エビデンス(エビデンス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

エビデンス(エビデンス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

証拠 (ショウコ)

英語表記

evidence (エビデンス)

用語解説

エビデンスとは、システム開発や運用における証拠となる記録のことである。一般的には、ある事柄が実際に起こったこと、あるいは要求された品質を満たしていることを証明するために用いられる。システムエンジニアにとって、エビデンスはプロジェクトの透明性を高め、問題発生時の原因究明を容易にするために不可欠な要素となる。

システム開発のライフサイクル全体を通して、様々な場面でエビデンスが作成される。要件定義段階では、顧客との合意内容や決定事項を記録した議事録、要件定義書などがエビデンスとなる。設計段階では、システムの構造や機能を詳細に記述した設計書、画面設計書、データベース設計書などが該当する。実装段階では、実際に作成されたソースコード、テストで使用したテストケース、テスト結果などがエビデンスとなる。テスト段階では、テスト計画書、テスト仕様書、テスト実行結果、不具合報告書などが重要なエビデンスとなる。運用段階では、システムログ、監視データ、障害発生時の対応記録などがエビデンスとして利用される。

エビデンスを作成する目的は多岐にわたる。まず、プロジェクトの進捗状況を把握し、計画からの遅延や問題点を早期に発見するためである。エビデンスを定期的に確認することで、プロジェクトマネージャーは状況を正確に把握し、適切な対策を講じることができる。次に、品質保証の観点から、システムが要求された品質を満たしていることを証明するためである。テスト結果やレビュー記録などのエビデンスは、システムの品質を客観的に評価するための根拠となる。また、問題発生時の原因究明を迅速に行うためにも、エビデンスは重要となる。システムログや監視データなどを分析することで、問題の原因を特定し、再発防止策を講じることができる。さらに、監査対応のために、システムの安全性や法令遵守状況を証明するためにもエビデンスが必要となる。監査機関は、エビデンスに基づいてシステムの運用状況を評価し、改善点を指摘する。

エビデンスとして記録する内容としては、日付、時刻、作成者、変更履歴、関連ドキュメントへの参照などが挙げられる。これらの情報を適切に記録することで、エビデンスの信頼性を高め、追跡可能性を向上させることができる。例えば、テスト結果のエビデンスには、テストケースID、テスト実行日時、入力データ、期待される出力、実際の出力、合否判定などが含まれる。不具合報告書のエビデンスには、不具合の発生日時、発生場所、再現手順、影響範囲、修正状況などが含まれる。システムログのエビデンスには、イベント発生日時、イベント種別、発生元、関連情報などが含まれる。

エビデンスの管理方法も重要である。一般的には、バージョン管理システムやドキュメント管理システムを利用して、エビデンスを体系的に管理する。これにより、エビデンスの検索、更新、共有が容易になり、誤った情報や古い情報を使用することを防ぐことができる。また、アクセス権を設定することで、エビデンスへの不正アクセスや改ざんを防止することができる。

エビデンスの重要性は、プロジェクトの規模や複雑さが増すほど高まる。大規模なプロジェクトでは、多くの関係者が関与し、複雑なシステムが構築されるため、エビデンスによる情報共有と意思疎通が不可欠となる。また、法令遵守が求められるシステムでは、監査対応のために詳細なエビデンスが必要となる。

システムエンジニアは、エビデンスの作成、管理、活用を通じて、プロジェクトの成功に貢献する。適切なエビデンスを作成し、適切に管理することで、システムの品質向上、問題解決の迅速化、監査対応の円滑化を実現することができる。エビデンスは、単なる記録ではなく、プロジェクトを成功に導くための重要な資産であることを理解しておく必要がある。

初心者のシステムエンジニアは、まず、プロジェクトで作成されるエビデンスの種類と目的を理解することから始めるべきである。先輩エンジニアの作成したエビデンスを参考に、適切なエビデンスを作成する練習を重ねることが重要である。また、エビデンス管理ツールや手順を理解し、適切に利用することで、効率的なエビデンス管理を実現することができる。