値呼び出し(あたいよばだし)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

値呼び出し(あたいよばだし)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

値呼び出し (あたいよばいだ)

英語表記

call by value (コールバイバリュー)

用語解説

値呼び出し(call by value)は、プログラミングにおける関数やメソッドの引数渡しの一種だ。関数に引数を渡す際に、変数の値そのものをコピーして渡す方式を指す。

値呼び出しを理解するためには、まず関数と引数の関係性を把握する必要がある。関数は、特定の処理を行うためのコードのまとまりであり、引数は関数に渡す入力データのことだ。関数は受け取った引数に基づいて処理を行い、結果を返すことができる。

値呼び出しでは、関数が呼び出される際に、引数として指定された変数の値がコピーされ、新しいメモリ領域に格納される。このコピーされた値が、関数内で使用される変数に代入される。つまり、関数内で変数の値を変更しても、呼び出し元の変数の値には影響を与えない。なぜなら、関数が操作しているのは、あくまでコピーされた値であり、元の変数そのものではないからだ。

具体例を挙げて説明しよう。例えば、xという変数に10という値が格納されているとする。このxを引数としてincrementという関数に渡す。increment関数は、受け取った引数の値を1だけ増加させる処理を行う。値呼び出しの場合、increment関数はxの値10をコピーし、コピーされた値を11に変更する。しかし、元の変数xの値は依然として10のままだ。

値呼び出しのメリットは、関数の独立性が保たれることだ。関数内で引数の値を変更しても、呼び出し元の変数の値が変更されることはないため、予期せぬ副作用を防ぐことができる。また、関数が操作するデータがコピーであるため、メモリ管理が比較的容易になる。

一方、値呼び出しのデメリットは、大きなサイズのデータを引数として渡す場合に、メモリの消費量が増加する可能性があることだ。値をコピーするため、データのサイズが大きいほど、コピーに必要なメモリ領域も大きくなる。また、関数内で大きなデータを変更する場合、コピーと変更の処理に時間がかかるため、パフォーマンスが低下する可能性もある。

値呼び出しは、C、Java、Pythonなど、多くのプログラミング言語で採用されている引数渡しの方式だ。しかし、言語によっては、参照呼び出しやポインタ渡しなど、他の引数渡しの方式もサポートされている場合がある。

参照呼び出し(call by reference)は、値そのものをコピーするのではなく、変数のメモリ上のアドレス(参照)を関数に渡す方式だ。参照呼び出しの場合、関数内で変数の値を変更すると、呼び出し元の変数の値も変更される。なぜなら、関数が操作しているのは、元の変数のメモリ領域そのものだからだ。

ポインタ渡しは、C言語などで用いられる方式で、変数のアドレスを格納するポインタと呼ばれる特殊な変数を引数として渡す。ポインタを介して変数の値を間接的に操作することができる。

値呼び出し、参照呼び出し、ポインタ渡しは、それぞれ異なる特性を持っているため、プログラミング言語の仕様や処理内容に応じて適切な方式を選択する必要がある。

システムエンジニアは、値呼び出しの仕組みを理解することで、プログラムの動作を正確に予測し、効率的なコードを記述することができる。特に、関数設計やデータ構造の設計において、値呼び出しの特性を考慮することは重要だ。また、他の引数渡しの方式との違いを理解することで、より高度なプログラミングスキルを身につけることができる。

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