カテゴリ7ケーブル (カテゴリナナケーブル) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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カテゴリ7ケーブル (カテゴリナナケーブル) の読み方

日本語表記

カテゴリ7ケーブル (カテゴリセブンケーブル)

英語表記

Category 7 cable (カテゴリーナナケーブル)

カテゴリ7ケーブル (カテゴリナナケーブル) の意味や用語解説

カテゴリ7ケーブルは、イーサネットなどのネットワーク通信で用いられるLANケーブルの一種である。ISO/IEC 11801およびEN 50173によって規定されたケーブルのカテゴリであり、主にギガビットイーサネットをはるかに超える高速かつ広帯域のデータ伝送を目的として設計された。その最大の特徴は、非常に高い伝送周波数と、優れたノイズ耐性にある。従来のカテゴリ5eやカテゴリ6ケーブルが対応する周波数がそれぞれ最大100MHzや250MHzであったのに対し、カテゴリ7ケーブルは最大600MHzの伝送周波数に対応し、10ギガビットイーサネット(10GBASE-T)の性能を安定して発揮することを可能にする。 このケーブルは、内部に複数のツイストペア線を持つが、その各ペア線が個別にシールドされ、さらにケーブル全体もシールドされている二重シールド構造(S/FTP: Shielded/Foiled Twisted PairやF/FTP: Foiled/Foiled Twisted Pairなど)を採用している点が重要である。この徹底したシールド構造により、外部からの電磁ノイズの干渉を強力に防ぎ、またケーブル内部のペア線間での信号漏洩(クロストーク)を極限まで抑制する。特に、隣接する他のケーブルからの干渉であるエイリアンクロストークに対しても非常に強い耐性を持つ。これにより、ノイズが多い環境や多数のケーブルが密集するデータセンターのような場所でも、安定した高速通信を維持できるという利点がある。カテゴリ7ケーブルは、主に高性能なサーバー間接続、ストレージネットワーク、あるいは将来的な高速ネットワークへの対応を見据えた基幹ネットワークなど、非常に高い信頼性と速度が要求される環境での利用が想定されてきた。 詳細を述べると、カテゴリ7ケーブルの伝送性能は10GBASE-Tの要件を十分に満たすものであり、規格上は最大10ギガビット/秒の通信速度を600MHzの周波数帯域で実現する。これは一般的なオフィス環境で現在主流となっているカテゴリ5eやカテゴリ6ケーブル(通常1ギガビット/秒まで)と比較して、格段に高い性能である。理論上は、より高い周波数に対応するケーブルとしてカテゴリ7a(1000MHz)も存在するが、カテゴリ7はすでにその登場時点で将来的な帯域要求を見据えた設計となっていた。 シールド構造については、S/FTP (Shielded/Foiled Twisted Pair) タイプが一般的である。これは、各ツイストペア線がそれぞれ個別のアルミホイルでシールドされ(PIMF: Pair In Metal Foil)、さらにそれらのペア線全体が編組シールド(ブレーデッドシールド)によって覆われている構造を指す。この二重構造によって、個々のペア線が相互に干渉し合うのを防ぎ、同時にケーブル全体への外部ノイズの影響を最小限に抑える。高い周波数帯域で安定した性能を維持するためには、この強力なシールドが不可欠なのである。しかし、このシールド構造はケーブルを太く、硬くするため、取り回しが難しくなるという側面もある。また、シールドを効果的に機能させるためには、適切な接地(アース)が必須である。接地が不十分な場合、シールドが逆にノイズを拾いやすくなる可能性もあるため、導入時には専門的な知識が求められる。 コネクタについては、カテゴリ7ケーブルは従来のRJ45コネクタとは異なる、専用のコネクタを必要とすることが規格上の大きな特徴であった。特にISO/IEC 11801で推奨されたものに、GG45コネクタやTERAコネクタがある。GG45コネクタは、RJ45コネクタとの後方互換性を持ちながら、より高い周波数での性能を確保するために、必要に応じて追加のピンを使用する設計が特徴である。一方、TERAコネクタは、RJ45とは全く異なる物理形状を持ち、非常に高い伝送性能と信頼性を提供する。これらのコネクタは、カテゴリ7ケーブルの優れたシールド性能を最大限に引き出し、信号の減衰やクロストークを最小限に抑えるために開発された。しかし、市場ではこれらの専用コネクタの普及が進まず、多くの場合、カテゴリ7ケーブルでもRJ45互換のコネクタ(具体的にはARJ45コネクタなど、RJ45と同じ物理形状でカテゴリ7の性能を満たすように設計されたもの)が使用されることが一般的である。このため、システム設計時には、ケーブルとコネクタの組み合わせが本当にカテゴリ7の性能要件を満たしているかを慎重に確認する必要がある。 導入を検討する際には、いくつかの考慮事項がある。まず、カテゴリ7ケーブルは高性能であるため、カテゴリ6Aなどの他のケーブルに比べてコストが高い傾向にある。次に、先述の通りケーブルが太く硬いため、曲げ半径が大きく、配線スペースの確保や施工の難易度が高くなる。特に狭い場所や頻繁なケーブルの取り回しが必要な環境では、取り扱いが困難になる可能性がある。また、ほとんどのサーバーやネットワーク機器は、現在でもカテゴリ6Aケーブルで十分な10ギガビットイーサネットをサポートしており、カテゴリ7ケーブルが提供する600MHzという非常に広い帯域が、現時点での一般的な利用シナリオで完全に必要とされるケースは稀である。多くの場合、カテゴリ6Aケーブル(500MHzまで対応)で10GBASE-Tの要件を満たすことができるため、カテゴリ7ケーブルを選択する際には、本当にそのオーバースペックな性能が必要なのか、コストと導入の容易さとのバランスを慎重に評価する必要がある。 ただし、カテゴリ7ケーブルは、将来的なネットワークのさらなる高速化(例えば25GbEや40GbEといった、現在標準化が進む新たなイーサネット規格)への対応を部分的に見据えた設計とも言える。しかし、これらの新しい規格の多くは、より高い周波数帯域に対応するカテゴリ7aや、さらに高性能なカテゴリ8ケーブルの利用が推奨されている。したがって、現時点でのカテゴリ7ケーブルの位置づけは、特定の高性能要件やノイズ耐性を極限まで追求する環境において、ニッチながらも有効な選択肢となりうる一方で、汎用的な10ギガビットイーサネット環境においては、よりコスト効率と施工性に優れたカテゴリ6Aケーブルが広く採用されているのが実情である。

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