【ITニュース解説】Cache
2025年09月05日に「Hacker News」が公開したITニュース「Cache」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
Cache APIは、ブラウザにWebコンテンツを保存する仕組み。JavaScriptから操作し、ネットワークがオフラインでもコンテンツを表示できる。Webアプリの高速化やオフライン対応に役立ち、リソースを効率的に管理できる点が特徴。
ITニュース解説
Cache APIは、Webブラウザが提供する仕組みの一つで、Webアプリケーションがネットワークリソース(画像、JavaScript、CSS、HTMLなど)を一時的に保存し、再利用できるようにするものだ。これにより、Webサイトやアプリケーションのパフォーマンスを向上させ、オフラインでの動作を可能にする。
従来のブラウザキャッシュとの違いは、Cache APIがWeb開発者に対してより細かい制御を可能にしている点だ。従来のブラウザキャッシュは、ブラウザが自動的に判断してリソースをキャッシュするかどうかを決めるのに対し、Cache APIでは、開発者がどのリソースをいつ、どのようにキャッシュするかをプログラムで制御できる。
Cache APIの基本的な概念は「キャッシュ」と呼ばれるストレージ領域だ。複数のキャッシュを作成でき、それぞれに名前をつけることができる。各キャッシュには、リクエスト(URLなど)とレスポンス(HTTPレスポンスの内容)のペアが格納される。
Cache APIを使用するには、まずcachesオブジェクトにアクセスする必要がある。これは、グローバルスコープで利用できるオブジェクトで、キャッシュの操作を行うためのメソッドを提供する。
主な操作は以下の通りだ。
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キャッシュの作成とオープン:
caches.open(cacheName)メソッドを使用すると、指定された名前のキャッシュを作成し、そのキャッシュオブジェクトを返す。もし既に同じ名前のキャッシュが存在する場合は、既存のキャッシュオブジェクトを返す。 -
キャッシュへのリソースの追加:
cache.put(request, response)メソッドを使用すると、指定されたリクエストとレスポンスのペアをキャッシュに追加する。requestは、RequestオブジェクトまたはURL文字列で指定する。responseは、Responseオブジェクトで指定する。 -
キャッシュからのリソースの取得:
cache.match(request)メソッドを使用すると、指定されたリクエストに一致するレスポンスをキャッシュから取得する。requestは、RequestオブジェクトまたはURL文字列で指定する。一致するレスポンスが見つからない場合は、undefinedを返す。 -
キャッシュの削除:
caches.delete(cacheName)メソッドを使用すると、指定された名前のキャッシュを削除する。 -
キャッシュのリストの取得:
caches.keys()メソッドを使用すると、利用可能なすべてのキャッシュの名前のリストを返す。
Cache APIは、Service Workerと組み合わせて使用されることが多い。Service Workerは、WebブラウザがWebページとは独立してバックグラウンドで実行するスクリプトだ。Service Workerを使用すると、ネットワークリクエストをインターセプトし、Cache APIを使用してキャッシュされたリソースを提供することで、オフラインでの動作やパフォーマンスの向上を実現できる。
Service Worker内でCache APIを使用する一般的な流れは以下の通りだ。
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Service Workerがインストールされる際に、必要なリソースをキャッシュにプリロードする。これは、
installイベントリスナー内でcaches.open()とcache.addAll()メソッドを使用して行う。cache.addAll()メソッドは、複数のリクエストを一度にキャッシュに追加する便利なメソッドだ。 -
Webページからリソースが要求される際に、Service Workerがネットワークリクエストをインターセプトし、まずキャッシュに一致するレスポンスがあるかどうかを確認する。これは、
fetchイベントリスナー内でcaches.match()メソッドを使用して行う。 -
キャッシュに一致するレスポンスがあれば、そのレスポンスをWebページに返す。キャッシュに一致するレスポンスがなければ、ネットワークからリソースを取得し、Webページに返すとともに、そのリソースをキャッシュに追加する。
Cache APIを使用する際には、いくつかの注意点がある。
- キャッシュのサイズには制限がある。制限を超えると、ブラウザは古いキャッシュエントリを自動的に削除する。
- キャッシュされたリソースは、明示的に削除するか、ブラウザによって削除されるまで保持される。
- セキュリティ上の理由から、HTTPS経由で提供されるリソースのみをキャッシュできる。
Cache APIは、Webアプリケーションのパフォーマンスを向上させ、オフラインでの動作を可能にする強力なツールだ。Service Workerと組み合わせることで、より高度なキャッシュ戦略を実装できる。しかし、キャッシュのサイズ制限やセキュリティ上の注意点など、考慮すべき点もある。これらの点を理解した上で、Cache APIを効果的に活用することで、優れたユーザーエクスペリエンスを提供できるWebアプリケーションを開発できるだろう。