エンタープライズアーキテクチャ(エンタープライズアーキテクチャ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
エンタープライズアーキテクチャ(エンタープライズアーキテクチャ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
エンタープライズアーキテクチャ (エンタープライズアーキテクチャ)
英語表記
Enterprise Architecture (エンタープライズアーキテクチャ)
用語解説
エンタープライズアーキテクチャ(EA)とは、企業全体の情報システムを、全体最適の視点から設計・構築するための手法のこと。個々のシステムをバラバラに構築するのではなく、企業全体の業務プロセス、情報、システムを一体的に捉え、整合性のとれた最適な状態を目指す。システムエンジニアを目指す上で、EAの考え方を理解することは非常に重要だ。
EAの目的は、主に以下の点が挙げられる。まず、経営戦略の実現をITで支援すること。経営目標を達成するために、どのようなIT戦略が必要なのかを明確にし、それを実現するためのシステム構成を設計する。次に、業務効率の向上。業務プロセスを可視化し、無駄な部分を排除したり、自動化を進めることで、業務効率を改善する。そして、ITコストの削減。システムを標準化したり、共通化を進めることで、開発コストや運用コストを削減する。最後に、変化への対応力強化。ビジネス環境の変化に迅速に対応できるよう、柔軟性の高いシステムを構築する。
EAは、いくつかの構成要素で成り立っている。代表的なものとして、ビジネスアーキテクチャ(BA)、データアーキテクチャ(DA)、アプリケーションアーキテクチャ(AA)、テクノロジーアーキテクチャ(TA)がある。BAは、企業のビジネス戦略、業務プロセス、組織構造などを定義する。企業のビジネスモデルを理解し、どのような業務プロセスが必要なのか、誰がその業務を行うのかなどを明確にする。DAは、企業が保有するデータの構造、流れ、管理方法などを定義する。データの整合性を保ち、必要な時に必要なデータを利用できるようにするための設計を行う。AAは、業務を支援するためのアプリケーションの構成、機能、連携などを定義する。個々のアプリケーションがどのように連携し、業務を効率的に行うかを設計する。TAは、アプリケーションを支えるハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなどのインフラ基盤を定義する。システムの性能、信頼性、セキュリティを確保するための基盤を設計する。
EAを導入する際には、いくつかのステップを踏む必要がある。まず、現状分析。現状の業務プロセス、情報システム、ITインフラなどを詳細に分析し、課題を明確にする。次に、目標設定。経営戦略に基づき、EAの目標を具体的に設定する。業務効率の向上、コスト削減、変化への対応力強化など、定量的な目標を設定することが望ましい。そして、アーキテクチャ設計。BA、DA、AA、TAを設計し、全体最適の視点からシステム構成を検討する。標準化、共通化、再利用などを考慮し、効率的なシステム構築を目指す。次に、移行計画策定。現状のシステムから新しいシステムへの移行計画を策定する。段階的な移行、並行稼働など、リスクを最小限に抑えるための計画を立てる。最後に、システム構築・導入。設計に基づき、システムを構築し、導入する。導入後も継続的に評価を行い、改善を重ねていく。
EAを実践する上での注意点として、トップダウンでの推進と、関係者の協力が不可欠である点が挙げられる。EAは企業全体のシステムに関わるため、経営層の理解と支援が不可欠だ。また、各部門の担当者、IT部門の担当者など、関係者全員が協力し、共通の目標に向かって取り組む必要がある。
EAは、単なるITの設計にとどまらず、企業のビジネス戦略を支援するための重要な取り組みだ。システムエンジニアとして、EAの知識を身につけることは、企業全体の視点を持ってシステムを設計・構築するために不可欠と言えるだろう。