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【ITニュース解説】Metaが子どもの安全に関する研究やWhatsAppのセキュリティ脆弱性を隠ぺいしていたことが内部告発により明らかに

2025年09月09日に「GIGAZINE」が公開したITニュース「Metaが子どもの安全に関する研究やWhatsAppのセキュリティ脆弱性を隠ぺいしていたことが内部告発により明らかに」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Metaが、子どもの安全に関する調査を抑制し、メッセージアプリWhatsAppのセキュリティ問題を放置したとの内部告発があった。企業のユーザー保護や情報公開に対する姿勢が問われる事態となっている。

ITニュース解説

FacebookやInstagramを運営する巨大IT企業Meta社が、内部告発によって深刻な問題を指摘されている。告発の柱は二つあり、一つは自社サービスが子どもに与える悪影響に関する研究結果を意図的に公表しなかったという疑惑、もう一つは世界中で利用されるメッセージングアプリWhatsAppに存在するセキュリティ上の欠陥を放置したという疑惑である。これらの問題は、テクノロジー企業が社会的責任をどのように果たしているのか、そしてシステム開発の現場で何が起きているのかを考える上で非常に重要な示唆を与えてくれる。

まず、子どもの安全に関する問題について解説する。Meta社は、InstagramなどのSNSやVR(仮想現実)技術が、特に若年層の精神衛生にどのような影響を与えるかについて、社内で調査研究を行っていた。告発によれば、その研究結果の中には、サービスの利用が子どもの自己肯定感を低下させたり、いじめの温床になったりする可能性を示す、企業にとって不都合なデータが含まれていたとされる。今回の疑惑の核心は、Meta社がこうしたネガティブな研究結果を認識しながらも、その公表を抑制し、製品の改善よりも事業の成長を優先したのではないかという点にある。システムを開発するエンジニアは、コードを書くだけでなく、そのサービスが利用者に、とりわけ社会的に保護されるべき子どもたちにどのような影響を及ぼすかを常に意識する必要がある。企業が利益を追求するあまり、ユーザーの安全や健全性を軽視するような判断を下した場合、その開発に携わったエンジニアも倫理的な責任を問われる可能性がある。

次に、システムエンジニアを目指す者にとってより直接的な問題である、WhatsAppのセキュリティ脆弱性について掘り下げる。WhatsAppの最大の特長は、「エンドツーエンド暗号化(E2EE)」と呼ばれる強固なセキュリティ技術を採用している点にある。これは、メッセージを送信する端末で暗号化し、受信する端末でしか復号(元のメッセージに戻すこと)できない仕組みである。つまり、送信者と受信者の二人以外、たとえWhatsAppの運営会社であるMeta社であっても、通信内容を読み取ることはできないとされている。この高いプライバシー保護性能が、世界中のユーザーから信頼を得てきた理由だ。

しかし、今回の内部告発は、この信頼を根底から揺るがすものである。告発者は、WhatsAppの通信内容を第三者が傍受できる可能性のあるセキュリティ上の欠陥、すなわち「脆弱性」が存在することを指摘した。脆弱性とは、ソフトウェアの設計ミスやプログラムの不具合によって生じるセキュリティ上の弱点のことで、サイバー攻撃の標的となり得る。告発によれば、Meta社はこの脆弱性の存在を認識していながら、長期間にわたって修正対応を行わなかったとされる。もしこれが事実であれば、ユーザーは「メッセージは安全に保護されている」と信じてアプリを使い続けている一方で、その通信内容は危険に晒されていたことになる。

企業が脆弱性を放置する背景には、いくつかの理由が考えられる。一つは、修正にかかる技術的なコストや時間、人員といったリソースの問題である。大規模なシステムになればなるほど、一つの修正が予期せぬ別の不具合を引き起こす可能性もあり、修正作業は慎重に進める必要がある。また、経営層が脆弱性のリスクを過小評価し、新機能の開発やサービスの拡大を優先するよう開発チームに指示することもある。さらに深刻なケースとして、法執行機関などからの要請に応じるため、意図的に「バックドア」と呼ばれるような抜け道をシステムに残しておく可能性も指摘される。今回の告発がどのケースに当たるかは定かではないが、いずれにせよ、ユーザーの安全とプライバシーを最優先するという、サービス提供者としての基本的な責務が果たされていなかった疑いは極めて重い。

この一連の問題は、システムエンジニアを目指す者にとって、技術力だけでなく、高い倫理観がいかに重要であるかを教えてくれる。開発の現場では、納期のプレッシャーや経営判断など、様々な要因が技術的な意思決定に影響を与える。しかし、自らが開発したシステムが社会に与える影響を常に考え、セキュリティ上の欠陥や倫理的な問題点に気づいた際には、声を上げる勇気も必要となる。今回のMeta社の事例は、巨大テクノロジー企業がその強大な影響力に見合うだけの社会的責任を果たせているのかという問いを、社会全体に、そして未来の技術を担う私たち一人ひとりに投げかけているのである。

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