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【ITニュース解説】Building Your First RAG Pipeline With LangChain and OpenAI: A Complete Developer Guide

2025年09月15日に「Medium」が公開したITニュース「Building Your First RAG Pipeline With LangChain and OpenAI: A Complete Developer Guide」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

LangChainとOpenAIを使ってRAGパイプラインを構築するガイド記事。初めてでも、ゼロから実用的なインテリジェント検索システムを短時間で作成できる、詳細な手順を解説している。

ITニュース解説

「Building Your First RAG Pipeline With LangChain and OpenAI: A Complete Developer Guide」という記事は、大規模言語モデル(LLM)の最新技術であるRAGパイプラインを、人気のフレームワークであるLangChainと、先進的なLLMを提供するOpenAIを使って、いかに効率的に構築できるかを解説している。この記事の目標は、わずか30分で実用レベルのインテリジェントな検索システムを作り上げるための具体的な手順を示すことにある。システムエンジニアを目指す初心者にとって、この技術は今後のAI開発において非常に重要な基礎知識となるため、その概要と具体的な仕組みを理解することは非常に有益だ。

まず、RAG(Retrieval Augmented Generation)とは何かを説明する。近年のChatGPTに代表されるLLMは、膨大なテキストデータで学習されており、人間のように自然な文章を生成できる。しかし、LLMにはいくつかの課題がある。一つは、学習データの時点以降の最新情報には対応できないこと、もう一つは、学習データに基づいて「もっともらしい」が事実とは異なる情報を生成してしまう、いわゆる「ハルシネーション(幻覚)」を起こす可能性があることだ。RAGは、これらの課題を解決するために考案された技術である。RAGの基本的な考え方は、ユーザーからの質問に対して、LLMが直接回答を生成する前に、関連性の高い外部の情報源から必要な情報を「検索(Retrieval)」し、その情報をLLMに与えて回答を「生成(Generation)」させる、というものだ。これにより、LLMは最新の、または特定の情報に基づいた、より正確で信頼性の高い回答を生成できるようになる。

このRAGパイプラインを効率的に構築するために、記事ではLangChainとOpenAIを活用する方法が示されている。LangChainは、LLMアプリケーションの開発を支援するためのオープンソースフレームワークだ。複数のLLMや外部ツール、データソースなどを連携させ、複雑な処理を容易に記述するための様々な機能を提供する。まるで、異なる部品を繋ぎ合わせて一つの大きな機械を作るための「設計図」や「接着剤」のような役割を果たす。一方、OpenAIは、ChatGPTの基盤となるGPTシリーズをはじめとする強力なLLMや、テキストを数値表現に変換する埋め込みモデル(Embeddings)を提供している。RAGパイプラインにおいて、OpenAIのLLMは最終的な回答生成を担い、OpenAIの埋め込みモデルは外部情報の検索効率を高めるために利用される。これら二つのツールを組み合わせることで、開発者は高度なAIシステムを比較的容易に構築できるようになるのだ。

RAGパイプラインの具体的な構築ステップは、主に以下の要素で構成される。 最初のステップは「ドキュメントのロード」だ。これは、PDFファイル、Webページ、データベースなど、様々な形式で存在する外部の知識をシステムに取り込む作業を指す。LangChainは、これらの多様なデータソースから情報を読み込むための「ドキュメントローダー」を多数提供しており、開発者は手間なくデータを扱える。

次に「テキストの分割(Text Splitting)」が行われる。読み込んだドキュメントは非常に長い場合があるが、LLMには一度に処理できるテキストの長さに限界がある。また、関連性の高い情報を効率的に検索するためには、テキストを意味のある小さな塊(チャンク)に分割する必要がある。LangChainは、このテキスト分割のための機能も提供しており、例えば、一定の文字数で区切ったり、特定の区切り文字(改行など)で分割したりする設定が可能だ。

分割されたテキストチャンクは、次のステップである「埋め込み(Embeddings)」の対象となる。埋め込みとは、テキストの意味内容を数値のベクトル(数値の並び)に変換する技術のことだ。人間が言葉の意味を理解するように、コンピューターもテキストの意味を数値で表現することで、そのテキストが他のテキストとどれくらい「似ている」かを計算できるようになる。OpenAIが提供する埋め込みモデルを利用することで、高品質なベクトル表現を生成できる。このベクトルは、意味的に近いテキスト同士が数値空間上で近くに配置されるような特性を持つ。

生成された埋め込みベクトルは、「ベクトルストア(Vector Store)」と呼ばれる特殊なデータベースに保存される。通常のデータベースがテキストや数値データをそのまま保存するのに対し、ベクトルストアは埋め込みベクトルを効率的に保存し、ユーザーの質問に対応する関連性の高いドキュメントチャンクを高速に検索するために最適化されている。記事では、オープンソースのベクトルストアであるChromaなどが例として挙げられている。

ユーザーが質問をすると、その質問も同様に埋め込みモデルによってベクトルに変換される。そして、この質問ベクトルと、ベクトルストアに保存されているドキュメントチャンクのベクトルとの類似度を計算し、最も関連性の高いチャンクを「検索(Retrieval)」する。これがRAGの「Retrieval」の部分だ。

最後に、検索によって得られた関連ドキュメントのチャンクと、ユーザーの元の質問が、OpenAIのLLM(例えばGPT-3.5やGPT-4)に渡される。LLMは、これらの情報を基に、ユーザーの質問に対する回答を「生成(Generation)」する。これがRAGの「Generation」の部分だ。このように、外部の信頼できる情報源を参照しながら回答を生成するため、LLMのハルシネーションを抑制し、より正確で状況に即した応答が可能になる。

記事が「30分でプロダクションレディなインテリジェント検索システム」を謳っているのは、LangChainやOpenAIのようなツールが、RAGパイプライン構築の複雑さを大幅に軽減してくれるからだ。以前は複数の技術要素をゼロから組み合わせる必要があったが、現在ではこれらのフレームワークとサービスを活用することで、基本的な機能を迅速に実装し、さらに拡張していくことが容易になっている。これは、システムエンジニアとしてAI技術を実務に応用したいと考える初心者にとって、非常に敷居が低い入り口となるだろう。

RAGは、チャットボット、FAQシステム、ドキュメント検索、知識ベースシステムなど、多岐にわたるアプリケーションでの活用が期待されている。この技術を理解し、実際に手を動かして構築してみることは、これからのAI時代を生きるシステムエンジニアにとって、必ずや大きな強みとなるはずだ。このガイドは、その第一歩を踏み出すための貴重なロードマップを提供している。

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