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【ITニュース解説】セイコーエプソン、プロセスマイニングで23.5人月分の生産性向上計画を策定

2025年09月16日に「ZDNet Japan」が公開したITニュース「セイコーエプソン、プロセスマイニングで23.5人月分の生産性向上計画を策定」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

セイコーエプソンは、プロセスマイニングツールを導入し、業務の進め方を詳しく分析した。その結果、わずか5カ月で23.5人月分もの生産性向上につながる改善計画を策定。大幅な業務効率化を進める。

ITニュース解説

セイコーエプソンがプロセスマイニングを活用し、短期間で大きな生産性向上計画を策定したというニュースは、IT業界にこれから飛び込もうとするシステムエンジニア志望者にとって非常に重要な示唆を含んでいる。このニュースの核心にある「プロセスマイニング」とは一体何か、そしてそれがどのようにビジネスに貢献するのかを、具体的に解説する。

まず、プロセスマイニングとは、企業内の様々な業務プロセスが実際にどのように実行されているかを、情報システムに残されたデータを元に「見える化」し、分析する技術である。例えば、商品の受注から出荷まで、経費申請から承認までといった一連の業務は、複数のステップと担当者、システムを経て進んでいく。このそれぞれのステップで、いつ、誰が、何を、どのように行ったかという情報が、基幹システムやワークフローシステムなどのデータベースに「イベントログ」として記録されている。プロセスマイニングツールは、これらのイベントログを収集・分析し、実際の業務の流れをフローチャートのように自動で描き出す。

従来の業務改善手法では、担当者へのヒアリングやワークショップを通じて業務プロセスを把握するのが一般的だった。しかし、この方法では、担当者の記憶や認識に頼るため、実際の業務フローと乖離が生じたり、イレギュラーな処理が見過ごされたりすることがよくあった。また、部門間の連携など、複雑なプロセス全体を網羅的に把握するのは困難だった。プロセスマイニングは、人間の主観ではなく、システムに残された客観的なデータに基づいているため、現実の業務フロー、どこで滞留が発生しているか、どこが無駄な作業になっているか、あるいはどの工程がボトルネックになっているかといった「プロセスの実態」を正確に把握できるのだ。

今回のニュースでセイコーエプソンが採用したのは、この分野の主要ベンダーであるセロニスのプロセスマイニングツールだ。セロニスのツールは、大量のイベントログデータを高速で処理し、高度なアルゴリズムで分析することで、業務プロセスの可視化だけでなく、問題点の特定、改善策のシミュレーション、さらにはAIを活用した自動化の提案までを行うことができる。企業はこれらの機能を利用して、単に現状を把握するだけでなく、具体的な改善アクションへとつなげることが可能になる。

セイコーエプソンは、このセロニスのツールを導入し、5ヶ月という短期間で23.5人月分の生産性向上につながる改善計画を策定した。この「23.5人月」という数字の持つ意味は非常に大きい。人月(マンゲツ)とは、ITプロジェクトなどで使われる仕事量の単位で、1人の人間が1ヶ月で行う作業量を指す。つまり、23.5人月分の生産性向上とは、年間で23.5人分の労働力に相当する時間やコストを削減できる、あるいはその分の新たな価値創出が可能になるということだ。これは、単に少人数化できるというだけでなく、従業員がより付加価値の高い業務に集中できるようになることを意味する。例えば、無駄な承認プロセスをなくしたり、情報入力の手間を省いたりすることで、作業効率が劇的に改善される。結果として、顧客へのサービス提供スピードが向上したり、従業員の働きがいが高まったりといった様々なポジティブな効果が期待できる。

5ヶ月という期間でこれだけの成果につながる計画を策定できたことも注目すべき点だ。従来の業務分析・改善プロジェクトは、数ヶ月から年単位の時間を要することが珍しくなかった。しかし、プロセスマイニングツールを活用することで、データの収集と分析が自動化・高速化され、短期間で具体的な課題特定と改善策の立案が可能になった。これは、ビジネス環境の変化が激しい現代において、企業が迅速に競争力を維持・向上させる上で不可欠な要素となっている。

セイコーエプソンの事例は、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の一環として捉えることができる。DXとは、デジタル技術を活用して、製品やサービス、ビジネスモデル、そして組織のあり方そのものを変革していくことである。プロセスマイニングは、このDXを推進するための強力な武器となる。なぜなら、DXを成功させるためには、まず自社の現状の業務プロセスを正確に理解し、どこにデジタル技術を適用すれば最大の効果が得られるかを見極める必要があるからだ。

システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このプロセスマイニングという技術は、将来のキャリアにおいて非常に重要な知識となるだろう。ITシステムの開発や運用に携わるだけでなく、ビジネスプロセスそのものを理解し、改善提案できる能力は、これからのシステムエンジニアに強く求められるスキルである。プロセスマイニングは、まさにその能力を養い、実践するための具体的なアプローチの一つとなる。企業の業務効率化や生産性向上に直接貢献できるため、ITがビジネスにどう貢献するかを実感しやすい分野でもある。今後、ますます多くの企業がプロセスマイニングを導入し、業務変革を進めていくことが予想されるため、その基礎知識を身につけておくことは、将来のキャリアを形成する上で大きな強みとなるだろう。

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