コードカバレッジ (コードカバレッジ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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コードカバレッジ (コードカバレッジ) の読み方

日本語表記

コードカバレッジ (コードカバレッジ)

英語表記

Code Coverage (コードカバレッジ)

コードカバレッジ (コードカバレッジ) の意味や用語解説

コードカバレッジとは、ソフトウェアのテストを実行した際に、テスト対象のソースコードのうちどれくらいの割合が実行されたかを示す指標である。システム開発において、品質保証の重要な側面を担う概念の一つであり、テストの網羅性を客観的に評価するために用いられる。システムエンジニアを目指す者にとって、コードカバレッジの理解は、高品質なソフトウェア開発プロセスを構築する上で不可欠である。 **概要** コードカバレッジは、特定のテストスイート(一連のテストケースの集合)を実行した結果、プログラムのどの部分が実行され、どの部分が実行されなかったかを測定する。例えば、あるプログラムの総コード行数が100行で、テストにより80行が実行された場合、コードカバレッジは80%となる。この数値は、テストのコードパス網羅度を示す目安である。高いカバレッジ率は、テストがコードの大部分をカバーしていることを示唆し、未テストの部分に潜在するバグのリスクが低い可能性を示す。しかし、コードカバレッジは「コードがテストされた量」を示すものであり、「コードが正しく動作するか」を保証するものではない。テストが単にコードを実行するだけで、結果を適切に検証しない場合、高カバレッジ率でも品質は保証されない。この指標はテスト品質向上に向けた「手がかり」として活用されるべきである。 **詳細** コードカバレッジには、測定対象となるコードの要素によっていくつかの種類がある。最も基本的な「ステートメントカバレッジ(Statement Coverage)」は、プログラムの各実行可能文がテスト中に少なくとも一度実行されたかを測定する。次に一般的な「ブランチカバレッジ(Branch Coverage)」または「決定カバレッジ(Decision Coverage)」は、if文やswitch文などの条件分岐において、真(True)と偽(False)のパス両方が実行されたかを測定し、ステートメントカバレッジよりも厳密である。さらに厳密な「パスカバレッジ(Path Coverage)」は、関数やメソッド内のすべての可能な実行パスが実行されたかを測定するが、複雑なプログラムではパスが膨大になり、100%達成は非現実的である。その他に、各関数が呼び出されたかを測る「ファンクションカバレッジ(Function Coverage)」や、条件文内の各論理式が真偽両方の値をとったかを測る「条件カバレッジ(Condition Coverage)」などがある。 コードカバレッジの測定には専用のツールが用いられる。これらのツールは、テスト対象のソースコードに実行を追跡するための計測コード(インストゥルメンテーション)を挿入したり、プログラムの実行情報を監視したりすることでデータを収集する。テスト完了後、ツールは収集されたデータに基づき、どのコードが実行され、どのコードが実行されなかったかを示す詳細なレポートを生成する。このレポートは通常、ソースコードビューにカバレッジ情報を色分けして表示するなど、視覚的に分かりやすい形式で提供され、開発者はテスト不足箇所を容易に特定し、テストケースを追加・改善できる。 カバレッジ率は、一般的に80%以上が望ましいとされるが、目標値はプロジェクトの性質やリスクによって異なる。単に高いカバレッジ率を達成することが目的ではない。テストの目的はバグ発見と品質向上である。カバレッジ率向上のためのテストが、意味のない(アサーションのない)テストや単にコードを実行するだけのテストであった場合、高カバレッジ率でも品質保証には繋がらない。したがって、カバレッジ率は、テストの網羅性を評価し、テストスイート改善のための「診断ツール」として活用することが重要である。特に、複雑なビジネスロジック、エラーハンドリング、境界値条件など、システムのコアとなる重要な部分が確実にテストされているかを確認するために利用すべきである。テスト不足の箇所を特定し、そこに焦点を当ててテストケースを強化することで、より効果的なバグ発見と品質向上に繋がる。コードカバレッジを適切に活用することは、開発チームが堅牢で信頼性の高いソフトウェアを効率的に開発するための強力な支援となる。

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