スイッチ (スイッチ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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スイッチ (スイッチ) の読み方

日本語表記

スイッチ (スイッチ)

英語表記

switch (スイッチ)

スイッチ (スイッチ) の意味や用語解説

スイッチとは、ローカルエリアネットワーク(LAN)内で複数のネットワーク機器を相互接続するために用いられる通信機器である。その主な役割は、接続された機器間でデータフレームを効率的に転送することにあり、ネットワーク全体のパフォーマンス向上に寄与する。ハブと異なり、スイッチはデータフレームの宛先を識別し、目的のポートにのみデータを送信するため、無駄なトラフィックの発生を抑制し、ネットワークの混雑を防ぐことができる。これにより、各機器が安定した通信環境を享受できるようになり、オフィスネットワークからデータセンター、さらには一般家庭においても不可欠な存在となっている。 スイッチの基本的な動作原理は、MACアドレス学習機能に基づいている。スイッチは、接続された機器から送られてくるデータフレームの送信元MACアドレスを解析し、そのMACアドレスと自身がデータを中継するポート番号の組み合わせをMACアドレステーブル(またはCAMテーブル)に記録する。このテーブルを用いることで、スイッチは特定の宛先MACアドレスを持つフレームを、テーブルに登録された適切なポートにのみ転送することが可能となる。もし宛先MACアドレスがテーブルにない場合や、ブロードキャストフレームの場合には、受信ポート以外の全てのポートにフレームを転送する。これにより、各ポートが独立したコリジョンドメイン(衝突ドメイン)を形成し、データ衝突(コリジョン)の発生を抑制し、通信効率を大幅に向上させる。また、スイッチは通常、全二重通信(フルデュプレックス)に対応しており、データ送受信を同時に行うことができるため、通信帯域を最大限に活用できる。 スイッチには、機能や管理の有無によっていくつかの種類がある。アンマネージドスイッチは、設定不要で接続するだけで利用できるシンプルなタイプであり、主に小規模ネットワークや家庭での利用に適している。一方、マネージドスイッチは、VLAN(Virtual LAN)設定、QoS(Quality of Service)、ポートセキュリティ、スパニングツリープロトコル(STP)などの高度な機能を備え、ネットワーク管理者が詳細な設定を行うことができる。これにより、大規模な企業ネットワークやデータセンターにおいて、ネットワークの柔軟性、セキュリティ、信頼性を高めることが可能となる。また、レイヤー3スイッチと呼ばれるものは、基本的なスイッチング機能に加えて、IPアドレスに基づいたルーティング機能も持ち合わせており、異なるVLAN間やサブネット間の通信を効率的に行うことができる。 マネージドスイッチが提供する代表的な機能としては、VLANがある。VLANは、物理的に同じネットワーク上にある機器を論理的に分離し、複数の独立したネットワークとして扱う技術である。これにより、セキュリティの向上や、ブロードキャストドメインの分割によるネットワーク負荷の軽減が図れる。Power over Ethernet(PoE)は、イーサネットケーブルを通じてデータ通信と同時に電力供給を行う技術であり、無線LANアクセスポイントやIP電話、ネットワークカメラなどの設置場所の自由度を高める。リンクアグリゲーション(LAGまたはEtherChannel)は、複数の物理的なネットワークリンクを束ねて論理的に1つのリンクとして扱うことで、帯域幅の拡大と耐障害性の向上を実現する。スパニングツリープロトコル(STP)は、ネットワーク内に物理的なループ構成が存在する場合に、フレームの無限ループ発生を防ぐために一部のポートを論理的にブロックするプロトコルである。QoSは、特定の種類のトラフィック(例えば音声やビデオ)に優先順位を付けることで、混雑時でも重要な通信の品質を保証する機能である。ポートセキュリティは、特定のMACアドレスを持つ機器のみをポートに接続させるなど、不正なアクセスを防ぐためのセキュリティ機能である。 スイッチは、現代のネットワークインフラストラクチャにおける最も基本的な構成要素の一つであり、システムエンジニアを目指す者にとってその機能と役割を理解することは不可欠である。ネットワークの設計、構築、運用、トラブルシューティング、セキュリティ対策のいずれにおいても、スイッチの動作原理や設定項目に関する知識は実践的なスキルとして求められる。安定した高性能なネットワークを構築するためには、適切なスイッチの選定と効果的な設定が極めて重要となる。

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