【ITニュース解説】ユーザーセッションを記録してユーザー体験を視覚的に捉えて改善しよう! - New Relic Session Replay

2025年09月04日に「Qiita」が公開したITニュース「ユーザーセッションを記録してユーザー体験を視覚的に捉えて改善しよう! - New Relic Session Replay」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

New Relic Session Replayは、ウェブサイトでのユーザー操作を動画のように記録するツールだ。ユーザーがどこで困っているか、問題がなぜ発生するかを視覚的に把握できる。これにより、再現が難しい課題を発見し、ユーザー体験を改善してサービス向上に繋がる。

ITニュース解説

ウェブサイトやアプリケーションの開発において、サービスを利用するユーザーがどのような体験をしているかを知ることは非常に重要だ。ユーザーがスムーズに目標を達成できているか、どこかでつまづいていないか、エラーに遭遇していないかといった点は、サービスの成功を大きく左右する。しかし、実際に何が起きているのかを正確に把握することは、多くの開発チームにとって大きな課題となっている。

例えば、ユーザーから「サイトが使いにくい」とか「特定の手順でエラーが出た」というフィードバックがあったとしても、その情報だけでは具体的な原因を特定し、解決策を見つけるのは難しい。開発者はユーザーに詳細なヒアリングを重ねる必要があったり、報告された問題を自力で再現しようと試みてもなかなかうまくいかなかったりすることが頻繁に発生する。このような状況は、問題解決の遅れにつながり、ユーザー体験の改善を妨げる要因となる。

New Relic Session Replayは、こうした課題を解決するために設計された画期的なツールだ。このツールは、ユーザーがウェブサイト上で実際に行った操作を、ビデオカメラで録画したかのように詳細に記録し、後からそのセッション(一連の操作)を再生できる機能を提供する。これにより、開発者やプロダクトマネージャーは、ユーザーがシステムをどのように利用しているのかを「目で見ながら」理解することが可能となる。

具体的に記録されるのは、ユーザーがどの要素をクリックしたか、どのページに移動したか、どれくらいスクロールしたか、フォームに何を入力したか、エラーメッセージが表示されたかどうか、あるいはウェブページがどのタイミングでレイアウトを変更したかなど、画面上でのあらゆるインタラクションだ。これらの情報が時系列に沿って記録され、後からいつでも再生できるため、ユーザーがウェブサイト内で経験したことの全体像を正確に把握できる。

このセッション再生機能の最大のメリットは、ユーザーが直面している問題の根本原因を視覚的に特定できる点にある。例えば、ユーザーが特定のボタンを探すのに時間がかかっていたり、誤って関係のない場所をクリックしてしまっていたり、入力フォームでエラーが出た際にどのように対処しようとしたりしたかなど、言葉だけでは伝わらない微妙な挙動や思考プロセスを「見て」理解できる。これにより、「UI(ユーザーインターフェース)のデザインが分かりにくい」「操作フローに迷いやすいポイントがある」といった抽象的な問題も、具体的な改善点として洗い出すことが可能になる。

また、再現が困難なバグの特定と解決にもSession Replayは絶大な効果を発揮する。ユーザーから報告されたエラーが、開発環境ではなかなか再現できないという状況はよくある。しかし、Session Replayを使えば、ユーザーがエラーに遭遇するまでの正確な操作手順を追体験できるため、開発者はそのバグが発生するトリガーを確実に特定し、効率的に修正作業を進められるようになる。これは、開発の生産性を向上させるだけでなく、ユーザーへの迅速な問題解決にも直結する。

さらに、新機能の導入やデザイン変更を行った際に、それらがユーザーにどのように受け入れられているかを評価する際にも役立つ。期待通りの利用がされているか、あるいは予期せぬ形で使われている部分はないかなどを視覚的に確認することで、データに基づいた効果的な改善サイクルを回すことが可能となる。これは、単にエラーを修正するだけでなく、サービス全体のユーザー体験を向上させるための重要なインサイトを提供してくれる。

New Relicはもともと、アプリケーションのパフォーマンス監視(APM)において業界をリードするツールの一つであり、サーバー側の処理速度やデータベースの応答時間など、システムの裏側で何が起きているかを詳細に分析する能力に優れている。Session Replayは、その監視範囲をユーザー側のブラウザ操作にまで広げることで、システムのバックエンドからフロントエンド、そしてユーザーの実際の体験に至るまで、エンドツーエンドでの包括的な可視化を実現する。これにより、バックエンドの性能問題がユーザー体験にどう影響しているかといった、より複合的な問題の原因特定も可能となるのだ。

システムエンジニアを目指す初心者にとって、このようなツールの存在と役割を理解することは非常に重要だ。現代のソフトウェア開発では、単に技術的な要件を満たすだけでなく、そのシステムを実際に利用するユーザーがどのような体験をするかという視点がますます重視されている。ユーザーが抱える課題を深く理解し、それに対して技術的な解決策を提供する能力は、これからのシステムエンジニアにとって不可欠なスキルとなる。Session Replayのようなツールは、開発者がユーザー中心の設計や改善プロセスを実践するための強力な武器となり、技術的な知識とユーザーへの共感力を結びつける架け橋となるだろう。

New Relic Session Replayは、これまで見えにくかったユーザーのウェブサイト上での行動を「見える化」し、開発チームが具体的な根拠に基づいてユーザー体験を改善するための強力なソリューションだ。これにより、より満足度の高いサービスを提供し、結果としてビジネスの成長にも貢献できるのである。

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