XPS (エックスピーエス) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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XPS (エックスピーエス) の読み方

日本語表記

エックスピーエス (エックスピーエス)

英語表記

XML Paper Specification (エックスエムエルペーパースペシフィケーション)

XPS (エックスピーエス) の意味や用語解説

XPSとは、XML Paper Specificationの略で、Microsoftが開発したページ記述言語、およびファイルフォーマットのことである。 概要として、XPSは印刷データやドキュメントを電子的に表現し、異なる環境間で一貫した表示と印刷を可能にすることを目的としている。PDFと同様に、OSやアプリケーションに依存せず、フォントや画像などの情報を埋め込むことで、作成者が意図した通りのレイアウトを再現できる。XPSファイルは、Windows Vista以降のOSで標準的にサポートされており、特別なソフトウェアをインストールしなくても閲覧が可能である。 詳細について説明する。XPSは、XMLをベースとした構造を持ち、ドキュメントの内容、レイアウト、フォント、画像などの情報を記述する。具体的には、複数のXMLファイルと画像ファイルなどがZIP形式で圧縮されたアーカイブファイルとして構成されている。 XPSファイルの内部構造は、主に以下の要素で構成される。まず、ドキュメント構造を定義するXMLファイル群がある。これらは、ドキュメントのページ構成、テキスト、画像、ベクターグラフィックスなどの情報を記述する。次に、フォントファイルが埋め込まれている。これにより、XPSファイルを開く環境にフォントがインストールされていなくても、正確な表示が可能になる。さらに、画像ファイルが格納されている。JPEG、PNGなどの一般的な画像フォーマットがサポートされており、ドキュメントに埋め込まれた画像データが保持される。 XPSの主な特徴としては、まず、デバイスに依存しない表示と印刷が可能であることが挙げられる。これは、PDFと同様の利点であり、異なる環境でドキュメントを共有する際に重要となる。次に、ベクターグラフィックスのサポートがある。これにより、高品質な印刷や拡大表示が可能となる。また、XPSは、Windows Presentation Foundation (WPF) というMicrosoftのグラフィカルサブシステムと密接に連携しており、WPFアプリケーションから容易にXPSドキュメントを作成、表示、印刷できる。 XPSは、PDFと比較されることが多い。PDFはAdobe Systemsが開発した、より普及しているファイルフォーマットであり、幅広いプラットフォームで利用可能である。一方、XPSはWindows環境での利用に最適化されており、WPFとの連携が強みである。PDFとXPSは、どちらもページ記述言語として、ドキュメントの電子的な表現と共有に貢献しているが、PDFの方が歴史が長く、より多くのソフトウェアやデバイスでサポートされているという点で優位性がある。 XPSの利用例としては、電子ドキュメントの配布、印刷プレビュー、アーカイブなどが挙げられる。例えば、オフィスで作成した文書をXPSファイルとして保存し、異なるPC環境で閲覧したり、印刷したりする場合に、レイアウト崩れを防ぐことができる。また、ソフトウェア開発においては、WPFアプリケーションからXPSドキュメントを生成し、ユーザーに提供する機能などを実装することができる。 XPSを扱う上で知っておくべきこととして、XPS Viewerという閲覧ソフトが標準でWindowsに搭載されている。これを利用することで、XPSファイルを開き、内容を確認したり、印刷したりすることができる。また、XPSドキュメントを作成するには、Microsoft OfficeなどのアプリケーションでXPS形式での保存を選択するか、WPFなどの開発環境を利用する必要がある。 XPSは、PDFほど普及しているとは言えないが、Windows環境においては依然として有効な選択肢であり、特にWPFアプリケーションとの連携においては、その利点を活かすことができる。システムエンジニアを目指す者にとっては、XPSの仕組みを理解しておくことは、ドキュメント管理やアプリケーション開発において役立つ知識となる。

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