ZFS (ゼットエフエス) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
ZFS (ゼットエフエス) の読み方
日本語表記
ゼットエフエス (ゼットエフエス)
英語表記
ZFS (ゼットエフエス)
ZFS (ゼットエフエス) の意味や用語解説
ZFSは、Sun Microsystems(現Oracle)によって開発された、高度な機能を備えたファイルシステムだ。単なるファイルシステムにとどまらず、論理ボリュームマネージャの機能も統合しているため、ストレージ管理を効率化できる。登場から年月が経ち、その堅牢性と柔軟性から、現在でも多くのシステムで利用されている。 ZFSの最大の特徴は、データ保護機能の充実度だ。従来のファイルシステムでは、ディスクの故障などが発生した場合、データが破損するリスクがあった。しかし、ZFSは、checksum(チェックサム)によるデータの整合性検証や、RAID-Zと呼ばれる独自のRAID構成を用いることで、データの損失を最小限に抑えることができる。checksumは、ファイルの内容に基づいて計算される値で、ファイルが読み込まれるたびに再計算され、保存されているchecksumと比較される。もし値が異なっていれば、ファイルが破損していることを意味する。RAID-Zは、従来のRAID5に似た構成だが、ZFSに合わせて最適化されており、より効率的なデータ復旧が可能となっている。RAID-Z2やRAID-Z3といった構成もあり、それぞれ2つ、3つのディスク障害に耐えられる。 ZFSはcopy-on-write(コピーオンライト)という技術も採用している。これは、データを上書きする代わりに、変更されたデータのコピーを別の場所に書き込む方式だ。これにより、書き込み中にシステムがクラッシュした場合でも、元のデータが破損するリスクを回避できる。また、スナップショットと呼ばれる、ファイルシステムの特定の時点の状態を保存する機能も備わっている。スナップショットは、データのバックアップや復元に利用できるだけでなく、開発環境でのテストなどにも活用できる。スナップショットは差分のみを保存するため、ディスク容量の消費を抑えられる。 ZFSは、その柔軟性の高さも魅力だ。ストレージプールと呼ばれる仮想的なディスク領域を作成し、その中に複数のファイルシステムを自由に作成できる。各ファイルシステムには、容量制限(quota)や圧縮設定などを個別に設定できるため、様々な用途に合わせてストレージを最適化できる。また、ZFSは、ディスクの追加や交換をオンラインで行うことができる。これにより、システムを停止することなくストレージ容量を拡張したり、故障したディスクを交換したりできる。 ZFSは、当初SolarisというUNIX系OSで開発されたが、その後、FreeBSDやLinuxなど、他のOSにも移植されている。Linux版のZFSは、ZoL(ZFS on Linux)と呼ばれ、広く利用されている。ただし、ライセンスの関係上、Linuxカーネルに統合されていないため、別途インストールする必要がある。 ZFSを理解するためには、いくつかの重要な用語を把握しておく必要がある。まず、ストレージプール(zpool)は、ZFSが管理する物理的なディスク領域をまとめたものだ。ファイルシステム(zfs)は、ストレージプールの中に作成され、実際にファイルを保存する場所となる。ボリューム(zvol)は、ファイルシステムではなく、ブロックデバイスとして使用できる。これは、仮想マシンなどにディスク領域を割り当てる際に便利だ。 ZFSはコマンドラインインターフェース(CLI)を通じて操作する。代表的なコマンドとしては、`zpool create`(ストレージプールの作成)、`zfs create`(ファイルシステムの作成)、`zfs snapshot`(スナップショットの作成)、`zfs send`(スナップショットの転送)などがある。これらのコマンドを使いこなすことで、ZFSの高度な機能を最大限に活用できる。 ZFSは、高度なデータ保護機能、柔軟なストレージ管理機能、そして高いパフォーマンスを兼ね備えた、非常に強力なファイルシステムだ。システムエンジニアを目指す上で、ZFSの知識は必須と言えるだろう。最初は難しく感じるかもしれないが、実際にZFSを触ってみることで、その便利さを実感できるはずだ。