YAGNI原則 (ヤグニゲンソク) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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YAGNI原則 (ヤグニゲンソク) の読み方

日本語表記

ヤグニ原則 (ヤグニゲンソク)

英語表記

YAGNI principle (ヤグニ プリンシプル)

YAGNI原則 (ヤグニゲンソク) の意味や用語解説

YAGNI原則(ヤグニげんそく)とは、ソフトウェア開発における原則の一つで、「You Ain't Gonna Need It」の略称。日本語では「それ、要らなくなるかもね」と訳されることが多い。この原則は、必要になるまで機能を実装しない、または、必要になることが確実になるまで機能を実装しないことを提唱するものだ。経験豊富なプログラマーの間では、非常に重要な考え方として共有されている。 YAGNI原則の核となる考え方は、将来必要になるかもしれないという予測に基づいて機能を実装することは、多くの場合、時間と労力の無駄になるということだ。ソフトウェア開発の初期段階では、将来の要件を正確に予測することは非常に難しい。予測に基づいて実装された機能は、実際に使用されない可能性があり、その場合、開発コスト、テストコスト、保守コストが無駄になる。さらに、不要な機能は、コードの複雑性を増し、他の機能の開発や保守を困難にする可能性もある。 YAGNI原則を実践することで、開発者は、現在必要とされている機能に集中することができる。これにより、開発スピードが向上し、よりシンプルで理解しやすいコードベースを維持することができる。また、不要な機能の実装にリソースを費やすことを避けることで、本当に必要な機能の開発に集中できるため、より価値の高いソフトウェアを提供することができる。 YAGNI原則は、アジャイル開発手法と非常に相性が良い。アジャイル開発では、短いイテレーションを繰り返しながら、顧客のフィードバックに基づいてソフトウェアを開発していく。そのため、初期段階で将来の要件を予測するのではなく、各イテレーションで本当に必要な機能だけを実装し、顧客のフィードバックに基づいて、必要な機能を随時追加していくというアプローチが適している。 YAGNI原則を適用する際には、いくつかの注意点がある。まず、将来の要件を完全に無視するわけではないということだ。将来的に必要になる可能性のある機能については、十分に検討する必要がある。ただし、実装するのは、必要になることが確実になってから、または、必要になる直前に行うべきだ。 また、YAGNI原則は、アーキテクチャ設計を軽視することを意味するものではない。将来の拡張性や変更可能性を考慮したアーキテクチャ設計は重要だ。ただし、アーキテクチャ設計においても、必要以上に複雑な設計を避けることが重要だ。シンプルな設計で、現在の要件を満たし、将来の拡張にも対応できるような設計を目指すべきだ。 YAGNI原則を実践するためには、リファクタリングのスキルが重要になる。リファクタリングとは、ソフトウェアの外部的な振る舞いを変更せずに、内部構造を改善することだ。YAGNI原則に基づいて開発を進める場合、必要になった時点で機能を実装するため、既存のコードを修正する必要が生じる場合がある。リファクタリングのスキルがあれば、安全かつ効率的にコードを修正し、機能を追加することができる。 YAGNI原則は、過剰なエンジニアリングを防ぐための強力なツールだ。しかし、誤って適用すると、将来の変更に対応できない硬直的なシステムを作り上げてしまう可能性もある。そのため、経験豊富な開発者と協力しながら、YAGNI原則を適切に適用することが重要だ。経験豊富な開発者は、将来の要件を予測する能力が高く、YAGNI原則を適用するべきかどうかを判断する上で、貴重なアドバイスを提供してくれるだろう。 YAGNI原則は、完璧主義に陥ることを避けるためにも役立つ。完璧なソフトウェアを作ろうとすると、必要以上に多くの機能を実装したり、複雑な設計を採用したりする可能性がある。YAGNI原則を意識することで、本当に必要な機能に集中し、シンプルで実用的なソフトウェアを開発することができる。 YAGNI原則は、ソフトウェア開発の初期段階だけでなく、開発の全段階において適用できる。例えば、テストコードを書く場合も、必要以上に多くのテストケースを書くことを避けるべきだ。本当に重要なテストケースに絞り、効率的にテストを行うことが重要だ。 YAGNI原則を理解し、実践することで、より効率的で、価値の高いソフトウェアを開発することができるようになる。システムエンジニアを目指す上で、ぜひとも身につけておきたい原則の一つだ。

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