【ITニュース解説】Apple's new iPhone charger dynamically switches between 40 and 60W
2025年09月15日に「Engadget」が公開したITニュース「Apple's new iPhone charger dynamically switches between 40 and 60W」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
AppleはiPhone 17向けに小型の新型充電器を発表した。これは通常40Wだが、一時的に最大60Wまで出力し、iPhoneを高速充電できる。従来の60W充電器よりはるかにコンパクトだが、高出力は短時間のためノートPC充電には不向き。価格は40ドルとやや高めだ。
ITニュース解説
Appleから新しいiPhone向け充電器「40W Dynamic Power Adapter」が登場した。この充電器は、従来の製品とは一線を画す技術を搭載しており、特にシステムエンジニアを目指す初心者にとって、これからの電力供給技術のトレンドを理解する良い事例となる。
まず、充電器の性能を示す「W(ワット)」という単位について説明する。ワットは、充電器がデバイスに供給できる電力の量を示し、この数値が大きいほど、同じ時間でより多くのエネルギーを送ることができ、結果として充電速度が速くなる。この新しい充電器は「40W Dynamic Power Adapter」と名付けられているが、最大60Wまで電力を供給できる特徴を持つ。
この充電器の核心にあるのは、「USB PD 3.2 AVS(Adjustable Voltage Supply)」という新しいプロトコルの採用だ。USB PD(USB Power Delivery)は、USB Type-Cポートを通じて、充電器とデバイス間で最適な電力量を互いに通信し、合意の上で電力を供給する規格である。これにより、スマートフォンからノートパソコンまで、様々なデバイスを同じ充電器で効率よく充電できるようになった。従来のUSB充電は特定の電圧・電流で固定されていたが、USB PDはデバイスの要求に応じて柔軟に電力を調整できる。
そして、AVS(Adjustable Voltage Supply)はそのUSB PDをさらに進化させた技術だ。これまでのUSB PDでは、充電器が供給できる電圧は5V、9V、15V、20Vといった固定のステップで決められていた。しかし、AVSでは、充電器がデバイスの要求に応じて、より細かく電圧を調整できるようになる。例えば、9Vと10Vの間で、デバイスが最も効率良く充電できる9.1Vや9.2Vといった電圧値をピンポイントで供給することが可能になるのだ。
このAVSプロトコルにより、充電時の電力変換ロスが最小限に抑えられ、発熱を低減しながら、より効率的に、そしてより小さな回路で高出力を実現できる。これが、「40W Dynamic Power Adapter」が非常に小型でありながら、瞬間的に60Wという高出力を実現できる大きな理由の一つだ。
具体的には、この充電器は通常40Wで動作するが、必要に応じて「動的に」電力を調整し、最大60Wまで引き上げることができる。ここでいう「動的に切り替わる」とは、充電されるデバイスのバッテリー残量や温度、充電サイクルといった状態をリアルタイムで検知し、その時々で最も効率的かつ安全な電力レベルを充電器側が判断して供給することを意味する。例えば、バッテリー残量が少ない初期段階では急速充電のため高いワット数(60W)で、バッテリーがある程度充電されると、過充電やバッテリーへの負担を避けるためにワット数を下げる、といった具合だ。
ただし、この60Wという高出力は無制限に続くわけではない。テスターの報告によると、最大60Wの電力供給は約18分間に限定される。この制限は、充電器自体の小型化に伴う放熱性能の制約や、デバイスのバッテリー寿命保護などを考慮した設計と考えられる。高いワット数を継続的に供給すると、充電器やデバイスが過度に発熱する可能性があるため、安全と効率を両立させるための賢明な判断と言える。
この充電器は、特に新しいiPhone 17モデルの高速充電に対応するために設計されている。Appleの説明によれば、iPhone 17モデルでは約20分でバッテリーを50%まで充電でき、iPhone Airでは約30分で50%まで充電できるという。これは、短時間でバッテリーを大きく回復させたいユーザーにとって非常に大きなメリットとなる。
この「40W Dynamic Power Adapter」のもう一つの大きな魅力は、そのコンパクトなサイズだ。最小の40W充電器と比べてもフットプリントはほとんど変わらず、折りたたみ式のプラグを採用しているため、ポケットに入れても邪魔にならない。市場に出回っている他の60Wクラスの充電器と比較しても、その小ささは際立っている。例えば、Ankerの人気製品である65W GaN充電器「Nano II」は、小型ながらもAppleの新しい充電器の約2倍のサイズがあるという。これは、AVSプロトコルによる効率化に加え、Apple独自の設計技術が組み合わさった結果と言えるだろう。
しかし、この優れた充電器にもいくつかのトレードオフが存在する。一つは、60Wの高出力が短時間に限定されるため、継続的に高電力を必要とするノートパソコンなどの充電には向いていない点だ。あくまでもiPhone 17シリーズのようなスマートフォンに特化した設計となっている。もう一つは価格で、この40W Dynamic Power Adapterは40ドルという設定であり、Ankerの65W充電器の約2倍の価格となっている。
まとめると、Appleの新しい「40W Dynamic Power Adapter」は、USB PD 3.2 AVSプロトコルという最新技術を駆使し、非常にコンパクトな筐体で、一時的に高い電力を供給することで、iPhone 17シリーズの高速充電を実現した革新的な充電器だ。高出力の持続時間や価格面での制約はあるものの、特定のデバイスに特化し、ユーザーの利便性を追求した設計は、今後の充電技術の進化の方向性を示すものと言えるだろう。システムエンジニアを目指す上では、このようにデバイスの利用シーンや技術トレンドに合わせて、最適な電力供給ソリューションがどのように設計されているかを理解することは、非常に重要な視点となる。