【ITニュース解説】The danger of living in a world that can't stand the questions

2025年09月09日に「Medium」が公開したITニュース「The danger of living in a world that can't stand the questions」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

現代社会は答えを急ぎ、問い続けることに不寛容だ。未知の状態は脅威に感じられ、人々は安易な結論を求める。しかし複雑な技術課題では、性急な判断は危険を招く。不確実性を受け入れ、深く思考し続ける姿勢こそが、優れたエンジニアへの道である。

ITニュース解説

現代社会は、テクノロジーの進化によって情報へのアクセスが飛躍的に容易になった。スマートフォンを手にすれば、瞬時に検索エンジンやAIが膨大な情報の中から答えらしきものを提示してくれる。このような環境は非常に便利である一方、私たちがある重要な感覚を失いつつあるという危険性をはらんでいる。それは、「わからない」という状態に対する耐性だ。私たちは、答えがすぐに手に入らない不確実な状況に置かれると、強い不安や不快感を覚え、一刻も早く明確な答えを得ようとする傾向が強まっている。この心理的な動きは「認知的閉鎖への欲求」と呼ばれる。これは、曖昧さや不確実性を避け、物事を白黒はっきりさせたがる心の働きのことだ。知らないという状態は脅威のように感じられ、私たちは半ば強迫的に何らかの意味を見つけ出し、物事を単純化して理解しようとする。この傾向が社会全体に蔓延すると、複雑な物事を多角的に捉え、じっくりと考える文化が失われ、短絡的で表面的な理解に満足してしまう危険性が高まる。

この「問いに耐えられない」という傾向は、特にシステムエンジニアを目指す者にとって、看過できない重要な課題を突きつけている。なぜなら、システム開発の現場とは、本質的に「わからないこと」の連続だからである。例えば、原因不明のバグに直面した状況を想像してほしい。エラーメッセージは出ているが、その直接的な原因がどこにあるのかすぐには特定できない。あるいは、顧客から提示された要求が曖昧で、具体的にどのようなシステムを望んでいるのかが明確ではない。新しいプログラミング言語やフレームワークを学ぶ際も、最初は膨大な未知の概念に圧倒されるだろう。これらの状況はすべて、答えがすぐに見つからない不確実な状態だ。ここで「わからない」という不快感に耐えられず、焦って安易な解決策に飛びついてしまうと、深刻な問題を引き起こす可能性がある。例えば、インターネットで検索して最初に見つかったコードを、その意味を深く理解しないままコピー&ペーストで実装してしまうケースがそれに当たる。一時的に問題が解決したように見えても、そのコードが引き起こす副作用や、システム全体の設計思想との不整合に気づかず、後々「技術的負債」と呼ばれる、より修正困難な問題を生み出してしまうのだ。

優れたシステムエンジニアに求められるのは、答えを素早く見つける能力だけではない。むしろ、答えのない問いと向き合い、粘り強く思考を続ける能力こそが重要となる。彼らは、「わからない」という状態を恐怖ではなく、探求の出発点と捉える。バグの原因を探る際には、様々な仮説を立て、一つひとつ丁寧に検証していく。曖昧な要求に対しては、安易に解釈するのではなく、顧客と対話を重ね、背景にある真のニーズを掘り起こすための的確な「問い」を投げかける。新しい技術を学ぶ際にも、断片的な知識を暗記するのではなく、その技術がどのような問題を解決するために生まれたのかという根本的な思想を理解しようと努める。この一連のプロセスは、すべて「わからない」という状態を受け入れ、そこから逃げずに向き合うことから始まる。常に明確な答えを求める姿勢は、自ら考えることを放棄する思考停止に繋がりかねない。未知の問題に直面したとき、既知のパターンに当てはめて単純化しようとするのではなく、その問題ならではの複雑さや特殊性を認識し、ゼロベースで思考を組み立てる柔軟性が不可欠だ。

したがって、これからのシステムエンジニアは、情報を検索する能力と同様に、あるいはそれ以上に、「問い」を立て、不確実性と共存する能力を養う必要がある。それは、目の前の現象に対して「なぜこうなっているのか?」「本当にこれが最善の方法なのか?」「他に考えられる可能性はないか?」と自問自答し続ける姿勢である。テクノロジーの世界は日進月歩であり、昨日までの常識が今日には通用しなくなることも珍しくない。完璧な知識や絶対的な正解が存在しない領域で価値を生み出し続けるためには、知らないことを認め、学び続ける謙虚さと、答えのない問題に挑み続ける知的な持久力が求められる。答えを急ぐ社会の風潮に流されることなく、むしろその流れに逆行してでも、じっくりと腰を据えて問題の根源を探求する。この姿勢こそが、単なる作業者ではなく、真に価値あるソリューションを創造できるプロフェッショナルなエンジニアへの道を開く鍵となるだろう。

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