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【ITニュース解説】MIT Just Built a Computer Out of Living Bacteria.

2026年09月08日に「Medium」が公開したITニュース「MIT Just Built a Computer Out of Living Bacteria.」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

MITの研究者が、生きたバクテリアをトランジスタとして活用し、動作するコンピューターの回路基板を開発した。これは新しいコンピューター技術の可能性を示す。

ITニュース解説

MITの研究チームが、従来のシリコンチップではなく、生きたバクテリアを使ってコンピュータを構築したというニュースは、情報技術の未来に大きな可能性を示す画期的な進展だ。これは単なる奇抜な実験ではなく、コンピュータの基本的な構成要素であるトランジスタを、まったく新しい素材で作り上げたという点で非常に重要である。

私たちが普段使っているスマートフォンやパソコンの内部には、無数の小さなスイッチが詰まっている。これが「トランジスタ」と呼ばれるもので、電気信号をONにしたりOFFにしたりすることで情報を処理する。これらのトランジスタは、主にシリコンという半導体材料でできており、非常に小さな部品として集積回路、いわゆるICチップの中に組み込まれている。CPUやメモリといったコンピュータの主要な部品は、このシリコン製のトランジスタが何十億個も集まって構成されているのだ。デジタルな情報は0と1の組み合わせで表現されるが、トランジスタがONの状態を1、OFFの状態を0と見なすことで、電気的な信号を情報として扱うことが可能になる。

MITの研究は、このトランジスタの役割を、なんと「生きたバクテリア」に担わせようというものだ。なぜシリコンではないのか、という疑問が浮かぶかもしれない。シリコンは非常に優れた材料だが、微細化には物理的な限界があり、また、生体内で直接機能させることは難しいといった課題もある。バクテリアのような生物学的材料を使うことで、これまでのコンピュータにはなかった新しい可能性が開かれると期待されている。

では、バクテリアがどのようにしてトランジスタとして機能するのだろうか。従来のトランジスタが電気信号の有無でON/OFFを切り替えるのに対し、バクテリアのトランジスタは、特定の化学物質や光といった外部からの刺激に応答して、遺伝子の発現をON/OFFする仕組みを利用する。具体的には、バクテリアの遺伝子を操作し、ある刺激が与えられたときに特定のタンパク質を生成するように、あるいはその生成を停止するように「プログラム」する。このタンパク質の生成が情報出力のON、生成停止がOFFといった具合に、デジタルな信号として扱われる。まるで、バクテリア自体が小さな論理回路を内蔵しているかのように振る舞うのだ。これは「合成生物学」と呼ばれる分野の技術であり、生物の持つ機能を工学的に設計し直すことで、新しい用途を作り出す試みである。

研究チームは、このように操作されたバクテリアを「配線」して、機能する「回路基板」を作り上げた。従来のコンピュータ回路が金属線で電子部品をつなぐように、バクテリア同士を特定の環境下で配置したり、特定の信号伝達物質を使って連携させたりすることで、論理ゲートを構築したと考えられる。論理ゲートとは、AND、OR、NOTといった基本的な情報処理を行う回路のことで、これらを組み合わせることで複雑な計算が可能になる。例えば、二つの異なる化学物質が両方存在する場合にのみ特定の反応を起こすバクテリアはANDゲートとして機能し、いずれか一方でも存在すれば反応を起こすバクテリアはORゲートとして機能する。これらを組み合わせることで、情報を受け取り、処理し、次のバクテリアへと情報を渡していく、生物学的な「回路」が形成されるわけだ。

このような生きたコンピュータが実現すれば、私たちの社会に様々な影響を与える可能性がある。例えば、人間の体内や特定の環境の中に直接配置され、病気の早期発見や治療、あるいは環境汚染物質の検出といったタスクを自律的に実行する「生体コンピュータ」として機能することが期待される。従来の電子部品では実現が難しかった、自己修復機能や自己増殖機能を持つコンピュータの可能性も秘めている。また、単なる計算装置としてだけでなく、特定の化学物質を生成したり、細胞の振る舞いを制御したりするなど、これまでのコンピュータとは全く異なる応用が考えられる。例えば、癌細胞を特定して攻撃するプログラムをバクテリアに組み込んだり、特定の場所に栄養を供給する生体工学システムを構築したりすることも夢ではない。

しかし、この技術はまだ研究の初期段階にある。安定して動作させるための条件の確立、計算速度の向上、大規模な回路を構築するための方法論、そして倫理的な側面など、実用化に向けては多くの課題が存在する。生きたシステムであるため、環境変化や予期せぬ進化、あるいは外部からの干渉による誤動作のリスクも考慮する必要がある。それでも、生きた細胞をコンピュータの基本部品として活用するという発想は、情報技術の限界を押し広げ、これまでの常識を覆す可能性を秘めている。これは、システムエンジニアを目指す人々にとっても、将来的に全く新しい分野のシステム開発に携わる可能性を示唆しており、生物学と情報科学の融合がもたらす未来に注目すべき研究分野だと言えるだろう。

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