ウォームスタンバイ(ウォームスタンバイ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
ウォームスタンバイ(ウォームスタンバイ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ウォームスタンバイ (ウォームスタンバイ)
英語表記
warm standby (ウォームスタンバイ)
用語解説
ウォームスタンバイとは、システム障害発生時に迅速な復旧を可能にするための冗長化構成の一種である。平常時には、本番環境とは別に待機環境を用意し、本番環境のデータを定期的に待機環境へ同期させる。障害発生時には、待機環境を速やかに本番環境として切り替えることで、サービス停止時間を最小限に抑えることを目的とする。
ウォームスタンバイは、大きく分けてデータ同期方式と切り替え方式の2つの観点から詳細を理解する必要がある。
まず、データ同期方式について説明する。ウォームスタンバイにおけるデータ同期は、本番環境から待機環境へのデータの複製を指す。この同期方式には、大きく分けて「同期レプリケーション」と「非同期レプリケーション」の2種類がある。
同期レプリケーションは、本番環境でのデータ更新と同時に待機環境へもデータ更新を行う方式である。本番環境でのデータ更新が完了するまで、トランザクションは完了しないため、データ整合性が高く、障害発生時のデータ損失リスクを最小限に抑えることができる。しかし、待機環境へのデータ書き込みが完了するまで本番環境の処理が完了しないため、パフォーマンスに影響を与える可能性がある。
非同期レプリケーションは、本番環境でのデータ更新とは独立して、待機環境へデータ更新を行う方式である。本番環境でのデータ更新処理は、待機環境へのデータ書き込み完了を待たずに完了するため、パフォーマンスへの影響は少ない。しかし、障害発生時には、本番環境から待機環境へ同期されていない未反映のデータが存在する可能性があり、データ損失が発生するリスクがある。データ損失を許容できるシステムや、データ更新頻度が低いシステムに適している。
次に、切り替え方式について説明する。障害発生時に、本番環境から待機環境へ切り替える方式には、手動切り替えと自動切り替えがある。
手動切り替えは、システム管理者が障害を検知し、手動で待機環境への切り替え操作を行う方式である。自動切り替えに比べて、切り替えに時間がかかるが、システム管理者が状況を判断して切り替えを行うため、誤った切り替えを防ぐことができる。
自動切り替えは、システムが自動的に障害を検知し、待機環境への切り替えを行う方式である。システム管理者の介入なしに自動的に切り替えが行われるため、サービス停止時間を最小限に抑えることができる。しかし、誤検知による不要な切り替えが発生する可能性もあるため、障害検知の精度を高める必要がある。
ウォームスタンバイは、コールドスタンバイやホットスタンバイといった他の冗長化構成と比較されることが多い。コールドスタンバイは、待機環境が停止状態であり、障害発生時に待機環境を起動する必要があるため、復旧に時間がかかる。ホットスタンバイは、待機環境が常に稼働状態であり、障害発生時に瞬時に切り替えることができるが、コストが高い。ウォームスタンバイは、コールドスタンバイよりも復旧が早く、ホットスタンバイよりもコストを抑えることができる、中間的な位置づけとなる。
ウォームスタンバイを導入する際には、システムの要件や予算、許容されるサービス停止時間などを考慮し、最適なデータ同期方式と切り替え方式を選択する必要がある。また、定期的な切り替えテストを実施し、切り替え手順やシステムの動作を確認することが重要である。さらに、データ同期の遅延状況や切り替え時間などを監視し、必要に応じてパラメータ調整やシステム改善を行うことで、ウォームスタンバイの効果を最大限に引き出すことができる。