタイルシート、JavaScriptファイル、画像ファイルなどが含まれる。ウェブサーバーはこのディレクトリの内容をクライアントに直接提供する。

ルートディレクトリ直下には、WEB-INFという特別なディレクトリが存在する。このWEB-INFディレクトリは、ウェブブラウザから直接アクセスできないよう保護されており、アプリケーションの内部設定や実行に必要なファイル群が格納される。WEB-INFの中にはさらにいくつかの重要なサブディレクトリやファイルがある。

まず、web.xmlというファイルは、デプロイメントディスクリプタとして機能する。これはXML形式で記述され、ウェブアプリケーションの動作に関する全体的な設定を定義する。具体的には、どのURLパターンがどのサーブレットに対応するか(サーブレットマッピング)、アプリケーション全体の初期パラメータ、セッション管理の設定、エラーページの指定、セキュリティ制約、フィルタの設定などが含まれる。アプリケーションサーバーは、このweb.xmlを読み込むことで、ウェブアプリケーションの振る舞いを理解し、適切にサービスを提供する。

次に、WEB-INF/classesディレクトリには、開発者が作成したJavaのクラスファイルが配置される。これらは通常、サーブレット、ユーティリティクラス、ビジネスロジックを実装したPOJO(Plain Old Java Object)などがコンパイルされたバイトコードである。これらのクラスファイルは、アプリケーションサーバーによって自動的にクラスパスに追加され、アプリケーションの実行時に利用可能となる。

さらに、WEB-INF/libディレクトリには、ウェブアプリケーションが外部に依存するライブラリ(JARファイル)が格納される。例えば、データベース接続用のJDBCドライバー、ロギングフレームワーク、特定のユーティリティライブラリなどがここに配置される。これらのライブラリもWEB-INF/classesと同様に、アプリケーションサーバーによって自動的にロードされ、アプリケーションの実行時に利用できる状態になる。

また、JSPファイルは、通常はルートディレクトリ直下、または特定のサブディレクトリに配置される。JSPはサーバー側でHTMLに変換され、クライアントに送信される動的コンテンツを生成するために使われる。

WARファイルの作成は、手動で上記のディレクトリ構造を作成し、jarコマンドで圧縮することも技術的には可能であるが、実際の開発ではMavenやGradleといったビルドツールを利用するのが一般的である。これらのビルドツールは、プロジェクトのソースコードや設定に基づいて、自動的にWARファイルを生成する機能を提供しており、開発者が複雑なファイル構造を意識することなく、効率的にパッケージングを行うことを可能にする。

アプリケーションサーバーへのデプロイ時には、WARファイルをサーバーが監視する特定のデプロイディレクトリに配置するか、管理コンソールからアップロードすることで、サーバーが自動的にWARファイルを展開し、内部のコンテンツをウェブサーバーのコンテキストパスにマッピングする。これにより、クライアントからのリクエストに対して、ウェブアプリケーションが応答できるようになる。

WAR形式の主な利点は、ウェブアプリケーションの配布、デプロイ、管理が非常に容易になる点にある。単一のファイルとして扱うことで、バージョン管理がしやすくなり、開発環境からテスト環境、本番環境への移行もスムーズに行える。また、標準化された形式であるため、Tomcat、WildFly、GlassFishなどの異なるアプリケーションサーバー間での移植性も高い。

ただし、WAR形式はあくまでウェブアプリケーション専用のパッケージ形式であり、エンタープライズアプリケーション全体をパッケージ化するEAR(Enterprise Archive)形式とは異なる。EAR形式は、複数のWARファイルやEJB(Enterprise JavaBeans)モジュール、クライアントアプリケーションなどを統合して、より大規模なシステムを構築する際に使用される。しかし、現代のウェブ開発においては、単一のWARファイルで完結するマイクロサービス的なアプローチや、Spring Bootなどのフレームワークが提供する組み込みサーバー機能を利用するケースも増えているため、WAR形式の重要性は依然として高く、その基本的な理解は不可欠である。