カテゴリ5ケーブル (カテゴリファイブケーブル) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
カテゴリ5ケーブル (カテゴリファイブケーブル) の読み方
日本語表記
カテゴリ5ケーブル (カテゴリファイブケーブル)
英語表記
Category 5 cable (カテゴリファイブケーブル)
カテゴリ5ケーブル (カテゴリファイブケーブル) の意味や用語解説
カテゴリ5ケーブルは、主にコンピューターネットワーク、特にイーサネットで利用されるLANケーブルの一種である。ネットワークケーブルの性能を示す規格の一つであり、かつては多くのオフィスや家庭で標準的に使用されていた。現代ではより高速な通信に対応する上位規格のケーブルが主流となっているため、新規で導入されることはほとんどないが、既存の古いネットワーク環境では今も現役で使われている場合がある。 このケーブルは、ツイストペアケーブルと呼ばれる種類に属する。ツイストペアケーブルとは、信号を伝える銅線を2本ずつより合わせて(ツイストさせて)ペアにしたものを複数束ねて作られている。より対線にすることで、外部からの電磁ノイズや、ケーブル内部で発生する信号間の干渉(クロストーク)を軽減し、安定したデータ通信を可能にするという特性を持つ。カテゴリ5ケーブルは、このより対線が4組(8芯)使われているのが一般的で、それぞれが異なる色で識別できるようになっている。 カテゴリ5ケーブルがサポートする通信速度は、最大100Mbps(メガビット毎秒)である。これは、1秒間に最大100メガビットのデータを伝送できることを意味する。対応する周波数帯域は最大100MHz(メガヘルツ)である。これらの性能は、当時の主流であった10BASE-T(10Mbps)や100BASE-TX(100Mbps)といったイーサネット規格での利用を想定して設計された。特に100BASE-TXは、今日のオフィス環境でも見られるギガビットイーサネット(1000Mbps)が登場する前の主要なネットワーク技術であり、カテゴリ5ケーブルはその基盤を支えていた。 物理的な接続には、モジュラーコネクタの一種であるRJ-45が用いられる。これは、電話回線などに使われるRJ-11コネクタに似ているが、より幅が広く、8本の導体ピンを備えているのが特徴である。ケーブルの結線方法には、T568AとT568Bという二つの国際規格が存在し、通常はどちらか一方の方式で両端を統一して接続する。伝送距離については、イーサネットの標準規格に従い、最大で100メートルまでのデータ伝送が可能であると定められている。これを超える距離で通信を行う場合は、ハブやスイッチといった中継機器を介して信号を増幅する必要がある。 カテゴリ5ケーブルは、1990年代後半から2000年代初頭にかけて広く普及した。しかし、インターネットの高速化や企業の業務におけるデータ量の増大に伴い、より高速なネットワーク環境が求められるようになった。そこで登場したのが、カテゴリ5ケーブルの上位互換規格であるカテゴリ5e(エンハンスドカテゴリ5)ケーブルである。カテゴリ5eケーブルは、カテゴリ5ケーブルと同じ100MHzの周波数帯域を持ちながらも、内部のよりのピッチをさらに細かくしたり、絶縁体やシールドの品質を向上させたりすることで、ギガビットイーサネット(1000BASE-T)に対応する1000Mbpsの通信速度を実現した。 このカテゴリ5eケーブルの登場により、カテゴリ5ケーブルは急速にその役割を終え、新規導入の現場からは姿を消していった。現在では、さらに高速な10ギガビットイーサネット(10GBASE-T)や、それ以上の通信速度に対応するカテゴリ6、カテゴリ6A、カテゴリ7、カテゴリ8といった上位規格のケーブルが主流となっている。これらの上位規格のケーブルは、対応する周波数帯域が広がり、より高性能なノイズ対策が施されているため、大量のデータを安定して高速に伝送できる。 しかし、カテゴリ5ケーブルが完全に無用になったわけではない。既存の古い建物や設備では、まだカテゴリ5ケーブルが配線されている環境も存在する。これらの環境で100Mbpsまでの通信を行う分には、特に問題なく機能する。例えば、ネットワークカメラや一部のIoTデバイスなど、それほど高速な通信速度を必要としない機器では、今でもカテゴリ5ケーブルが利用されることがある。しかし、ギガビット以上の速度が必要な場合は、既存のカテゴリ5ケーブルをカテゴリ5e以上のケーブルに交換する必要がある。システムエンジニアを目指す上では、このように過去の標準規格であったケーブルの特性を理解し、現在の主流である規格との違いや、それぞれの使用場面を把握しておくことが重要となる。これにより、既存システムの保守やトラブルシューティング、新しいシステムの設計において適切な判断ができるようになる。 (文字数:1598文字)