【ITニュース解説】Scoped Styles/スコープ付きスタイルルール [CSS Modern Features no.5]

2024年12月04日に「Gihyo.jp」が公開したITニュース「Scoped Styles/スコープ付きスタイルルール [CSS Modern Features no.5]」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

Scoped Stylesは、CSSの適用範囲をより細かく制御する機能。`@scope` At-Rulesを使用し、特定範囲のHTML要素にのみスタイルを適用できる。これにより、コンポーネント単位でのスタイル管理が容易になり、CSSの衝突を防ぎ、より予測しやすいスタイル定義が可能になる。

ITニュース解説

Scoped Stylesは、CSSの適用範囲をより細かく制御するための新しい機能だ。従来のCSSでは、セレクタを使ってスタイルを適用する要素を指定していたが、Scoped Stylesを使うと、特定の要素とその子孫要素に対してのみスタイルを適用できる。これは、大規模なウェブアプリケーションや、コンポーネントベースの開発において、CSSの衝突を防ぎ、スタイルをより予測可能にするために役立つ。

Scoped Stylesを実現するのが、@scopeという新しいAt-Ruleだ。@scopeを使うと、スタイルの適用範囲を定義できる。基本的な構文は次のようになる。

1@scope (<scope-start>) to (<scope-end>) {
2  /* スタイル */
3}

scope-startは、スタイルの適用を開始する要素を指定する。scope-endは、スタイルの適用を終了する要素を指定する。scope-endは省略可能で、省略された場合は、scope-start要素の子孫要素すべてにスタイルが適用される。

たとえば、次のようなHTMLがあるとしよう。

1<div class="container">
2  <article>
3    <h1>記事のタイトル</h1>
4    <p>記事の本文</p>
5    <div class="ad">広告</div>
6  </article>
7  <footer>フッター</footer>
8</div>

このとき、article要素とその子孫要素に対してのみスタイルを適用したい場合、次のように@scopeを使うことができる。

1@scope (article) {
2  h1 {
3    color: blue;
4  }
5  p {
6    font-size: 16px;
7  }
8}

この例では、article要素内のh1要素は青色になり、p要素のフォントサイズは16pxになる。しかし、footer要素内のテキストは影響を受けない。

scope-startには、CSSセレクタを使用できる。したがって、クラス名やID、属性セレクタなど、様々な方法でスタイルの適用範囲を絞り込むことができる。

scope-endを指定することで、さらに細かく適用範囲を制御できる。たとえば、article要素内にあるdiv要素(上記の例では.ad要素)にはスタイルを適用したくない場合、次のように書くことができる。

1@scope (article) to (div) {
2  h1 {
3    color: blue;
4  }
5  p {
6    font-size: 16px;
7  }
8}

この場合、article要素内のh1要素とp要素にはスタイルが適用されるが、div要素(.ad要素)には適用されない。scope-endは、スタイルの適用を停止する要素を指定するため、scope-end自身とその子孫要素にはスタイルが適用されない点に注意が必要だ。

Scoped Stylesは、コンポーネントベースのアーキテクチャにおいて特に有用だ。各コンポーネントは、それぞれ独立したスタイルを持つことが理想的だが、従来のCSSでは、グローバルなスコープを持つため、コンポーネント間でスタイルの衝突が発生しやすい。Scoped Stylesを使うことで、各コンポーネントのスタイルをコンポーネント内に閉じ込め、スタイルの衝突を防ぐことができる。

たとえば、ReactやVue.jsなどのJavaScriptフレームワークを使ってウェブアプリケーションを開発する場合、各コンポーネントにScoped Stylesを適用することで、CSSの管理が格段に楽になる。

Scoped Stylesは、まだ比較的新しい機能であり、すべてのブラウザで完全にサポートされているわけではない。しかし、主要なブラウザでは実験的な機能としてサポートされており、今後の普及が期待される。Scoped Stylesを使うには、ブラウザの設定で実験的なウェブプラットフォーム機能を有効にする必要がある場合がある。

Scoped Stylesの登場により、CSSの設計と管理はより柔軟になり、大規模なウェブアプリケーション開発におけるCSSの課題を解決する可能性を秘めている。CSSのスコープをより細かく制御できるようになることで、より保守しやすく、予測可能なスタイルを実現できる。システムエンジニアを目指す上で、CSSの基礎知識に加えて、このような新しい機能にも注目していくことは、将来的に役立つはずだ。

【ITニュース解説】Scoped Styles/スコープ付きスタイルルール [CSS Modern Features no.5] | いっしー@Webエンジニア