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【ITニュース解説】Fiverr is laying off 250 employees to become an 'AI-first company'

2025年09月17日に「Engadget」が公開したITニュース「Fiverr is laying off 250 employees to become an 'AI-first company'」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Fiverrは250人の従業員を解雇し、「AIファースト企業」への転換を発表した。AI中心の技術インフラと少人数で高生産性を目指す効率化策で、AIによる業務自動化が人数の削減につながるIT業界の動向を示す事例だ。

ITニュース解説

ギグエコノミープラットフォームとして知られるFiverrが、従業員の約30%にあたる250人を解雇するという大きなニュースが飛び込んできた。この大規模な人員削減は、同社が「AIファースト企業」へと大きく舵を切るためだという。FiverrのCEO、ミカ・カウフマン氏が自身のSNSで発表したこの方針転換は、現代のテクノロジー業界における重要なトレンドを浮き彫りにしている。

「AIファースト企業」とは、文字通りAIを最優先に考える企業を指す。これは単にAI技術を導入するだけでなく、企業のあらゆる意思決定、製品開発、業務プロセス、組織構造の基盤にAIを据えることを意味する。Fiverrの場合、カウフマン氏はこれを「スタートアップモードへの回帰」と表現している。スタートアップとは、一般的に小規模で迅速に動き、新しいアイデアを次々と試す機動力のある組織を指す。AIファーストになることで、Fiverrはより無駄のない(リーンな)、より速い組織になり、最新のAI技術を最大限に活用できる技術基盤を構築し、少人数のチームで一人ひとりの生産性を飛躍的に高め、管理層を減らすことを目指しているのだ。

なぜFiverrはそこまでしてAIファーストを目指すのか。その理由の一つは、AIがすでに多くの既存業務を効率化していることにある。ニュース記事によると、Fiverrはすでに顧客サポートや不正検出プログラムにAIを統合しているという。例えば、顧客サポートでは、AIを搭載したチャットボットがユーザーからのよくある質問に24時間体制で即座に回答したり、複雑な問い合わせを適切な担当者に振り分けたりすることで、人間のオペレーターにかかる負担を大幅に軽減している。これにより、人件費を削減しつつ、顧客サービスの質と応答速度を向上させることが可能になる。また、不正検出においては、AIが過去の大量の取引データや行動パターンを学習し、通常とは異なる怪しい動きを自動的に検知する。これにより、人間が手動で行うよりもはるかに高速かつ正確に不正行為を発見し、未然に防ぐことができる。これらのAIによる自動化が進むことで、Fiverrは「既存のビジネスを運営するのに、以前ほど多くの人員を必要としなくなる」とカウフマン氏は説明している。

しかし、今回の解雇発表には、以前のカウフマン氏の発言と矛盾する点があるとして注目を集めている。2025年5月のインタビューで、カウフマン氏は従業員に対し、自身の業務を「100%AIで自動化する」よう積極的に助言していた。その一方で、彼は従業員が「非線形思考」や「判断力」といった人間にしかできない能力を持っている限り、AIに取って代わられることはないと主張していた。非線形思考とは、論理的な手順だけでは解決できない複雑な問題に対し、直感的、創造的にアプローチする能力であり、判断力とは、曖昧な状況や倫理的な問題において適切な決定を下す能力を指す。しかし、今回のFiverrの従業員解雇は、カウフマン氏が言っていた「AIで自動化しても人間は代替されない」という言葉が、少なくともFiverr自身の従業員にとっては当てはまらなかったことを示しているのかもしれない。AIが進化し、単なる定型業務だけでなく、これまで人間が担っていた「判断」の一部までもサポートできるようになってきた現実を突きつけられる形となった。

Fiverrのようなギグエコノミープラットフォームだけでなく、Duolingoのような語学学習アプリ提供企業も「AIファースト」への転換を発表しており、この動きはテクノロジー業界全体の大きなトレンドとなっている。Workdayのような大規模な企業も、AI投資の有無にかかわらず大規模な人員削減を行っているが、Fiverrのケースは特にAIを理由とした組織再編の象徴的な事例と言えるだろう。企業がAIによって効率化を追求することは、少人数でより多くの仕事をこなす必要が生じることを意味する。

システムエンジニアを目指す初心者にとって、このニュースは非常に示唆に富んでいる。AI技術が企業の核となる戦略にまで影響を及ぼし、ビジネスモデルや組織構造を根本から変えようとしている現実を理解することは不可欠だ。これからIT業界に進む皆さんは、単にプログラミングのスキルを身につけるだけでなく、AIがどのようにビジネスに貢献し、どのような課題を解決できるのかを深く理解する必要がある。AIを使ったシステムの設計、開発、運用、さらにはAIがもたらす倫理的な問題や社会的な影響についても、常にアンテナを張っておくべきだろう。AIは、特定の作業を自動化し、人間の仕事を奪う可能性も秘めている一方で、全く新しい価値やサービスを生み出す無限の可能性も持っている。これからのシステムエンジニアには、AIを単なるツールとしてではなく、ビジネスパートナーとして捉え、その能力を最大限に引き出すための知識とスキル、そして新しい時代に適応する柔軟な思考が求められるようになるだろう。AIによって自動化される作業は増えるかもしれないが、AIと共創し、AIができない「非線形思考」や「判断力」を活かして、より高度で創造的な役割を担うシステムエンジニアの価値は、今後ますます高まっていくに違いない。

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