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WAS(ダブリューエーエス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

WAS(ダブリューエーエス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ウェブアプリケーションサーバー (ウェブアプリケーションサーバー)

英語表記

WebSphere Application Server (ウェブスフィア・アプリケーション・サーバー)

用語解説

「WAS」とは、Web Application Server(ウェブ・アプリケーション・サーバー)の略称であり、Webシステムにおいて動的なコンテンツを生成し、ビジネスロジックを実行するためのミドルウェアである。単にWebサーバーと呼ばれるものとは異なり、Webサーバーとデータベースサーバーの間に位置し、ユーザーからのリクエストに応じて複雑な処理を行う役割を担う。大規模なWebサイトや企業の情報システムなど、動的な処理が求められるあらゆるWebシステムの中核を成す重要な要素である。

Webシステムが広く普及し始めた当初、Webサーバーは主に静的なHTMLファイルや画像などのコンテンツを配信する役割を果たしていた。しかし、ユーザーごとにパーソナライズされた情報表示、オンラインショッピングのカート機能、データベースとの連携による情報検索など、よりインタラクティブで動的なWebサイトの需要が高まった。このような動的な要求に対し、Webサーバーだけでは効率的に対応することが困難であった。そこで登場したのがWASである。WASは、Webサーバーが受け取った動的なリクエストを処理し、アプリケーションプログラムを実行して結果を生成し、再びWebサーバーへ返却するという役割を担う。これにより、Webサーバーは静的なコンテンツ配信に集中し、WASは動的な処理とビジネスロジックの実行に特化することで、システム全体の効率と堅牢性を高めることが可能となる。

WASの最も主要な機能の一つは、Java EE(Jakarta EE)アプリケーションの実行環境を提供することである。Java EEは、大規模なエンタープライズアプリケーション開発のための標準規格であり、WASはその規格に準拠したコンテナを提供する。このコンテナ上で、サーブレット、JSP(JavaServer Pages)、EJB(Enterprise JavaBeans)などのコンポーネントが動作する。サーブレットはWebリクエストを処理するJavaプログラム、JSPはHTMLにJavaコードを埋め込んで動的なページを生成する技術、EJBは分散環境でのビジネスロジック実装を容易にするためのコンポーネントである。WASはこれらのコンポーネントのライフサイクル管理、スレッド管理、セキュリティ機能などを提供することで、開発者がビジネスロジックの実装に集中できる環境を整える。

さらに、WASはデータベースとの連携において重要な機能を提供する。例えば、データベース接続プーリングはその一つである。これは、アプリケーションがデータベースへ接続する際に発生するオーバーヘッドを削減するため、事前に複数のデータベース接続を確立しておき、必要に応じてそれらを再利用する仕組みである。これにより、多数のユーザーからの同時アクセスがあっても、効率的にデータベース処理を実行し、システムのパフォーマンスを向上させることができる。また、トランザクション管理もWASの重要な機能である。複数のデータベース操作やシステム連携処理が一体として成功または失敗するよう制御し、データの整合性を保証する役割を果たす。例えば、銀行の口座振替処理において、一方の口座から引き出し、もう一方の口座へ入金するという一連の操作が、どちらか一方だけ成功して、もう一方が失敗するという事態を防ぐ。

セキュリティ機能もWASが提供する重要な要素である。ユーザー認証(誰がアクセスしているか)や認可(何ができるか)の機能を通じて、不正なアクセスや操作からアプリケーションを保護する。また、SSL/TLSによる通信の暗号化など、データの機密性を保つための基盤も提供する。

スケーラビリティと可用性の向上もWASの大きな利点である。スケーラビリティとは、システムの処理能力を増やす能力を指し、可用性とはシステムが継続して稼働し続ける能力を指す。WASは、複数のWASインスタンスを連携させて処理を分散させるロードバランシングや、障害発生時に自動的に処理を切り替えるクラスタリングといった機能を提供し、システムの負荷増大に対応したり、システム停止のリスクを低減させたりする。これにより、急増するアクセス数にも対応し、安定したサービス提供が可能となる。

市場には様々なWAS製品が存在する。オープンソースの代表的なものとしては、Apache Tomcatが挙げられる。厳密にはサーブレットコンテナでありJava EEの全仕様をサポートするわけではないが、多くのWebアプリケーションで利用され、広義のWASとして機能する。また、JBoss EAP(Enterprise Application Platform)もオープンソースのWildFlyをベースとした商用製品として広く利用されている。商用製品としては、IBMのWebSphere Application ServerやOracleのWebLogic Serverなどが有名であり、これらは大規模なエンタープライズシステムで利用されることが多い。

これらのWASは、単にプログラムを実行するだけでなく、アプリケーションが必要とする様々な共通機能をミドルウェアとして提供することで、開発者がビジネスロジックに集中できるように支援し、同時にシステムの信頼性、パフォーマンス、セキュリティ、そして運用管理の効率を高める役割を担っている。現代の複雑で動的なWebサービスやエンタープライズシステムを構築し、安定稼働させる上で、WASは欠かせない基盤技術であり続けている。システムエンジニアとしてWebシステム開発に携わるならば、その概念と機能、役割を深く理解することは非常に重要である。