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【ITニュース解説】Through Hole Technology in PCB

2025年09月09日に「Medium」が公開したITニュース「Through Hole Technology in PCB」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

プリント基板(PCB)のスルーホール技術は、電子部品の足を基板の穴に通してはんだ付けする実装方法だ。部品を物理的に強く固定できるため信頼性が高く、電源回路など高い耐久性が求められる箇所で今も利用されている。

出典: Through Hole Technology in PCB | Medium公開日:

ITニュース解説

現代のあらゆる電子機器、例えばスマートフォン、パソコン、テレビ、自動車などは、その内部に必ず「プリント基板(PCB)」と呼ばれる板状の部品が入っている。このプリント基板は、電子機器が正しく機能するための神経網とも言える重要な役割を担っている。プリント基板がなければ、複雑な電子回路を小型の筐体に収めることは不可能である。この基板の上に、CPUやメモリ、コンデンサ、抵抗といった無数の電子部品が配置され、電気的に接続されることで、一つのシステムとして動作する。このプリント基板に電子部品を取り付ける技術は、電子機器の進化とともに大きく変化してきた。その中でも、古くから使われている基礎的な技術が「スルーホール技術(Through Hole Technology、THT)」である。スルーホール技術とは、電子部品から伸びている金属の足(リード線)を、プリント基板に予め開けられた穴(スルーホール)に通し、基板の裏側ではんだ付けによって固定・接続する実装方法である。この方法は、電子工作などで個人がはんだごてを使って部品を取り付ける光景を想像すると分かりやすい。基板に部品を差し込み、裏から溶かしたはんだで固めるという、直感的で堅牢な接続方法だ。スルーホール技術を用いた基板の製造プロセスは、まず基板に必要な穴を開けることから始まる。次に、その穴の内壁に銅などの導電性金属でめっきを施す。このめっき処理が非常に重要で、基板の表層と裏層、あるいは多層基板の場合は内部の配線層と電気的な接続を確立する役割を持つ。その後、部品のリード線を一つ一つ穴に挿入し、はんだ付けを行う。はんだ付けには、作業者が手作業で行う場合と、ウェーブソルダリングと呼ばれる、溶かしたはんだの波に基板全体を浸して一括ではんだ付けする自動化された方法がある。このスルーホール技術の最大の利点は、その物理的な結合力の強さにある。部品のリード線が基板を貫通し、両面ではんだでしっかりと固定されるため、非常に高い機械的強度を持つ。そのため、抜き差しが頻繁に行われるUSBコネクタや電源コネクタ、重量のある大型のコンデンサやトランスなど、物理的なストレスがかかりやすい部品や、振動や衝撃が加わる環境で使用される機器において、非常に信頼性の高い実装方法として重宝される。また、部品自体が大きく、はんだ付けの箇所も目視しやすいため、開発段階での試作(プロトタイピング)や、製品が故障した際の部品交換や修理が比較的容易であるという利点も持つ。さらに、部品間の距離を確保しやすいため、高電圧や高電流を扱う電源回路などでも、安全性や放熱性の観点から有利である。しかし、スルーホール技術にはいくつかの欠点も存在する。最も大きな課題は、実装密度の限界である。部品を固定するための穴が基板を貫通するため、その穴の周辺には他の部品や配線を配置することができない。つまり、基板の表と裏の両方のスペースを占有してしまい、部品を高密度に配置することが困難になる。このことは、電子機器の小型化・軽量化を追求する上で大きな制約となった。また、基板に多数の穴を開ける工程が必要であり、部品の挿入も完全な自動化が難しいため、後述する新しい技術に比べて製造コストが高くなる傾向があった。これらの課題を克服するために、1980年代以降に主流となったのが「表面実装技術(Surface Mount Technology、SMT)」である。SMTは、リード線のない、あるいは非常に短い電極を持つ「表面実装部品(SMD)」を、基板の表面にある銅箔のパターン(ランド)の上に直接載せ、はんだペーストを熱で溶かして接合する技術だ。基板に穴を開ける必要がなく、部品を基板の片面に集中的に配置できるため、実装密度を劇的に向上させることが可能になった。これにより、今日のスマートフォンに見られるような、指先に乗るほどの小さな基板上に膨大な数の部品を実装することが実現された。製造工程の大部分を自動化できるため、大量生産にも適しており、コスト削減にも大きく貢献した。SMTの登場により、多くの電子部品は表面実装へと移行したが、スルーホール技術が完全に時代遅れになったわけではない。現代のプリント基板では、むしろこの二つの技術が適材適所で使い分けられ、共存しているのが一般的である。例えば、コンピュータのマザーボードを見ると、CPUやメモリの周辺には無数の微細な表面実装部品が並んでいる一方で、電源コネクタや拡張スロット、USBポートといった物理的な強度が求められる部品には、依然としてスルーホール技術が採用されている。このように、SMTの利点である高密度実装と、THTの利点である機械的強度を組み合わせることで、信頼性と性能を両立した製品が作られている。システムエンジニアを目指す上では、ソフトウェアだけでなく、その土台となるハードウェアの基本的な構造や製造技術について理解を深めることも重要である。スルーホール技術は、電子機器の進化の歴史を物語る基礎技術であり、その原理と利点を把握することは、現代の複雑なシステムを理解する上での確かな一歩となる。

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