グレーデッドインデックス型光ファイバー (グレーデッドインデックスガタコウファイバー) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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グレーデッドインデックス型光ファイバー (グレーデッドインデックスガタコウファイバー) の読み方

日本語表記

グレーデッドインデックス型光ファイバー (グレーデッドインデックスガタコウファイバー)

英語表記

graded-index fiber (グレーデッドインデックスファイバー)

グレーデッドインデックス型光ファイバー (グレーデッドインデックスガタコウファイバー) の意味や用語解説

グレーデッドインデックス型光ファイバーは、光信号を効率的に伝送するために設計された光ファイバーの一種である。一般的にGI型ファイバーと略され、主にLANやデータセンターなどの比較的短・中距離の高速通信ネットワークで用いられる。このファイバーの最大の特徴は、コアと呼ばれる光が通る中心部分の屈折率が、中心から外側へ向かうにつれて段階的に(または連続的に)低くなるように設計されている点にある。この特殊な屈折率分布により、光ファイバー内で発生するモード分散という現象を効果的に抑制し、信号の伝送品質と帯域幅を大幅に向上させている。従来のステップインデックス型光ファイバー、特にマルチモードタイプの課題を解決するために開発された技術であり、光通信における重要な進化の一つと言える。 グレーデッドインデックス型光ファイバーの詳細な構造と伝送原理を理解するには、まず光ファイバーの基本的な構成を知る必要がある。光ファイバーは、中心を通る光を伝える「コア」と、そのコアを覆い光をコア内に閉じ込める「クラッド」という二層構造が基本である。光は、屈折率の高い媒体から低い媒体へ進む際に屈折する特性を利用して、コアとクラッドの境界で全反射を繰り返しながらコア内部を進んでいく。ここで、従来のマルチモードステップインデックス型光ファイバーの場合、コア全体の屈折率が一定であるため、光は様々な角度でコア内に入射し、それぞれ異なる経路で伝播する。コアの中心付近をまっすぐ進む光もあれば、コアの端に近い部分で何度も反射しながら進む光もある。この経路の長さの違いにより、同一の光信号に含まれる各モード(経路)の光が終端に到達する時刻にずれが生じる。この現象を「モード分散」と呼び、信号の波形が時間的に広がってしまい、信号の劣化や情報伝送速度の限界を引き起こす主要因となる。 このモード分散の問題を解決するために考案されたのが、グレーデッドインデックス型光ファイバーの革新的な屈折率分布である。GI型ファイバーのコアは、その中心部分が最も高い屈折率を持ち、中心から外側に向かうにつれて屈折率が滑らかに、あるいは段階的に低くなるように設計されている。これは「グレーデッド(段階的)なインデックス(屈折率)分布」と呼ばれる。この特殊な屈折率分布が、光の伝送に極めて有利な効果をもたらす。光は屈折率の高い媒質中を伝播するときは遅く、低い媒質中を伝播するときは速くなるという性質がある。GI型ファイバーでは、コアの中心を比較的短い距離で進む光は、屈折率が高い部分を通るため速度が遅くなる。一方で、コアの外縁に近い部分を長い距離で反射を繰り返しながら進む光は、屈折率が低い部分を通る時間が長くなるため、結果的に速度が速くなる。この「経路が長い光は速く、経路が短い光は遅く」という性質が、異なる経路を通る光がファイバーの終端にほぼ同時に到達するように調整される。これにより、モード分散が大幅に抑制され、信号の波形の広がりが最小限に抑えられる。 モード分散の抑制は、光通信の品質と性能に直接的に寄与する。第一に、信号の劣化が少なくなるため、より鮮明で正確な光信号を伝送できる。これは、デジタルデータの誤り率の低減に繋がり、システム全体の信頼性を向上させる。第二に、信号の波形の広がりが抑えられることで、単位時間あたりに送ることができる情報量が増加する、つまり伝送帯域幅が大幅に向上する。これにより、高速なデータ通信が可能となり、ギガビットイーサネットや10ギガビットイーサネットなどの高帯域幅を要求するアプリケーションにGI型ファイバーが適している。さらに、モード分散が少ないことで、ある程度の距離であれば信号の再生成なしに伝送できるため、中距離通信におけるコスト削減にも貢献する。 グレーデッドインデックス型光ファイバーは、主にマルチモード光ファイバーの一種として普及しており、その伝送特性は、長距離伝送に用いられるシングルモード光ファイバーと、短距離・低速伝送に用いられる(旧来の)マルチモードステップインデックス型光ファイバーの中間に位置づけられる。数百メートルから数キロメートル程度の距離でギガビット級の高速通信を行う必要がある場合に理想的な選択肢となる。例えば、ビル内のフロア間接続、データセンター内のサーバーラック間接続、あるいは構内ネットワーク(LAN)のバックボーンなど、多様な環境でその優れた性能が活用されている。光ファイバーを導入する際の選択肢として、伝送距離、必要な帯域幅、およびコストを考慮し、グレーデッドインデックス型光ファイバーが最適なソリューションとなる場面は非常に多い。

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