【ITニュース解説】単なる「AIアシスタント」ではない? 最新エージェント機能の仕組みを解剖
2025年09月16日に「TechTargetジャパン」が公開したITニュース「単なる「AIアシスタント」ではない? 最新エージェント機能の仕組みを解剖」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
GoogleとDeepSeekがAIアシスタントを超える「AIエージェント」機能を強化した。予約支援や複雑な推論など、AIがより高度なタスクを自律的にこなす。その技術的な仕組みと活用の可能性を探る。
ITニュース解説
これまでのAIアシスタントは、私たちが与えた指示を理解し、それに従って特定のタスクを実行するツールだった。例えば、質問に答えたり、文章を生成したり、簡単な画像を作成したりする機能がそれに当たる。しかし、これらの機能は基本的に単発の命令に忠実に従うもので、自分で状況を判断し、計画を立て、複数のステップを経て複雑な目標を達成する能力は持っていなかった。
これに対して、最新のAIエージェントは、単なるアシスタントの枠を超えた存在である。エージェントは、ある目標を与えられると、その目標達成のために自ら考え、計画を立て、行動し、さらにその結果を評価して次の行動に活かすという一連のプロセスを自律的に実行する能力を持つ。
具体的には、エージェントはまず与えられた目標を細かく分解し、どのようなステップを踏めばよいかを計画する。次に、その計画に基づいて必要な情報収集(例えばウェブ検索)や、外部のシステム(予約システムや特定のアプリケーションのAPIなど)を呼び出してタスクを実行する。そして、実行した結果が目標に近づいているかを評価し、もし問題があれば計画を修正したり、別の方法を試したりする。このような自己改善のサイクルを持つことで、エージェントはより複雑で多段階にわたるタスクを、私たちの細かな指示なしに遂行できるのだ。
最近、GoogleやDeepSeekといった大手IT企業が、このAIエージェント機能の強化を相次いで発表し、大きな注目を集めている。Googleの強化されたエージェント機能は、単にレストランの予約をするだけでなく、利用者の好みや過去の行動履歴を考慮し、複数の候補の中から最適な店を選び、さらにその予約手続きまで一貫して行うことができる。これは、AIが単に指示を待つだけでなく、自律的に情報を集め、推論し、外部サービスと連携して行動する能力を示すものだ。例えば、旅行の計画を立てる際、宿泊先の予約、交通手段の手配、現地の観光プランの作成まで、一連の複雑なタスクを、利用者とのやり取りを通じて段階的に、かつ継続的にサポートする。
一方、DeepSeekが発表したAIエージェントは、同社の大規模言語モデルであるDeepSeek-V2を基盤として、より汎用的な推論能力とツール利用能力を強化している。特定の分野に特化するだけでなく、より広範な知識と理解力に基づき、多様な問題解決に適用できるエージェントを目指している。これは、例えばビジネスにおけるデータ分析や、ソフトウェア開発におけるコード生成とテストといった、より複雑で専門的なタスクにおいても、エージェントが自律的に解決策を探し、実行する可能性を示唆している。
AIエージェントがこのような高度な能力を発揮できる背景には、その内部の推論アーキテクチャ、つまりエージェントがどのように情報を処理し、どのように意思決定を行うかの基本的な構造にある。具体的には、タスクを小さなサブタスクに分解し、それぞれのサブタスクに対して最適な思考プロセスや利用可能なツール(API、データベース、ウェブ検索など)を割り当てる。そして、各サブタスクの実行結果を常時監視し、予期せぬ問題が発生した場合には、計画を柔軟に修正する能力を持つ。この「計画→実行→評価→修正」という一連のループを高速かつ自律的に繰り返すことで、最終的な目標達成へと着実に進んでいく。これまでのAIアシスタントでは、ユーザーが具体的なプロンプト(指示文)を一つ一つ与えることで動作していた。しかしAIエージェントでは、より高レベルな目標を伝えるだけで、エージェント自身が内部で複数のプロンプトを生成し、最適なツールを選択し、実行結果を評価しながら、目標達成に向けて行動を続ける。このプロセスは、人間が目標達成のために試行錯誤を繰り返すように、AIが自律的に問題解決に取り組むことを可能にする。
システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このAIエージェントの進化は非常に大きな意味を持つ。まず、エージェントを構築する側から見れば、大規模言語モデルの知識だけでなく、外部システムとの連携を可能にするAPI設計や、エージェントの行動を制御するプロンプト設計、さらにはエージェントの自律性を高めるためのアーキテクチャ設計といった、幅広い技術スキルが求められるようになる。エージェントが様々なツールを使いこなすためには、それらのツールをAPIとして提供し、セキュアに連携させる技術が不可欠だからだ。
また、AIエージェントを利用する側から見ても、ビジネスプロセスの自動化や新たなサービス開発において、その活用可能性は無限大に広がる。例えば、複雑なデータ分析やレポート作成、顧客サポートの自動化、さらにはプログラミングそのものをエージェントに任せることで、開発効率を飛躍的に向上させることも期待されている。エージェントが自律的にコードを生成し、テストし、デバッグするような未来も視野に入ってきている。
このように、AIエージェントは単なる指示待ちのAIアシスタントとは一線を画し、自律的に考え、行動し、学び続けることで、私たち人間の知的活動や業務プロセスを大きく変革する可能性を秘めている。その進化はまだ始まったばかりであり、今後、さらに高度な機能が実装され、私たちの生活や仕事に深く浸透していくことは間違いないだろう。この技術の動向を理解し、その活用方法を探ることは、未来のシステムエンジニアにとって非常に重要な課題となる。