XOR回路 (エックスオアカイロ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
XOR回路 (エックスオアカイロ) の読み方
日本語表記
排他的論理和回路 (ハイタテキロンリワカイロ)
英語表記
XOR circuit (エックスオアサーキット)
XOR回路 (エックスオアカイロ) の意味や用語解説
XOR回路(排他的論理和回路)とは、2つの入力信号が異なるときにのみ真(1)を出力する論理回路のことである。デジタル回路の基本的な構成要素の一つであり、コンピュータの演算処理やデータ暗号化など、幅広い分野で使用されている。 XOR回路の動作を理解するためには、まず論理演算の基礎を理解する必要がある。論理演算には、AND(論理積)、OR(論理和)、NOT(否定)などがあるが、XORはこれらの組み合わせで実現される。XOR回路は、入力Aと入力Bが両方とも0(偽)の場合、または両方とも1(真)の場合には0を出力し、AとBが異なる場合にのみ1を出力する。この動作は「排他的」という言葉が示すように、どちらか一方だけが真の場合に真となることを意味する。 XOR回路の真理値表は以下のようになる。 | 入力A | 入力B | 出力 | |---|---|---| | 0 | 0 | 0 | | 0 | 1 | 1 | | 1 | 0 | 1 | | 1 | 1 | 0 | この真理値表から、XOR回路が2つの入力の排他的論理和を計算していることがわかる。 XOR回路は、AND、OR、NOTなどの基本的な論理ゲートを組み合わせて構成される。具体的な構成方法としては、いくつかの種類があるが、代表的なものとしては以下の式で表される構成が挙げられる。 出力 = (A AND (NOT B)) OR ((NOT A) AND B) この式は、Aが真でBが偽の場合(A AND (NOT B))と、Aが偽でBが真の場合((NOT A) AND B)のいずれか一方だけが真になる場合に、出力が真になることを表している。 XOR回路は、半加算器や全加算器といった算術演算回路の構成要素としても利用される。半加算器は、2つの1ビットの入力の和を計算し、和(Sum)と桁上げ(Carry)を出力する回路である。この際、和の計算にXOR回路が使用される。全加算器は、2つの1ビットの入力と、下位からの桁上げ入力を受け取り、和と桁上げを出力する回路であり、複数のXOR回路を含むより複雑な構成となる。 また、XOR回路は、暗号化の分野でも重要な役割を果たす。特に、XOR演算は可逆性があるため、暗号化と復号化の両方に使用できる。あるデータに対して特定の鍵(Key)とのXOR演算を行うことで暗号化し、同じ鍵で再度XOR演算を行うことで元のデータに戻すことができる。この特性は、ストリーム暗号などで利用されている。 さらに、XOR回路は、パリティチェックにも利用される。パリティチェックとは、データ伝送中にエラーが発生したかどうかを検出するための技術であり、送信するデータにパリティビットと呼ばれる冗長なビットを追加する。パリティビットは、データ中の1の数が偶数(偶数パリティ)または奇数(奇数パリティ)になるように設定される。受信側は、受信したデータ中の1の数を数え、パリティビットと比較することで、エラーの有無を検出できる。XOR回路は、複数の入力のパリティビットを効率的に生成するために使用される。 XOR回路は、デジタル回路の設計において基本的な知識として必須であり、その応用範囲は非常に広い。算術演算、暗号化、エラー検出など、様々な分野で活用されているため、システムエンジニアを目指す上で、XOR回路の原理と応用を理解することは非常に重要である。