【ITニュース解説】Ray intersection with Aligned Bounding Box and Plane Tutorial
2025年09月16日に「Reddit /r/programming」が公開したITニュース「Ray intersection with Aligned Bounding Box and Plane Tutorial」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
3D空間で光線(レイ)が、物体を囲む軸並行境界ボックス(AABB)や平面と衝突するかどうかを判定する計算方法を解説したチュートリアル。ゲームやグラフィックスにおける効率的な衝突判定処理の基礎技術を学べる。
ITニュース解説
レイと軸平行バウンディングボックス(AABB)、そして平面との交差判定は、3Dグラフィックスやゲーム開発において非常に基本的ながらも不可欠な技術である。この技術は、物体同士の衝突を検出したり、光の経路を計算してリアルな画像を生成したり、ユーザーがマウスで画面上のオブジェクトを選択したりする際に多岐にわたって利用される。システムエンジニアを目指す上で、3D空間におけるこれらの幾何学的計算の原理を理解することは、ゲームエンジンやレンダリングエンジンの内部構造を深く理解するための第一歩となる。
まず、「レイ」とは何かについて説明する。レイは3D空間における一点から始まり、特定の方向へ無限に伸びる直線のことを指す。これはしばしば「半直線」とも呼ばれる。例えば、ゲームの中でキャラクターが銃を撃った際に弾丸が飛んでいく軌道や、仮想的なカメラから画面上の各ピクセルを通る視線、光源から発せられる光の筋などを表現するために使われる。レイは通常、始点(原点)と方向ベクトルという二つの情報で定義され、パラメータtを用いて「始点 + t × 方向ベクトル」という形で空間上の任意の点を表すことができる。このtの値がレイの始点からの距離に対応する。
次に、「軸平行バウンディングボックス」、略してAABBについて解説する。AABBは、3D空間に存在する複雑な形状のオブジェクトを囲むための直方体のことである。この直方体は「軸平行」という名の通り、その全ての辺がX、Y、Z軸のいずれかに平行になっているのが特徴だ。なぜこのようなシンプルな直方体を使うのかというと、複雑な形状のオブジェクト同士が実際に衝突するかどうかを精密に判定するのは計算負荷が非常に高いため、まずはAABBのような単純な形状で大まかに判定を行うことで、全体の処理を高速化するためである。もしAABB同士が衝突しないのであれば、中の複雑なオブジェクトも衝突しないと判断でき、詳細な計算をスキップできる。AABBは通常、その最小のX、Y、Z座標を持つ点(min_point)と、最大のX、Y、Z座標を持つ点(max_point)によって定義される。
そして、「平面」も3D空間における基本的な要素の一つである。平面とは、厚みを持たない無限に広がる平らな面を指す。例えば、ゲームにおける床や壁、水面などを表現するのに使われる。平面は、その向きを示す法線ベクトル(平面に対して垂直なベクトル)と、原点からの距離(あるいは平面上の一点)によって数学的に定義される。法線ベクトルは平面のどちら側が「内側」や「上側」であるかを示す重要な情報となる。
これらのレイ、AABB、平面が互いに交差するかどうかを判定する技術は、様々な場面で活用される。最も代表的なのが「レイトレーシング」というレンダリング手法だ。これは、仮想カメラから各ピクセルを通るレイを空間に放ち、それがどのオブジェクトに当たるかを計算することで、そのピクセルの色を決定する。これにより、影、反射、屈折といった現象を非常にリアルにシミュレートできる。また、ゲーム開発における「衝突判定」も重要な用途だ。キャラクターが壁にぶつかったり、飛び道具が敵に当たったりした際に、そのイベントを検知するためにレイとオブジェクトの交差判定が使われる。さらに、ユーザーがマウスで画面上のオブジェクトをクリックして選択する「ピッキング」処理や、画面に映らないオブジェクトの描画をスキップする「カリング」処理などにも、これらの交差判定の考え方が応用されている。
レイとAABBの交差判定の基本的な考え方は、AABBがX、Y、Z軸に平行な6つの平面(前面、後面、上面、下面、左面、右面)で構成されていると見なせる点にある。レイがこれらの6つの平面のそれぞれと交差する距離(t値)を計算し、レイがAABBの内部に進入する最初のt値(t_min)と、AABBから出ていく最後のt値(t_max)を特定する。もしレイがAABBに到達する前にAABBから出ていってしまったり(t_min > t_max)、レイがAABBと交差する範囲が全てレイの始点よりも後ろにあったりする(t_max < 0)場合は、交差していないと判断される。そうでなければ、レイはAABBと交差していることになる。この計算は各軸に沿って独立して行えるため、非常に効率的である。
レイと平面の交差判定は、数学的な方程式を解くことで行われる。レイ上の任意の点は「始点 + t × 方向ベクトル」で表され、平面上の点は「法線ベクトル ⋅ 点 = 原点からの距離」という形で表される。この二つの方程式を連立させ、tについて解くことで、レイが平面と交差する位置を示すtの値が得られる。具体的には、t = (原点からの距離 - 法線ベクトル ⋅ レイの始点) / (法線ベクトル ⋅ レイの方向ベクトル)という式でtを計算できる。もし分母の「法線ベクトル ⋅ レイの方向ベクトル」がゼロに近い値になった場合、それはレイが平面にほぼ平行であることを意味し、交差しないか、レイ全体が平面上に乗っている特殊なケースとなる。tが負の値であれば、レイの始点より後ろで交差していることになる。
これらの交差判定アルゴリズムは、一見すると単純な幾何学的な計算の組み合わせに過ぎないように見えるかもしれない。しかし、現代の複雑な3Dアプリケーションやゲームの内部では、このような基礎的な計算が毎フレーム、数え切れないほど実行され、リアルな世界を構築している。AABBのような単純な形状を使うことで計算コストを抑えつつ、必要な場合にのみ詳細な計算を行うといった最適化の手法も、これらの基礎の上に成り立っている。システムエンジニアとして3Dグラフィックスやシミュレーション分野に関わるのであれば、これらの原理をしっかりと理解し、自ら実装できるようになることは非常に価値がある。提示されたチュートリアルは、まさにこれらの基本的な計算をどのようにコードに落とし込むかを実践的に学ぶための良い機会となるだろう。複雑なシステムも、このような基本的な要素技術の積み重ねによって成り立っていることを理解することが、次のステップへ進むための重要な鍵となる。