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【ITニュース解説】OpenAI’s latest research paper demonstrates that falsehoods are inevitable

2025年09月14日に「Hacker News」が公開したITニュース「OpenAI’s latest research paper demonstrates that falsehoods are inevitable」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

OpenAIの研究で、AIが生成する誤った情報は避けられないと示された。これを完全に排除すると、ChatGPTなどAIの創造性や有用性が失われ、事実上機能しなくなる。AI開発では、誤りをゼロにすることは難しい課題だ。

ITニュース解説

近年、AI技術の進化は目覚ましく、ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)は私たちの生活や仕事に大きな変革をもたらしている。しかし、これらのAIには「ハルシネーション」と呼ばれる、あたかも事実であるかのように誤った情報を生成してしまう特性が指摘されてきた。OpenAIの最新の研究論文は、このハルシネーション、つまりAIが嘘や不正確な情報を生成することは、AIの構造上避けられないものであり、それを完全に排除しようとするとAIモデルの有用性そのものが失われる可能性を示唆している。

ハルシネーションとは、AIが学習データに存在しない、または事実と異なる情報を、自信満々に生成してしまう現象を指す。例えば、「〜について教えてください」と質問した際に、存在しない人物の名前や場所、誤った統計データなどを提示することがこれにあたる。これが問題となるのは、AIが生成する情報は非常に流暢で、一見するともっともらしく見えるため、利用者がその情報の真偽を見極めることが難しい点にある。特にシステムエンジニアがAIを活用して情報収集やコーディングを行う際には、このハルシネーションが誤った設計やバグの原因となるリスクをはらむため、その特性を深く理解する必要がある。

OpenAIの研究は、AIが情報を生成する基本的な仕組みに焦点を当てている。AIは膨大なテキストデータから単語やフレーズのパターン、文脈を学習し、次に続く可能性のある単語を確率的に予測することで文章を生成する。このプロセスは、人間が何かを「理解」して発言するのとは根本的に異なる。人間が知らないことを尋ねられた場合、「知らない」と答えることができるが、AIは常に「最もらしい」応答を生成しようと試みる。そのため、学習データに明確な根拠がない場合でも、それらしい情報を「推測」して生成してしまうことがある。これがハルシネーションの根源にある。

この研究が示唆するのは、AIの持つ「不確実性」を完全に排除しようとすることの困難さである。もしAIが少しでも不確実性のある情報に対して「わからない」「確信がない」と回答するように厳格にプログラムされた場合、そのAIは非常に保守的になり、多くの質問に対して有用な回答を生成しなくなるだろう。記事のタイトルが「OpenAIのAIハルシネーションへの解決策は、明日ChatGPTを殺すだろう」と表現しているのは、まさにこの点を指している。

具体的に考えてみよう。現在のChatGPTは、ユーザーの質問に対して、たとえ情報が不完全であったとしても、ある程度の推論や創造性を加えて回答を生成する。これにより、ユーザーは新しいアイデアを得たり、複雑な問題を解決するためのヒントを受け取ったりできる。しかし、もしAIが少しでも不確実な情報に対しては一切言及せず、「わかりません」としか答えないようになったらどうなるか。

例えば、新しいプログラミング言語のマイナーな機能について質問したとする。現在のAIであれば、学習データから関連する情報や一般的なパターンを組み合わせて、ある程度の回答を生成してくれるかもしれない。その回答が100%正確でなくても、利用者はそれを参考にさらに調べたり、試行錯誤したりすることが可能だ。しかし、ハルシネーションを完全に排除するために「わからないことには答えない」AIになった場合、その機能に関する質問には「学習データに十分な情報がないため、回答できません」としか返ってこないだろう。これでは、AIの利便性や価値は大幅に低下し、ユーザーはAIを利用する意義を見出せなくなる。

システムエンジニアを目指す者として、このAIの特性を理解することは極めて重要である。AIはあくまでツールであり、完璧な万能薬ではない。AIが生成する情報には常に不確実性が伴うことを認識し、その情報を鵜呑みにせず、必ず人間自身が最終的な確認や検証を行う必要がある。例えば、AIが生成したコードや設計案をそのままシステムに組み込むのではなく、その正確性や意図しない副作用がないかを入念にテスト・レビューするプロセスが不可欠となる。

この研究は、AIの発展が限界に直面していることを意味するわけではない。むしろ、AIの根本的な特性を理解し、その上でどのようにAIと共存していくべきか、どのようにAIを安全かつ効果的に活用していくべきかという、新たな課題を提示している。AIの「嘘」を完全に無くすことは難しいが、AIが自身の不確実性を自己認識し、それをユーザーに適切に伝える技術の研究は進められている。例えば、「この情報は確実ではありませんが、参考として提示します」といった形で、情報の信頼度をユーザーに示すことができれば、利便性と安全性のバランスを取ることが可能になるかもしれない。

システムエンジニアとしてAI技術に関わる際には、AIの仕組み、その強みと弱み、特にハルシネーションという避けられない特性を深く理解し、それらを踏まえた上で、AIをどのようにシステムに統合し、ユーザーにどのような情報を提供するか、そしてリスクをどう管理するかを設計する視点が求められる。AIは強力なツールだが、その限界を理解し、人間の判断と組み合わせることで初めて真価を発揮するのだ。

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