【ITニュース解説】Cursor + 社内汎用MCP + Playwright MCPによるテスト実行実験
2025年09月13日に「Zenn」が公開したITニュース「Cursor + 社内汎用MCP + Playwright MCPによるテスト実行実験」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
AIモデルとの連携を可能にするMCPやWebテスト自動化ツールPlaywrightを組み合わせ、ソフトウェアの品質保証(QA)業務におけるテスト実行の効率化実験が行われた。
ITニュース解説
この記事は、ソフトウェアの品質保証(QA)業務において、AIツールをどのように活用できるかという実験について説明する。具体的には、AIコーディングアシスタントであるCursorと、AIが他のプログラムを操作するための共通言語であるModel Context Protocol(MCP)を組み合わせたテスト実行の試みが紹介されている。システムエンジニアを目指す上で、AIによる自動化技術は今後ますます重要になるため、この実験の内容を理解することは非常に役立つ。
まず、Model Context Protocol(MCP)とは何かを理解することが重要だ。これは、AIがさまざまなソフトウェアツールやサービスと連携し、それらを操作するための「共通のルール」や「インターフェース」のようなものだと考えると良い。人間が異なる言語を話す人とコミュニケーションを取る際に通訳が必要なように、AIが多様なプログラムを理解し、指示を出すためには、このような共通の仕組みが必要となる。Anthropic社がこのMCPの概念を発表して以来、AIとプログラムの連携は大きく進展している。
MCPにはいくつかの種類が登場しており、この記事では特に三つが挙げられている。一つは、Anthropic社が発表した、AIが汎用的にツールと連携するための基本的なMCPだ。そして、もう一つが「Playwright MCP」である。Playwrightは、ウェブブラウザを自動で操作するための有名なツールであり、ウェブアプリケーションのテスト自動化によく使われる。例えば、ウェブサイトにアクセスしてログインし、ボタンをクリックするといった一連の操作を、プログラムで自動的に実行できる。Playwright MCPは、AIがこのPlaywrightツールを直接操作できるようにするためのMCPである。これにより、AIが「このウェブページを開いて、このテキストボックスにAと入力し、このボタンをクリックして」といった指示をPlaywrightに出し、自動でテストを実行できるようになるわけだ。さらに、記事の著者であるナレッジワーク社では、自社の業務に特化した「社内汎用MCP」も開発している。これは、社内のシステムやデータにAIがアクセスし、必要な情報を取得したり、特定の処理を実行したりできるようにするためのものだ。
この実験では、AIコーディングアシスタントの「Cursor」が中心的な役割を担っている。Cursorは、開発者がプログラムを書く際に、AIがコードの提案をしたり、バグを見つけたり、コードを自動生成したりするなど、様々な面で開発者を支援するツールだ。このCursorが、上述した二種類のMCP、つまり社内汎用MCPとPlaywright MCPを「呼び出す」形でテスト実行を試みている。
具体的な実験内容は以下の通りだ。まず、Cursorは社内汎用MCPを使って、ナレッジワーク社内の特定の情報(例えば、テスト対象となる機能の仕様や、テストに必要なデータなど)を取得する。これは、AIがテストの背景情報や条件を理解するために不可欠なステップだ。次に、Cursorは取得した情報に基づき、何をどのようにテストすべきかを判断し、Playwright MCPを呼び出す。Playwright MCPは、その指示を受け取り、実際のウェブブラウザ上でPlaywrightを動かして、自動的にテストシナリオを実行する。例えば、新しい機能が正しく動作するかどうかを、AIがブラウザを操作して確認するのだ。
この一連のプロセスは、従来であればQAエンジニアが手動でテスト手順を作成し、Playwrightなどの自動化ツールを使ってスクリプトを書き、実行するといった手間のかかる作業だった。しかし、CursorとMCPの組み合わせにより、AIがこれらの作業の一部を自動化できる可能性が示されている。つまり、AIがテストシナリオの作成支援から、実際のテスト実行までを一貫して行うことで、QAエンジニアはより高度な判断や、AIでは難しい探索的テストなどに時間を割けるようになるわけだ。
実験の結果は、AIを活用したテスト実行の可能性を明確に示したものの、まだ完全に実用化できるレベルではないことも示唆している。AIが常に人間の意図通りに動作するとは限らず、複雑なテストケースや予期せぬ状況に対応する能力には限界がある。また、AIに与える指示の質や、テスト結果の解釈、セキュリティ面など、克服すべき課題も残っている。それでも、今回の実験は、AIがソフトウェア開発における品質保証のプロセスを大きく変革する可能性を秘めていることを証明する重要な一歩だと言える。
システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このようなAIと自動化のトレンドは、これからのキャリアを考える上で非常に重要だ。AIは単にコードを書くツールにとどまらず、ソフトウェアの企画、開発、テスト、運用といったあらゆる工程でその存在感を増していく。特に、手作業が多く発生しがちなテスト業務において、AIによる自動化は生産性向上と品質維持の両面で大きな貢献が期待されている。将来のシステム開発現場では、AIをいかに効果的に活用できるかが、エンジニアの重要なスキルの一つとなるだろう。この実験は、その未来の一端を垣間見せてくれるものだ。