【ITニュース解説】No adblocker detected
2025年09月09日に「Hacker News」が公開したITニュース「No adblocker detected」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
従来の広告ブロッカー検出はファイル名などに依存したが、新しい手法はJavaScriptでおとり広告を作り、それが非表示にされるかを監視する。この「広告を消す動作」自体を検知することで、ブロッカーの存在をより確実に判定する仕組みである。
ITニュース解説
Webサイトを閲覧していると、広告が表示されることがある。多くのサイトは、この広告収入によって運営されている。一方で、ユーザー側には広告を非表示にする「広告ブロッカー」というツールが存在する。サイト運営者にとっては、広告ブロッカーは収益機会の損失に繋がるため、ユーザーが広告ブロッカーを使用しているかどうかを検知し、広告の表示を促したり、コンテンツの閲覧を制限したりする技術が生まれた。今回紹介するWebページ「No adblocker detected」は、この広告ブロッカーを検知する技術と、それをさらに回避しようとする技術の、巧妙な駆け引きを体験できるデモンストレーションである。システムエンジニアを目指す上で、このような技術の裏側で何が起きているのかを理解することは非常に重要だ。
まず、Webサイトが広告ブロッカーを検知する最も一般的な仕組みについて解説する。これは、ページ内に「おとり」の要素を仕掛ける方法である。具体的には、Webページを動的に制御するプログラミング言語であるJavaScriptを使い、いかにも広告が入りそうなHTML要素(例えば、divという汎用的な箱にadsというクラス名を与えたもの)をページ内にこっそりと作成する。広告ブロッカーは、このような「ads」といった典型的な名前を持つ要素を自動的に探し出し、CSSのdisplay: noneというスタイルを適用して非表示にするように設計されている。検知用のJavaScriptは、自身が作成した「おとり」の要素が、広告ブロッカーによって本当に非表示にされたかどうかを確認する。もしdisplayプロパティがnoneになっていれば、それは広告ブロッカーが作動している証拠だと判断し、「広告ブロッカーが検知された」という結果を出す。これが、検知技術の基本的な原理である。
しかし、技術の攻防はここで終わらない。広告ブロッカー側も進化を続け、「アンチ・アドブロック検知」と呼ばれる機能を持つものが登場した。これは、サイト側の検知スクリプトを逆に見破り、対抗措置をとる機能である。検知スクリプトが「おとりの要素の表示状態はどうなっているか」と問い合わせてきた際に、広告ブロッカーは「問題なく表示されていますよ」と、事実とは異なる偽の情報を返すのだ。実際には要素を非表示にしているにもかかわらず、検知スクリプトだけを騙すことで、広告ブロッカーは自らの存在を隠蔽する。これにより、ユーザーは広告を非表示にしたまま、サイト側の検知をすり抜けることが可能になる。
この前提知識を踏まえて、件のWebページを見てみよう。広告ブロッカー(特にアンチ・アドブロック検知機能を持つ高機能なもの)を有効にした状態でこのページにアクセスすると、「No adblocker detected」と表示される。これはまさに、広告ブロッカーが検知スクリプトをうまく騙している状況を示している。検知スクリプトは「おとり」要素の状態を確認しようとしたが、広告ブロッカーから「表示されている」という偽の応答を受け取ったため、「広告ブロッカーは存在しない」と誤判断した結果である。
このデモンストレーションの最も興味深い点は、広告ブロッカーを無効にしてページにアクセスしたときに起きる。通常であれば「No adblocker detected」と表示されるはずが、驚くべきことに「Adblocker detected」という、正反対の結果が表示されるのだ。これは一体なぜだろうか。専用の広告ブロックツールを何も使っていないにもかかわらず、サイト側は広告ブロッカーが存在すると判断している。この謎を解く鍵は、現代のWebブラウザ自体に組み込まれているプライバシー保護機能にあると考えられる。近年、Google ChromeやSafari、Microsoft Edgeといった主要なブラウザは、ユーザーを追跡するような広告スクリプトや、ユーザー体験を損なう要素を標準でブロックする機能を搭載し始めている。これらの機能が、拡張機能としての広告ブロッカーがなくても、「ads」のような典型的な名前を持つ要素を自動的に非表示にすることがある。その結果、ページの検知スクリプトは、ブラウザの標準機能の働きを「広告ブロッカーの動作」として検知してしまい、「Adblocker detected」と表示している可能性が高い。
結論として、このWebページは、サイト運営者による「検知」、広告ブロッカーによる「検知回避」、そしてブラウザ自身の進化という、三者が織りなすWeb技術の攻防戦をシンプルに可視化したものと言える。システムエンジニアとしてシステムを構築する際には、このように目に見える挙動の裏にある複数の技術的な要因や、それらが相互に影響し合う複雑な関係性を深く理解する洞察力が求められる。この「いたちごっこ」は、Web技術が常に進化し続けていることの証左であり、その最前線の動向を追い続けることの重要性を示唆している。