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【ITニュース解説】Active Job Continuationsがリリースされたので調査してみた

2025年09月16日に「Zenn」が公開したITニュース「Active Job Continuationsがリリースされたので調査してみた」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

株式会社メドレーの新卒エンジニアが、先日リリースされたRailsの新機能「Active Job Continuations」を調査した記事。自身が所属する開発グループで使うRailsに関連するこの機能について解説する。新卒4人によるTech Blog Relay企画の初日だ。

ITニュース解説

システム開発において、ユーザーからの操作に対して即座に結果を返すことが難しい、時間がかかる処理がしばしば存在する。例えば、ユーザーが大きなファイルをアップロードした後に画像を複数サイズに加工する、大量のデータを集計してレポートを作成する、あるいは自動で複数のメールを送信するといった処理だ。これらの処理をユーザーが画面の前で待つ必要がないように、アプリケーションの裏側で実行する仕組みを「非同期処理」と呼ぶ。

Ruby on RailsというWebアプリケーションフレームワークには、この非同期処理を効率的に管理するための機能として「Active Job」が用意されている。Active Jobを使うと、時間がかかる処理を「ジョブ」という単位で定義し、それを専用の待機列(キュー)に投入することで、アプリケーション本体がユーザーへの応答を迅速に行いながら、裏でジョブを実行させることが可能になる。これは、Webアプリケーションの応答性を高め、ユーザー体験を向上させるために不可欠な機能である。

しかし、従来のActive Jobには、複数のジョブが連携して一つの複雑な処理を完了させる場合に課題があった。例として、「ファイルをアップロードする」→「画像をリサイズする」→「データベースにファイル情報を登録する」→「ユーザーに処理完了を通知する」という一連のステップを考えてみよう。これらの処理はそれぞれ個別のジョブとして実行できるが、「画像をリサイズする」ジョブは「ファイルのアップロード」が成功した後でなければ意味がないし、「データベース登録」は「画像リサイズ」が完了した後でなければならない。

このように、あるジョブの完了を待って次のジョブを実行するという、ジョブ間の依存関係や順序付けを従来のActive Jobで実現するには、開発者が自力で複雑な仕組みを構築する必要があった。具体的には、各ジョブの完了状態をデータベースに記録したり、ジョブの実行結果を次のジョブに渡すためのコールバック関数(処理が終わったときに自動で呼ばれる機能)を記述したりと、多くの手間と複雑なコードが求められた。これにより、コードは読みにくくなり、エラーが発生した際の対処も難しくなる傾向があった。

このような課題を解決するために、Railsの最新バージョンであるRails 8.1(ベータ版)で「Active Job Continuations(アクティブジョブ・コンティニュエーションズ)」という新しい機能が導入された。Continuationsとは「継続」という意味が示す通り、複数のジョブを継続的に、つまり一連の流れとして順番に実行するための機能だ。

Active Job Continuationsを利用することで、開発者は複数のジョブを一つのまとまりとして定義し、そのグループ内のすべてのジョブが正常に完了した後に、さらに別の後続ジョブを自動的に実行するという一連の処理を、これまでよりもはるかにシンプルに記述できるようになる。これは、まるでプログラミングコードの中で関数を次々と呼び出すように、ジョブを連続して実行できる機能だと理解すると分かりやすいだろう。

この機能の核心となるのは、perform_all_laterという新しいメソッドである。このメソッドを使うと、複数のジョブを同時に、あるいはまとめてキューに投入できる。例えば、ある画像を複数の異なるサイズにリサイズする必要がある場合、それぞれのサイズへのリサイズ処理を個別のジョブとして定義し、それらすべてをperform_all_laterメソッドで一括してキューに送ることが可能だ。

さらに重要なのが、after_all_perform:というオプションである。このオプションに、先のperform_all_laterで投入したジョブ群がすべて成功裏に完了した後に実行したい後続ジョブを指定できる。先ほどの画像処理の例で言えば、すべての画像リサイズ処理が完了した後に、「データベースにファイル情報を登録する」ジョブや「ユーザーに処理完了を通知する」ジョブが自動的に実行されるように設定できるのだ。これにより、開発者は個々のジョブの完了を逐一確認したり、複雑な連携ロジックを自作したりする手間から解放される。

また、Active Job Continuationsによって実行される後続ジョブは、通常とは異なる「continuations」という専用のキューに投入される点も特徴だ。これは、アプリケーションのメインとなる重要なジョブが投入されるキューを圧迫することなく、連携処理をスムーズに進めるための工夫である。ジョブが多すぎるとキューが詰まり、アプリケーション全体のパフォーマンスに影響を与える可能性があるため、このような配慮はシステム全体の安定性を高める上で有効だ。

Active Job Continuationsがもたらす最大の利点は、複雑な非同期処理の連携をシンプルかつ直感的に記述できる点にある。これにより、コードの可読性(読みやすさ)が大幅に向上し、開発効率も高まる。また、ジョブ間の連携処理がRailsの標準機能として提供されるため、システムのメンテナンス性や安定性も向上する。もし途中のジョブが失敗した場合でも、システムとして適切なエラーハンドリング(問題への対処)を行いやすくなるため、より堅牢で信頼性の高いアプリケーションを構築する助けとなるだろう。

この新機能は、Railsを使って、特に非同期処理を多用するシステムを開発するシステムエンジニアにとって、非常に強力なツールとなる。複数の独立したサービスや処理を連携させて全体の機能を実現するようなシステムにおいて、Active Job Continuationsは連携処理の記述を簡素化し、開発者の負担を大きく軽減することが期待される。システム全体の信頼性と開発効率を高める上で、今後広く活用されていくことが予想される重要な機能であり、Railsの進化が開発者に提供し続ける価値の一つだと言える。

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